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株式会社ゾフ

リピーターをつくり続けるための「人材育成」
チームワークを高める方法 株式会社ゾフ

2019/11/18 更新

ファッション 100店舗以上 tenpoket(テンポケット) ミステリーショッピングリサーチ

文:宮本紗和
※この記事は、第12回クオリティサービス・フォーラムの講演内容をレポートするものです。
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは講演当時のものです。
メガネ業界初のSPA業態として誕生した、株式会社ゾフ。「メガネが主役の時代をつくる」という経営理念のもと、服を着替えるような感覚でメガネを気軽に楽しんでもらいたいという思いから、フレームとレンズセットの定額制・低価格帯を特徴とした販売戦略を展開。その成長ぶりから低価格帯のメガネを販売する企業が急増した。同社は、他社との差別化を図るべく「人材育成」に注力しているという。商品や価格だけではない、「リピーターをつくり続けるポイント」について、同社 ゾフ事業本部 教育部 部長 長澤 英樹氏、Zoff Latte ルミネ横浜店 店長野口健太氏にご講演いただいた。

データからみる「リピート」のしくみ

長澤氏:皆さんもご存知の通り、各社商品の特徴が似てきている今、私たちはこれまで以上に「人材」が差別化要因として重要になると考えるようになりました。因みに弊社では「人材」を「人財」と呼んでいます。人の力でリピーターになっていただくためには、お客様に興味・関心を持って接し、プロとして正しい知識を提供する人財を育てなければならない。そのためには、接客力だけ、眼鏡知識だけに偏らない「バランス」が重要です。

9年前にMS&Consultingさんの顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下、CS調査)と従業員満足度調査「サービスチーム力診断」(以下、ES診断)を導入していましたが、数年前から深くCS・ESを科学するようになりました。すると、「接客が良かった」「メガネが良かった」だけでは駄目で、それが満足から感動レベルにまで達しないとリピートしないということがわかりました(図1)。

 

図1|顧客満足度(CS)とリピート率の相関関係

リピーターをつくり続けるための「人材育成」

長澤氏:お客様に感動していただくためには、規律やマニュアルなどの「サービス」を徹底するだけでなく、目の前のお客さまに向き合い対応する人間力「ホスピタリティ」という軸を伸ばすことが重要です。(図2)

そこで人材育成に向けて、大きく3つの取り組み「行動指針と規範」「教育制度」「癖付け」を行いました。

取り組み1|行動指針・規範について

長澤氏:当社では「IPS」という行動指針を掲げています。人や行動に興味、関心を持ち、相手の立場に立ち行動する「Interest」、視力改善によりお客様の人体を守り、生活を豊かにするために、プロとして真摯に行動する「Professional」、スピーディに効率よく対応、運営する「Speed」の頭文字をとったものです。お客様に対しては、この3つを、このIPSの優先順位で行うように指導しています。たとえば、混んでいて忙しいときにスピードを重視するあまりクレームになるということがあります。しかし、この行動指針に沿うことで、「早口で聞きづらそうにしているから、ゆっくり話そう」とスタッフ自身が気付き、考えて行動できるようになることが大事です。

この行動をスタッフに浸透させていくために、当社では2年前に店長、エリアマネージャーと教育人事で行動規範「ゾフホスピタリティーマインド」をつくる研修をしました。店長は、200名近い全店長が参加対象です。東日本と西日本に分け、ワールドカフェ方式で、CS・ES向上のために大切にしていることを書き出し、チームごとに発表しました。そして、そこで出てきた2000ワード近い中から、エリアマネージャーと教育人事で、6つの行動規範を制定しました。これをやればCS・ESが向上する、という行動指針を自分たちでつくったことで、浸透力があがりました。抽象的な部分も、店舗ごとの課題にあわせて具体的な行動に落としむようになり、取り組んでいけるようになりました。

取り組み2|教育制度について

図2|ゾフが考えるサービスとホスピタリティの概念図

長澤氏:同年に、店長になるまでのスキルを5段階にわけた社内資格「My Star制度」を立ち上げました(図3)。マイスター制度では、接客、視力測定、フィッティング、レンズ測定などのスキル向上を目的に、年に1回程度の「研修と検定」を実施しています。昨年からは「資格手当」も付け、頑張った分だけ反映される仕組みにしました。この取り組みにより、スタッフのスキル向上だけでなく、新店を出す際にも適切な人事配置ができるようになりました。

当初は店舗によって合格率が違うという事象が起こっていました。調べてみると、店長が教育熱心だと合格率が高いということが分かったため、店長の関わりに関係なくスキルが向上する仕組みをつくりました。

以前MS&Consultingさんの研修で、「知識の定着に最も効果的なのは、ロールプレイング(以下、ロープレ)です。座学・講義はわずか5%、映像なら10~20%程度です。」と伺いました。そこでまず、店長が時間をとれなくても勉強ができるように動画を取り入れました。さらに、合格率が高い店舗は、スタッフの定着率も高いという結果が出たため、合格率も店舗のKPIに入れました。このような仕組みをつくることで、スタッフを検定に送り出す前に、店長がロープレをするようになり、スタッフのスキル向上につながりました

この取り組みにより合格率が増えたことで、上司や先輩社員が直接現場で指導を行う「OJT」に勝るものはない、本部はOJTに熱心になってもらうための仕掛けづくりを考えることが重要だと気付きました。

取り組み3|癖付けについて

図表3|My Star制度の年間スケジュール

長澤氏:2011年から、社内ロープレコンテストを行っていました。目的は、CSとESの向上です。ここでいうESとは、スタッフ個人の満足ではなく、店舗のチームワーク力を高めることを指します。実際、ロープレ大会の課題としてよく挙げられるのが「参加者の固定化」です。しかし、ロープレに熱心なスタッフ1人だけでは、お客様と接するタッチポイントすべてをカバーできません。

そこで2016年に個人戦から、3人1組の団体戦に変更しました。さらに、店舗全体で前向きに取り組んでほしいという思いから、店長もしくは副店長も参加必須にしました。大会の流れは、まず先鋒が接客や商品販売のロープレ、中堅は視力測定のロープレを行います。この2名の合計点数が高い店舗が決勝に進出し、最後は大将同士が競います。

チーム戦にしたことで、「最初に頑張ってくれた○○さんのために」「大将を決勝に連れて行くために」「お店のために」といった声がたくさんあがるようになりました。チームワークが生まれ、今では「個人戦に戻さないで」と言われるほどです。ロープレ大会は、当初と比べると参加者は約5倍となり年々盛り上がりを見せています。

ゾフ事業本部 教育部 部長 長澤 英樹氏

CS調査・ES診断の活用方法

本部の取り組み

長澤氏:CS調査は、お客様にリピーターになってもらうための気づきのツールだと考えています。そこでまず、全店平均、ブロック平均、個店別に一覧にし、課題の見える化をしました(図表4)。そうして、MS&Consultingさんの調査結果を基に時系列に沿ってタッチポイント別(入店、フレーム選び、視力測定、商品のお渡し、お見送り)に、改善点を洗い出しました。さらに、お客様の感動につながりやすく、競合との差も感じてもらいやすい項目を割り出し、「重点7項目」を設定しました。

本部(エリアマネージャー)が、この結果を店長にフィードバックするときに大切にしているポイントは以下の通りです。

図表4|タッチポイント別の課題を把握(2019年5月度 MS結果)

【CS調査】

☑良いところを褒める(課題の指摘だけではダメ)

☑お出迎え、お見送り項目はどうか確認(最初と最後の対応で印象が大きく左右される)

☑重要項目はどうか確認(点数が目的ではない。Zoffを選んでいただくため)

☑1回の点数に一喜一憂しない(コメントにこそ課題がつまっている)

☑弱みの改善策にアドバイス(丸投げしない、出すぎもしない)

【ES診断】

☑ES⇒CS⇒業績の順番で改善する

☑ES診断は、ES改善のヒントツール(ダメ出しツールではない)

☑ES改善のスタートは、「リーダーシップ」から

☑自分の経験談を踏まえアドバイス(丸投げしない、出すぎもしない)

店舗の取り組み

野口店長:Zoff Latte ルミネ横浜店は、おかげさまで売上・客数共に前年超えを達成し、ES診断の項目「リーダーシップ」「チーム力」で最上位ランクを獲得いたしました。本日はこの成功要因について、僭越ながら5つご紹介いたします。

Zoff Latte ルミネ横浜店 店長 野口 健太氏

成功ポイント1|結果が届いたら、まず副店長がレポートを読んでポイントを書き込む

野口店長:CS調査のスコアは180点(200点満点中)と目標を掲げ、副店長を中心にCS向上に取り組んでいます。まず調査レポートが届いたら、スタッフが調査日の状況を想起しやすいように「調査日の売上」、「スタッフの人数」を追記します。また、コメントを読み、重要なところにアンダーラインを引き、所感を記載して、ミーティングでスタッフに共有しています。(図表5)

成功ポイント2|課題点は、競合他社に学ぶ

野口店長:当店は「お出迎え」項目に課題があったため、競合他社の視察をしました。3つのチームに分かれ、歓迎感のあるお出迎えができていた店舗をまとめ、各チームが発表しました。さらに、スタッフ感でバラツキがないように、その内容をバックヤードに貼り、お客様入店時にとる行動を決めて全スタッフに共有するようにしました。

成功ポイント3|「良い接客」にまつわるエピソード集を作成

野口店長:お客様に感動していただくには、「ニーズの把握」「会話が楽しめていたか」などが非常に重要だと気付きました。そこで「Best for you エピソード」というツールをつくりました。月に1回、1番お客様に喜んでいただけたと思う接客をミーティングで共有しています。また、どんなお客様に、何を、どうのようにしたら、喜んでいただけたのか、などをまとめたものをファイリングし、休憩室に置いて他のスタッフの参考になるようにしています。他のスタッフに見てもらうことで、共有する側のモチベーションになり、ES向上にもつながりました。

図5|副店長がレポートを読んでポイントを書き込む

成功ポイント4|MTGは楽しく

野口店長:「ミーティングは楽しく」を心がけているので、ロープレをすることもあります。たとえば、お客様を褒めるトレーニングとして、相手(スタッフ)をひたすら褒めるロープレをしています。「メガネの説明は得意でも、お客様自身を褒めることは苦手」というスタッフがいるので、メガネをかけた時にどんな印象になるか、なぜ似合っているか、などみんなでQAを作成しながら、褒める力を強化し、販売に繋げています(図6)。ミーティング内容を事前に連絡ノートで共有することで、できる限り連絡事項の時間はとらないようにしています。事前にミーティングの内容・資料を共有して、スタッフに考えてきてもらう、といった宿題を出すこともあります。

成功ポイント5|店長自身が意識すること

野口店長:スタッフに話すときは、「お客様が気持ち良くお買い物するため」が行動のモチベーションになるように心がけています。たとえば、お客様が嬉しそうにお帰りになられた時は、スタッフと一緒に喜んだり、褒めたりしています。スタッフが気持ちよく働けるからこそ、お客様も気持ちよく買い物が出来ると考えていますので、お客様と同じくらい、スタッフが働きやすい環境を整える事に全力で取り組んでいます。

図表6|ロープレのツール「お客様お褒め大作戦!!」

すべては生涯顧客になっていただくために

長澤氏:本日は1店舗のみご紹介させていただきましたが、本部と各店舗でこのような取り組みを行った結果、昨年11月頃からCS調査の全店平均が170点を超えるようになりました(図6)。お客様からのコメント(クレーム:感謝)も、5:1から2:1になりました。これからも100年企業をめざして、お客様に支持される接客とスタッフの働きやすい環境づくりに尽力していきたいです。

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図表7|CS調査点数推移

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