
申請するなら今!中小企業が使える補助金・助成金5選【セミナーレポート】
事業拡大や新たなチャレンジに踏み出す際、資金調達の壁が立ちはだかります。そんな時に心強い味方となるのが「補助金・助成金」です。本記事では、2025年3月に開催したセミナー「事業成長を加速させる補助金・助成金5選」の内容を、参加できなかった方にもわかりやすくご紹介します。自社に合った補助金・助成金を見つけるヒントにしてください。
目次[非表示]
- 1.補助金と助成金の違い
- 2.2025年注目の補助金5選
- 3.その他の注目すべき補助金・助成金
- 4.補助金活用のポイント
- 5.まとめ
補助金と助成金の違い
補助金・助成金とは
まず、「補助金と助成金の違い」について整理しておきましょう。支援対象となる事項や審査の有無などに違いがあるため、補助金や助成金を検討する際は、事前にその違いを押さえておくことが大事だからです。
補助金は、予算や採択件数に限りがあり、申請後に審査があります。この審査では事業計画書の内容が重視されるため、緻密な準備が求められます。一方で助成金は、原則として決められた要件を満たせば受給できるケースが多く、補助金よりもハードルが低いのが特徴です。
また、対象となる投資内容も異なります。ざっくり言うと、補助金は設備投資や新規事業など「事業そのものへの投資」を支援するものであるのに対し、助成金は雇用や労働環境の改善など「人材への投資」をサポートする制度です。
<補助金と助成金の違い>
所管する省庁にも違いがあります。補助金は経済産業省等が所管し、経済成長を促す新たな投資や事業拡大を目的に交付されるものが多くなります。助成金は厚生労働省等が所管しており、雇用の維持や人材確保、職場環境の改善といった、人に関する取り組みへの支援が中心になる点が特徴です。
近年のトレンドとして、国は「人手不足の解消」や「生産性の向上」に重点を置いた支援を強化しています。以前はコロナ禍の影響を受けた企業向けの「事業再構築補助金」などが注目されていましたが、今後は「生産性向上」や「省力化投資」を目的とした新たな補助金の拡充が予想されています。
優遇税制を受けられる場合がある
補助金・助成金は、優遇税制(一定の取り組みに対する税負担軽減)を受けられる可能性があります。場合によっては、資金面において「資金調達」と「優遇税制」の二重のメリットが得られるということです。資金調達の際には補助金・助成金の活用を選択肢に入れられることをおすすめします。
<優遇税制事例:製造業A社>
2025年注目の補助金5選
ここからは、2025年に注目すべき補助金・助成金5選をご紹介します。いずれも中小企業や小規模事業者が活用でき、新設または拡充された最新の内容も含まれています。それぞれの詳細を次にみていきましょう。
<2025年 注目の補助金・助成金5選>
中小企業省力化投資補助金(一般型)
「中小企業省力化投資補助金(一般型)」は、 中小企業が業務の効率化や省力化につながる設備・システム導入を行う際に活用できる補助金です。この補助金は年に複数回の公募が予定されており、2025年内に数回申請機会があります。設備投資による生産性向上を検討している企業は、早めに動き出すことがおすすめです。
対象者 |
中小企業・小規模事業者。 |
補助額 |
750万円~1億円(従業員数によって額が決定) |
補助率 |
1/2 |
経費対象例 |
|
参照情報:中小企業省力化投資補助金〈一般型〉申請支援・コンサルティング
<注目ポイント>
昨年までは、国が指定する「カタログ掲載商品」のみの購入に補助金の活用が限定されていましたが、2025年度からはカタログ未掲載の商品でも申請可能な「一般型」が新設され、自社の実情に合わせた柔軟な申請が可能になり、より活用しやすい制度へと進化しています。
新事業進出補助金
「新事業進出補助金 」は、既存事業とは異なる新分野への進出に対する大型補助金です。物価高騰などの社会経済情勢の変化に対応するため、中小企業が思い切った「事業再構築」を行うことを支援します。具体的には、新しい分野への展開、事業の転換、業種変更、事業再編などが対象となります。
対象者 |
中小企業者等。 |
補助額 |
2,500万円~9,000万円 |
補助率 |
1/2 |
経費対象例 |
|
参照情報:中小企業新事業進出補助金 トップページ
<注目ポイント>
従来の事業再構築補助金の後継として登場したのがこの補助金です。特に「建物費」や「広告宣伝費」も対象となる点が特徴です。新しいビジネスを始める際の、工事費やPR費用まで対象経費として含められるため、特に新事業を検討される場合はおすすめです。
中小企業成長加速化補助金
「中小企業成長加速化補助金」は、 売上高100億円を目指す成長意欲の高い中小企業を支援する補助金です。事業規模の拡大、特に工場設立や大規模な設備投資など、大きな成長を見据えた投資を後押しします。
対象者 |
年商10億円以上100億円未満の中小企業。 将来的に大きく事業を拡大したい企業やチェーン展開を考えている企業など。 |
補助額 |
5億円まで |
補助率 |
1/3 |
経費対象例 |
|
参照情報:中小企業成長加速化補助金 申請支援・コンサルティング
<注目ポイント>
2年間の期間で投資できるため、長期的な視点での大規模な設備投資やシステム導入を検討している企業に適しています。外注費も対象となるため、大規模なコンサルティング費用なども経費対象として含めることができる可能性が高いです。
業務改善助成金
「業務改善助成金」は、従業員の賃金引き上げと生産性向上につながる投資を同時に行う中小企業を支援する助成金です。一定額の賃上げ(例えば、一人あたり時給30円以上アップ等)を実施した事業所に対し、生産性向上に必要な設備投資費用の一部が助成されます。
対象者 |
中小企業・小規模事業者。 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である企業が対象。 |
助成額 |
1店舗あたり最大600万円(店舗ごとに額が決定) |
助成率 |
3/4 |
経費対象例 |
|
参照情報:厚生労働省業務改善助成金トップページ
<注目ポイント>
この助成金は「賃上げ」と「設備投資」をセットで行うことが大前提です。特に、補助率が最大3/4と他の補助金に比べて高い点が魅力的です。こちらは厚生労働省管轄の助成金であり、要件を満たせば原則受給できるため、比較的チャレンジしやすいと言えるでしょう。昨年度、飲食・小売の企業で広く活用された助成金がこちらです。今年も、10月の最低賃金引上げ前の時期を狙ってこの助成金を活用される企業も多くなるのではないかと当社は予想しています。
<業務改善助成金活用事例:飲食業B社>
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」は、中小企業・小規模事業者が、革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資などを行うことを支援する補助金です。企業の競争力強化や付加価値向上を目指して支給されます。
対象者 |
中小企業・小規模事業者等。 新しい技術やサービスに挑戦したい企業、製造工程の効率化を図る企業など。 |
補助額 |
750万円~4,000万円 |
補助率 |
1/3 ~ 1/2 |
経費対象 |
|
参照情報:ものづくり補助事業公式ホームページ
<注目ポイント>
長年続いている補助金ですが、今年は「革新的な新製品・新サービス開発」につながる取り組みが条件となるなど、要件がより限定的になっています。単なる生産性向上だけでなく、新しい価値を生み出すための投資が求められます。海外事業展開に関連する費用(広告宣伝費や旅費)も一部対象となる枠がある点がユニークです。
その他の注目すべき補助金・助成金
上記の5つ以外にも、2025年度において、中小企業・小規模事業者に有用な補助金・助成金が多数存在します。セミナーでは、弊社への問い合わせが特に多い以下の制度も紹介しました。
●小規模事業者持続化補助金
従業員数が数名規模の小規模事業者向けの補助金。販路開拓や設備導入など幅広い取り組みに対し、50〜200万円程度を上限に補助金が出ます。広告宣伝費も対象となるため、チラシ作成やWebサイト制作、店舗の看板設置費用などにも使え、創業間もない事業者にも人気です。
関連記事:【中小企業の補助金活用事例】設備投資に300万円の採択
●大規模成長投資促進補助金
総投資額10億円以上の非常に大きなプロジェクトを対象とした補助金です。補助上限額は最大5億円にも及び、大企業に近い中堅企業の工場新設、大型機械設備導入、ロボット導入、ソフトウェア構築などを強力に支援する制度です。
●人材開発支援助成金
社員やアルバイトの研修の実施に対して支給される助成金です。OFF-JT(職場外研修)に要した経費の45%が助成され、さらに受講中の賃金相当額として一人あたり時給760円の助成も受けられます。合計10時間以上の研修であることが必要です(例:2時間 × 5日などでも可)。ITスキル研修や語学研修、最近話題のAI研修なども対象となり、コストを抑えて従業員のスキルアップを後押しすることができる制度です。
●事業承継・M&A補助金
2025年度に新設予定の補助金で、中小企業の円滑な事業承継やM&Aによる事業統合を支援するものです。M&A時のデューデリジェンス(企業価値評価や法務・財務調査)費用、新体制への移行に伴う諸経費などに対し、最大1000万円の補助が見込まれています。事業売却・買収を検討している場合は最新情報をチェックしましょう。
●新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(東京都)
東京都独自の補助制度で、既存事業の改善・再構築に取り組む中小企業に対し最大800万円を助成します。売上減少など一定の条件を満たす企業が対象ですが、国の補助金にはない店舗賃借料(家賃)なども経費に含められる点が特徴です。また、個人事業主でも対象となるところもこの補助金のポイントです。
●観光事業者等外国人旅行者受入れ対応力強化事業(東京都)
インバウンド需要に対応するための東京都の助成金です。都内の飲食・宿泊業者等が対象で、採用活動費や人材定着の取り組みに対し最大300万円が助成されます。例えば求人広告の掲載費用、多言語対応の接客研修費、採用したスタッフの定着支援コンサルティング経費などが対象です。予算枠が限られており先着順で締め切られる場合もあるため、公募開始後は早めの申請が肝心です。
本記事に掲載したものを含め、弊社では様々な補助金・助成金のご紹介や申請サポートをしています。自社が使える補助金・助成金がわからない場合はお気軽に無料相談をご利用ください。ご相談はこちらから>>
<MS&Consultingが申請サポートできる補助金・助成金等の一覧>
補助金活用のポイント
セミナーの最後には、補助金・助成金を効果的に活用するためのポイントをお伝えしました。
ポイント1:補助金・助成金で購入したい時期から逆算し、申請スケジュールを組む
原則、「購入してから補助金申請」はできません。交付決定通知を受け取った後に経費として購入することが可能になります。 例え補助金の採択を受けた後でも、交付決定通知を受け取る前に発注・契約・購入した経費は補助対象外となるので注意が必要です。また、助成金においても交付決定以前の購入は対象外となります。必ず事前に計画を立て、申請→採択→交付決定を経てから事業を開始するスケジュールを組みましょう。
ポイント2:入金までのタイムラグを考慮しておく
補助金のスケジュールは制度ごとに異なりますが、公募開始から資金が手元に入るまで半年から1年以上かかる場合も多いです。例えば、3月に公募開始→申請→夏頃に採択発表→秋に交付決定→そこから事業着手・支出→完了後に精算手続き→実際の入金はさらに後、といった流れになります。このようなタイムラグを資金繰り計画にも織り込んでおきましょう。
ポイント3:タイムリーに情報をキャッチする
補助金は種類が非常に多く、国の制度だけで数万件、自治体独自のものも多数あります。新設・改廃も頻繁です。タイムリーに最新情報を入手することで、「知らないうちに締め切りが過ぎていた」という事態を防げます。自社に適した制度を見逃さずに活用するため、日頃からアンテナを高く張ったり、専門家に相談したりしながら資金調達の選択肢を広げていきましょう。
まとめ
今回ご紹介した補助金・助成金は、それぞれ異なる投資を支援するものですが、中小企業の皆様の事業成長を力強く後押しするものです。人手不足の解消、新規事業への挑戦、円滑な事業承継など、何か新しい動きを取る際は自社で使える補助金・助成金がないかリサーチする習慣をつけてみてください。
また、「自社で使える補助金はあるのか?」「どうやって申請すればいいのか?」といった疑問をお持ちの方に向けて、当社では無料の個別相談会を承っています。貴社に合わせた補助金・助成金をその場でご紹介可能です。ご興味のある方はお気軽にご相談下さい。ご相談はこちらから>>
※セミナー講師:株式会社MS&Consulting 宗像吉樹・染谷朋江 執筆:並木彩華