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チームビルディング成功の秘訣は、 店舗の状態に合わせた課題把握から

株式会社MS&Consultingは、従業員エンゲージメント調査「tenpoket(テンポケット)チームアンケート」に寄せられた、パート・アルバイトを含む24万人の店舗スタッフの声を分析しました(集計期間:2018年4月1日~2019年3月31日) 。メンバーが強みを貸し合い、一人ではとても成し得ないような大きな目標を達成するチーム。そんなチームを作るために、店舗では何から取り組んでもらったらいいのでしょうか?ビッグデータの分析からは、店舗の状況に合わせて重視しなければならない項目が異なっていることがわかりました。

そもそも「チームビルディング」とは?

チームビルディング(team building)とは、個人が集まって集団になった時のメリットを活かして、個人では成し得ないような、大きな目標を達成できるチームを構築する作業のことを指します。

4番バッターばかりでは野球チームが成り立たないように、優秀な人材を集めれば優秀なチームが生まれるわけではありません。共通の目標に向かって、各メンバーが持つ多様な能力や考え方を相互に理解しあい、融合させていくことが重要になります。

例えば、「目標の共有や調整」「一人ひとりの強みを活かした役割分担」「メンバー同士の信頼関係の構築」「 コミュニケーションの活性化から生まれるイノベーション」など、チーム=集団だからこそできる、チーム全体のパフォーマンスを最大化する取り組み全般がチームビルディングの活動と言えます。
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Freepik画像_チームビルディングとは?

「チームビルディング」を行うメリットとは?

では、チームビルディングを行うメリットとは何でしょうか?2つご紹介します。

かけ算の成果が生まれる

チームメンバーが持つ、経験や能力、強みや得意分野は、一人ひとり異なるものです。チームビルディングを通して、一人ひとりが持つ強みやアイデアを上手く組み合わせることができれば、人数分の効果の合計よりも大きい成果、「掛け算の成果」を生み出すことができます。

イノベーションが生まれる

チームビルディングが成功し、上司と部下の縦の関係だけでなく、横や斜めの関係でもコミュニケーションが活性化すると、自分とは違う多様な経験や考え方に接することができるようになります。結果、一人では考えつかなかったようなアイデアが生まれ、また、メンバー同士の関係性が深まっていけば「あの人の力を借りたら、こんなことも実現できそう」といった相乗効果も期待でき、イノベーションが生まれる組織風土が醸成されます。

市場が成熟し、顧客ニーズの多様化や市場の細分化が起きている今、顧客に近いチームメンバーを含めた全員の能力やアイデアの力を最大限に引き出すことができる「チームビルディングスキル」は、管理職層が持つべき能力と言えそうです。

チームビルディングは何から始めればいいのか?

では、チームビルディングを成功させるためには、まず何から始めればいいのでしょうか?

長年、従業員エンゲージメント調査を実施してきた弊社では、チームビルディングのスタートラインとして「チームの現状把握」が重要であると考えています。

個々のチームメンバーが持つ経験やスキル、チームの強みと弱み、チーム間のコミュニケーションの流れなどを理解することで、戦略を効果的に立てることが可能になるからです。

実際、弊社が行っている従業員エンゲージメント調査「tenpoket(テンポケット)チームアンケート」から得られたパート・アルバイト含む24万人の現場スタッフの声を分析してみると、「チームのステージによって取り組むべきテーマが異なる」ことがわかりました。そのためにも、チームの現状把握がチームビルディングの第一歩と考えています。

「チームのステージ」によって取り組むべきテーマが異なると述べました。次に、現状把握の後、取り組むべき店舗のチームビルディングにおける「5つのステージ別取り組みポイント」について解説します。

5つのステージ別取り組みポイント

従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」では、スコアを5段階にわけています。サービス業の平均スコアゾーンがステージBです。

スコアのステージ分布従業員エンゲージメント調査のスコア分布


今回の分析では、2018年4月1日~2019年3月31日に従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を行った15,513店舗、約24万人分のデータを用いて、エンゲージメントスコアS~Dの各ステージの差異を取り、ステージ間の差異が大きい項目にランキングをつけました。

差異が大きい上位10項目の内、「有意味感」「影響感」「成長感」「達成感」「適正な評価」「仕事への誇り」の6項目は、すべてのステージにおいて重要な項目であることが分かりました。この6項目以外に各ステージ差異があった項目を、チームビルディングにおいて、ステージ別に取り組むべき優先課題として、次にご紹介します。

関連サービス:従業員エンゲージメント調査 tenpoketチームアンケート

ステージDの店舗が重視すべき項目とは?

▼ステージC⇔ステージD の差異項目
「ビジョンの共感」
「信頼」
「人間関係」
「心身の健康」

エンゲージメントが最も低いステージDでは、リーダーシップ項目である「ビジョンへの共感」「信頼」が、特に差異の大きい上位項目に表れています。スタッフが店長を信頼できていない状態にあるため、何よりもまずスタッフからの信頼を獲得するための行動を起こすことが重要です。店長への信頼がない状態でビジョン(店長の考え)を示してもスタッフの共感を得ることはできません。「ビジョンの共感」も差異の大きい項目として表れています。

このステージでは、「店長自身が店舗ルールを守っていない」「シフト調整が遅い、シフトでお願いしたことが守られていない」等がスタッフの不満として出てくるケースが多いため、まず、店長自身のどのような行動がスタッフの信頼を得られない原因なのか?スタッフとのコミュニケーションの中から掴み、改善していくことが必要です。

ステージC・Bの店舗が重視すべき項目とは?

▼ステージB⇔ステージC と ステージA⇔ステージB の差異項目
「強みを伸ばす風土」
「人間関係」
「顧客満足の実感」
「心身の健康」

エンゲージメントスコアが低目~平均的であるステージCからステージBまでは、「強みを伸ばす風土」「人間関係」の項目が特に差異の大きい項目として表れています。スタッフ同士が互いのことを認め合えているかどうかは、スタッフがこのお店に自分は必要とされている、居場所があると思うことができるかどうかに関わってきます(有意味感や影響感)。

「居場所がある」「必要とされている」と感じているスタッフの人数を増やしていくことが、ステージCからステージBにおいては重要です。スタッフ同士が互いのことを認めあえるように、「〇〇さんは△△のところが素敵だよね」「△△さんは毎日□□を行ってくれていて、ありがたいよね」など、他のスタッフの良いところに目を向けられるようなコミュニケーションを、店長含めリーダークラスのスタッフから積極的に発信していくことが重要と言えます。

ステージAの店舗が重視すべき項目とは?

▼ステージS⇔ステージA の差異項目
「顧客満足の実感」
「責任感」
「提案」
「改善意識」

従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のデータを見ると、ステージAとステージSの差異として、スタッフの主体性項目である「責任感」「提案」「改善意識」が出ています。エンゲージメントスコアがステージAぐらいになると、日々の仕事にスタッフが有意味感を持ち始め、お店や一緒に働くメンバーのために「自分に何かできることがないか」と考え始めます。ですから、その意欲を伸ばすために、店舗内で「自分だけでなく、みんなのために○○を行っていこう」というコミュニケーションが重要になってきます。

スタッフが自分の仕事に価値を見出し始め、仕事が面白くなってくるタイミングです。生まれ始めた主体性をさらに大きく育てるためには、オペレーション変更を行うときやシフト調整を行う際にスタッフの意見を聞くことや、店長が問題意識を持っている事柄を共有し一緒に解決する手伝いをしてほしいと促していくことも有効です。

チームビルディング成功の秘訣は、店舗の状態に合わせた課題把握から

まとめますと、

□ステージD:スタッフからの信頼を高めるために、一人一人の意見を聞き、店長自身の言動を改める
□ステージC~B:スタッフ同士の良いところに目を向かわせるコミュニケーションを重視する
□ステージA:店舗の問題を共有し、スタッフを頼りにし、主体性をさらに引き出す


が一つ上のステージに上がるために必要なアクションです。

ステージDの店舗状態にあるお店が、いきなりステージSを目指して、「責任感」や「改善意識」を目標にし、取り組んでいくことは困難です。つまり、今の店舗状態に合わせた課題を一つずつ解決していくことが、ステージSになるための近道と言えるでしょう。

関連コラム:従業員エンゲージメントとは?今さら聞けない定義や向上方法をご紹介
     :従業員エンゲージメント調査とは?目的や流れ、6つの活用方法まで徹底解説!
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まずは、運営する店舗がいまどのステージなのか、
従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」で現状把握をしてみませんか?

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MS&Consulting 錦織浩志
MS&Consulting 錦織浩志
東京大学 大学院を修了後、MS&Consultingへ入社。データアナリストとしてビックデータの分析を担当。その知見を活かし、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究の成果として、数々の共著論文を発表。研究テーマ例に「従業員エンゲージメントと顧客満足の関連性分析」「パート・アルバイトの従業員エンゲージメントの特徴」「サービス・ベンチマーキングによるサービス・プロフィット・チェーンの高度化に関する研究(サービス学会BestPaperAward受賞)」など。

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