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良い環境・評価には良い人材が集まる! 世界一のベーカリー&パティスリーを目指す仕組みづくり

株式会社オールハーツ・カンパニー

http://www.heart-bread.com/


取材/砺波敬之 文/宮本紗和
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

ベーカリーショップ「HEART BREAD ANTIQUE」やスイーツショップなど、関東・中部・関西エリアに77店(2018年現在) を展開する株式会社オールハーツ・カンパニー。同社は、業績項目と同じ割合で、ミステリーショッピングリサーチを人事評価制度に採り入れることで、立地による店舗間の売り上げ格差などから生じる評価の不満を解消。店長と店舗スタッフが一丸となって業務改善プロセスを回せるような風土作りに成功しているという。人事部部長 兼 FC管理室室長 金子 洋輝氏にお話を伺った。

――御社が目指すビジョン、経営方針とは。

従業員はもちろん、その家族、取引先まで、当社に関わるすべての人を幸せにできる会社でありたい、という創業当初の思いから、当社と関わる人々の生活を安定させ、会社を大きくし、発展させていかなければならないと考え、当社では「世界No.1ベーカリー&パティスリーを目指すこと」をビジョンに掲げています。そのためにまず、2025年までに売り上げで日本一に、2045年までには世界一になることを目標にしています。


――ミステリーショッピングリサーチを導入している理由を教えてください。

売り上げを向上させ、会社の発展を目指すには、CSの取り組みが大切であると考えています。「お客さまの声を聞く仕組みはないか」と探していた時に、一般消費者(以下、モニター)の声をレポートにまとめてくれるMS&Consultingさんのミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)の存在を知りました。MSRのモニターさんは、一般のお客さまと同じように来店し、商品やサービスの評価をされるので、店舗からすると「いつ調査されているかわからない」という良い緊張感が生まれます。各店舗、立地やスタッフ数などの条件が異なるため、店舗ごとに異なる期待値をお客さまの視点で具体的に把握することができるのは大変ありがたいですね。接客の改善活動を促進させる一助となっています。

人事部部長 兼 FC管理室室長金子 洋輝氏


――御社でのMSR活用方法を教えてください。

MSRのレポート結果は、全店舗へ開示しています。各店長からスタッフへ配布し、その結果を基に「良い点と改善点」「改善点に関する今後の対策」を店舗内で話し合います。店長は、話し合った改善案を全社員に配信します。

また、店舗にだけ任せるのではなく、本部でもMSRのレポートをチェックし、いただいた指摘事項を検討しています。先日「入店時の挨拶がない」というコメントあった際は、「(スタッフの)意識を上げよう」といったマインドの部分だけでなく、「環境や仕組みで改善できないか」といったことを本部で考えました。実際、シフトインしているスタッフが少なくお客さまがいらっしゃらない間は、全員が厨房に入って作業をするため、お客さまが入店しても気づけないという現状がありました。そのため、お客さまが入店されたことに気付ける仕組みとして、扉にベルを付けました。

このように、どこに原因があるのか、というのは店舗やその時々の状況によって変わりますので、一つの事象に対して、現場と本部がそれぞれの視点から読み解くことで、より良い改善策を導き出せるのではないか、と考えています。

MSRは主観的な調査ですので、当選されたモニターさんによって同じ店舗であっても評価が大きく変化します。しかし、実際に来店してくださるお客さまも、モニターさんと同様、当然一人ひとり違う目線を持っていらっしゃいますので、当社ではすべてのお客さまから200点満点をいただけるような店舗を目指そうと、本部と現場が一丸となって取り組んでいます。

MSRを読んで何を思い、何を改善しようと思ったのか、スタッフ同士が意見交換を行い、そのやりとりにエリアマネージャーがフィードバックをする。


――MSRを人事評価にも使われていると伺いました。

はい、当社では2年前から給与と賞与の査定にMSRの結果を取り入れています。評価は、売り上げ・利益・MSRの点数・衛生調査・その他(個人評価)の5項目を対象とし、各項目同等の割合で評価しています。売り上げや利益の方が重要ではないか、という声もありましたが、売り上げは立地に起因するところもあるため、「お客さま目線でブランド価値を高めているか」という視点も評価対象に入れることで、店舗間の公平性を考慮しました。

給与を決定するまでに、自己評価、上長評価と上長からのフィードバック面談を行います。当社の特徴は、加点だけでなく減点もあるところです。能力によって給与が決まりますが、基本的な考えとして全員の給与を上げることを意識しています。面談時に、現在の課題や今後の目標を明確に示すことで、次第に不満は出てこなくなりました。

現在、さらに評価基準を整え、賞与・昇給の仕組みをブラッシュアップしていきたいと考えています。いまチャレンジしていることは、残業時間の削減です。残業が多い者は評価を下げ、賞与の査定に影響が出るようにしています。また、社員自身が残業時間を意識できるように、出勤時に使用している認証システム上に、残業時間を表示するようにしました。さらに、残業時間が増えると色が変化するようにすることで、視覚的にも意識しやすくなり、現在ではほとんど残業がなくなっています。生産性意識の高まりを感じましたね。


――今後の展望を教えてください。

世界一良い待遇で、世界一の売り上げを誇る会社であれば、良い人材が集まってくると考えています。
その世界一の環境をつくるために、今回、御社の従業員満足度調査「tenpoket」の導入も開始しました。今後は、従業員が自社のどこに満足し、どこに不満を持っているのかを見つけ、改善ポイントを探り、労働環境や福利厚生の面からバックアップしていきたいと考えています。

CSに取り組む理由をアルバイトでもイメージできるように、エピソードを用いて明文化している。※資料「理念」を一部抜粋

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