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木の葉モール橋本 (福岡地所株式会社)(ショッピングセンター)

管理事務所、テナントスタッフ全員が、
「自分達でつくる」ショッピングセンターを目指して

木の葉モール橋本 (福岡地所株式会社)(ショッピングセンター)

木の葉モール橋本 (福岡地所株式会社)

福岡県福岡市西区橋本2-27-2

会社ウェブサイト:http://konohamall.com/

『季刊MS&コンサルティング 2012年秋号』掲載
取材・文:加地 義太郎
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
近年、ショッピングセンター(以下、SC)は出店数が増え、エリア内での競合状況が激しくなってきている。そんな中、「如何に少人数・ローコストで運営するか」という点に多くのSCが注意を傾けている。木の葉モール橋本は、「商圏範囲10キロメートル以内の地域密着型ショッピングセンターをローコストオペレーションで運営していく」というテーマを掲げて2011年4月に開業した。開業から約1年半、テナントスタッフは、館内の研修やキャンペーンに自ら積極的に参加し、施設でのイベント回数は累計1,300回を超えている。毎月ボランティアで行っている地域のゴミ拾い運動には、毎回100人前後のスタッフが参加。テナントスタッフ同士は定期的に懇親会を開催。管理事務所、テナントスタッフ、地元のお客様と、地域に愛されるショッピングセンターが実現しつつある。どのように施設作りをしてきたかを伺った。
支配人の榎本佳勝氏

支配人の榎本佳勝氏

支配人の榎本佳勝氏は、「地域密着型のSCを目指すには、“リピーター”をいかに増やしていくかが最重要課題となります。リピーターづくりには、“良い商品”と“良い接客”が必要。反対に“悪い接客”の噂はすぐに広まりますので、極力なくす必要があります。また、働いている人も地元の人が非常に多いので、彼らの普段の姿勢や言動を知っている人は、彼らを通して木の葉モール橋本を見ます。そのため、働いている人のES(従業員満足)もとても大事にしなければいけないと思いました」と当時を振り返る。

 皆で作り上げたクレドと行動指針、管理規則集

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開業前の準備段階においてカギとなったのが、管理事務所メンバーが皆で作成した“クレド”と“行動指針”だ。「クレドや行動指針作りは、スムーズにはいきませんでした。最初に私がクレドの叩きを作成し、それをメンバーに見せてみると、修正が入りました。その点を修正して、またメンバーに見せると、さらに修正が入りました。そんなことを5回ほど繰り返して、やっとクレドが完成しました。また、“行動指針”や“管理規則集”においても同じような工程を辿りました。皆、私の考えをすべて肯定するのではなく、“遠慮なく”修正意見を出してきました(笑)」(榎本氏)。皆が意見を出し合い作ったクレドは、管理事務所のメンバー全員にとって“自分達のクレド”になった。

支配人自ら実施した100回を超える入館研修

福岡地所株式会社(http://www.fukuokajisho.com/)は、福岡を拠点として都市開発、住宅開発、オフィス・商業施設の開発・運営、ホテル運営など幅広い事業を展開。同社が経営する商業施設は他に「キャナルシティ博多」「マリノアシティ福岡」「リバーウォーク北九州」がある。

福岡地所株式会社(http://www.fukuokajisho.com/)は、福岡を拠点として都市開発、住宅開発、オフィス・商業施設の開発・運営、ホテル運営など幅広い事業を展開。同社が経営する商業施設は他に「キャナルシティ博多」「マリノアシティ福岡」「リバーウォーク北九州」がある。

木の葉モール橋本のテナントスタッフのほとんどは、榎本氏の顔を知っている。それは、テナントスタッフ全員が受けることになっている入館研修を、開業前から、榎本支配人がほぼ全て実施しているからだ。

「入館研修は初めの何回かは自分がやって、その後は他の営業メンバーに実施してもらうつもりでした。しかし、3回程実施した後、『よし、この研修は全部、私がやろう』とスイッチが入ったんですね。研修では、“木の葉モール橋本で働く上での心構え”を伝えています。ごく当たり前のことばかりを話す研修ですので、退屈してしまうこともあるでしょうし、『何を当たり前のことばかり言っているの?』と斜に構える人もいると思っていました。しかし、毎回全員の顔を見ながらやっているのですが、退屈な顔をした人は1人もいませんでした。参加者からは、前向きなエネルギーしか感じられなかったのです。この場でこの施設に対する想いを1人1人の顔を見ながら伝えることの重要性を感じ、毎回、私が実施することにしました」(榎本氏)。

そして、榎本氏による入館研修は、開業から1年半経った先日、105回目(9月27日時点)を迎えた。現在のスタッフは、ほぼ全員が榎本氏の顔を見て入館研修を受けている。結果、同氏が館内を歩いていると、多くのテナントスタッフから声がかかるような距離の近さだ。時にはテナントスタッフから直接支配人に相談の電話が入る事もあるという。それは、管理事務所の営業担当者とテナントスタッフの距離の近さにもつながっている。

少人数の管理事務所メンバーで、1,000回を超えるイベントを実施

カタランネ・カタリーナ:手作りの街びらきイベント。カタランネの丘を中心に、魚やさん、肉屋さん、ケーキ屋さんなど、様々なお店があります。支配人が“王様”に扮して、“街びらき”を行います。

カタランネ・カタリーナ:手作りの街びらきイベント。カタランネの丘を中心に、魚やさん、肉屋さん、ケーキ屋さんなど、様々なお店があります。支配人が“王様”に扮して、“街びらき”を行います。

木の葉モール橋本の特徴の一つに、イベント数の多さがある。開業から既に累計1,300回を超えるイベントを実施。少人数の管理事務所メンバーで、どのようにしてこれだけのイベント開催を実現したのだろうか。

「テナントの方々が『○○なイベントをやりたい』と、提案してきてくれるからです。もちろん、それに応える管理事務所メンバーは大変ですが、皆、この仕事が好きなんでしょうね。テナントの皆さんの提案に応えようと、必死に、そして積極的に関わり行っています」(榎本氏)。テナント主体のイベント以外にも、冬には「カタランネ・カタリーナ」という子供のための王国仕立ての遊び場を作り、街開きとして、榎本氏自らが“王様”として、“街びらき”をしたり、夏休み期間中には、毎朝、皆でラジオ体操をしたりと、手作り感溢れるイベントを数多く実施している。

 MSRと研修の取り組みに営業担当者も積極参加

木の葉モール橋本では、明確に「地域密着型Sc」という方針を打ち立てている。そのために重視しているのは、“良い商品”と“良い接客”によるリピーターづくりだ。その鍵を握るのは、働いている人の姿勢だと榎本氏は話す。

木の葉モール橋本では、明確に「地域密着型Sc」という方針を打ち立てている。そのために重視しているのは、“良い商品”と“良い接客”によるリピーターづくりだ。その鍵を握るのは、働いている人の姿勢だと榎本氏は話す。

榎本氏は、CS・ESを高めていくための取リ組みとして、研修やミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)も重視している。

「以前は、覆面調査結果をそのままテナントに返して『○○の部分が悪かったから、次は頑張ろうね』と言って終わりでした。現在は調査報告時に点数は公表せず、『気付き』を促しながら考えてもらうようにしています。結果、徐々に改善のPDCAができてきており、お店が変わったと感じる瞬間も多くなってきました。MSRの研修に参加している人の中には、『点数が悪かったら、本部に怒られる。どうしよう…』という人は少なく、いかに自店の改善を進めていくかに主眼を置いている人が多いです。研修後は、店長が研修で学んだ内容を店舗に持ち帰り、それぞれのやり方で、テナントのスタッフさんに話をしたり自ら実践したりしています。結果、皆が自らPDCAを意識するようになってきました」

研修は強制でないにも関わらず、テナントのほぼ全店が参加。また、営業担当者は研修中に参加者のテーブルを周り、疑問点がないかなど、フォローに動き回っている。「研修は、一種のライブのようなものだと思っています。営業担当者が研修に参加せず、会場の後ろで怖い顔で見ているだけだと、白けた雰囲気ができてしまいます。講師と参加者と営業担当者の、一体感のある空気感が良いのです。営業担当者にとっても、“研修を自分達でつくっている”という想いが強いと思います。研修前から何度も打ち合わせを行い、『今回の研修は何の目的でやるのか?』『参加者の理解が難しくて、自分達の事後フォローが必要なところはどこか?』などを話し合っています」

さらに、榎本氏は、1日に同じ研修を3回実施する日でも全ての研修に同席し、冒頭の挨拶をし、研修の様子を見守っている。「研修は、同じことを何度もやっているとだれてくることもあります。私がいることでそれが起きないなら、いるべきだと思って、基本的には全ての研修に出席するようにしています。木の葉モール橋本に移る前の私は、研修の最初だけ挨拶をして、パッと会場から出て行っていました。しかし、やってみて実感するのですが、『あっ、支配人が途中で出て行ったな』というのは、テナントのスタッフさんも分かっているのです。それが研修に参加する方の緊張感や真剣味に影響する事もあると思います」

自分達の木の葉モール橋本

「これも、テナントのスタッフさんから上がってきたことなのですが、『木の葉モール橋本のこの良い空気感を守るために、モラルが守れていないテナントスタッフさんやお客様には自分達で注意できるようになった方が良いのではないか』という声が聞かれるようになってきました。自分達で木の葉モール橋本を作っていこう、大切にしていこうという気持ちの表れだと思いますので、非常に嬉しく思っています。そんな風に『自分達でつくっていく』という意識をさらに高めていきたいですね。」

担当コンサルタントが語る、この企業はここが凄い
株式会社MS&Consulting 加地 義太郎

SCというは、何十もの法人が一つの場所に集まって運営している特殊な組織。対して、管理事務所は担当者が数名であるため、全テナントの改善活動を進めていくのは、簡単なことではありません。実際に、管理事務所側では、研修や調査を実施しても、それによる改善が実施されるかどうかまではタッチしないことが多いようです。そうした中、木の葉モール橋本は、「少人数体制でも、CS・ESを軸にしたSC運営が実現できる」ことを証明した事例と言えるでしょう。木の葉モール橋本の榎本氏と改善活動のキックオフ研修の際に、「『恕』(思いやり)の精神を広めたい。管理事務所としてテナントに対してもそうだし、テナントスタッフさん同士もそう。そして、お客様に対しても、思いやりが溢れる施設にしたい。そのためにMSRと研修をやりたい」というメッセージがありました。ビジョンを掲げ、管理事務所メンバー、テナントスタッフが共に目指すことで、ビジョンの実現は可能である、と信じて活動を進められるScが増えていくことを願っています。

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