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【第8回クオリティサービス・フォーラムレポート】
職能を徹底して標準化、伸びる力を引き出す

株式会社みたのクリエイト

株式会社みたのクリエイト

URLhttp://ameblo.jp/mitano-aki/

代表者:田野 治樹 代表取締役社長
所在地:沖縄県中頭郡中城村字南上原816
設立年月:2007年9月
事業内容:飲食店企画運営
展開するブランド:目利きの銀次、火鉢屋、動く町、他
社員数:正規57名、パート・アルバイトなど186名(12月1日現在)

※『季刊MS&コンサルティング 2015年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。

従業員の納得度の高い評価体系づくり

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取締役最高執行責任者の末吉弘晃氏。人材開発部ができる以前は同氏が単独で全スタッフの育成に携わっていた。

「目利きの銀次」をはじめ沖縄に7業態15店舗の飲食店を展開する、株式会社みたのクリエイト。「沖縄にない食材を県内のお客様へ」との考えから、地産地消ではなく“他産地消”をコンセプトとして、日本全国から仕入れる食材が人気だ。近年はアジアへの進出が目覚ましく、現在ではバンコクや香港に計5店舗を出店している。

飲食業界誌などには、業界の常識に反するユニークな施策が度々紹介されている。例えば、原価率100%超のメニュー。顧客がそれを目当てに来店し、歓声を上げる目玉商品になっている。「“思いやり”と“サプライズ”」と掲げた経営理念に基づいて、着実に業績を伸ばしている同社は業界内に留まらず高く評価され、第5回クオリティサービス大賞で特別賞を受賞、また平成24年度「おもてなし経営企業選」に選出されている。

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外観も店内もダイナミックなデザイン。ディスプレイにもこだわり、産地直送のライブ感を演出している。

顧客へのさまざまな心尽くしの一方で、同社は人材育成にも力を入れている。職能を公正に見極め、また評価される側のスタッフも納得度の高い仕組みをつくり上げ、「有能ならばアルバイトが社員以上に報酬を得てもいい」との考えに基づいて沖縄県内でも高い時給水準を実現している。

国内の営業部にて組織開発を主に推進し、現在は海外FC事業やマーチャンダイジングを手掛ける取締役最高執行責任者の末吉弘晃氏は、「生産管理の考え方で“単純化・標準化・専門化”の頭文字を取った“3S”、これらに自分たちなりに取り組みました」と話す。具体的に同氏が実施したのは、「職能の標準化」と「定期面談の改善」だ。

職能を習得したら時給に反映

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職能を基にした評価基準一覧。このリストを基にテストを実施し、合格すると時給に反映される。

居酒屋などの現場での臨機応変な対応が求められる業態では、スタッフの評価があいまいになりがちだ。接客力は数値化しにくく、「頑張っているから」と期待を含めて評価してしまうこともある。

「特に当社は、マーケットも客単価も異なる7業態を展開しているので、仮に同じ時給でも別々の店で働く2人は果たして同じ能力があるのか、見極めができていませんでした。料理人の評価や採用にしても、経歴だけでは判断できない。そこで、全社的な職能の標準化に着手しました」。

まず向き合ったのは、「仕事が“できる”とはどういう状態か?」という問いである。例えば電話応対でも、元気な受け答えができれば良いのか、店の場所を正確に伝えられれば良いのか、基準がなければ属人的に判断するしかない。経験ある店長や料理長らと話し合い、電話対応や灰皿交換から“10卓を15分で回せる”といった居酒屋ならではのスキルまで、あらゆる職能をリストアップ。その評価基準を決め、一覧にした。

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沖縄でのノウハウを活用しながら、海外にも出店。香港の企業とみたのクリエイトスタッフの写真。

次に、それらの基準をもとに毎月テストを実施。基準をクリアしていれば、その職能の分を時給に反映していった。

「店を移ればあまり使わなくなる技能もありますが、一度習得した職能の分の時給は据え置く。そうした分かりやすい評価体系にしたことで、スタッフのモチベーションも非常に高まり、毎月のテストに30人も40人も来てくれるようになりました。また、職能と評価基準の一覧があれば、教育も今までよりずっと早く進むことが分かりました」。

さらに、個々のスタッフの能力が可視化されたことで、各店舗で不足している職能や、繁忙期に誰をヘルプに入れれば良いかなども分かり、オペレーションのレベルが格段に向上した。習得すべきことが明確になったため、新人育成もアルバイトに任せられるようになった。

問題意識のシェアこそ重要

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理念に基づき、原価率100%を超えるメニューも提供。「他産地消」をコンセプトに全国から産地直送で鮮魚が集まる。

もうひとつの取り組みが、「定期面談の改善」。店長のタイプによって個人面談の内容や成果がばらつくことが課題だった。

「チームをつくりやすいのは、しっかり“聴く”店長ですが、コミュニケーションも仕事のうちと理解して取り組めている店長が少なかった。そこで、まず店長に必要な“聴き方”を徹底しました」。

同氏いわく、「拾い上げていく」面談が重要だという。店長は本部スタッフが作成した共通フォーマットに基づき、店舗スタッフと面談、本部が面談結果を取りまとめて資料を作成し、店長がその後に行うミーティングで共有する。「実際に問題が解決するかどうかはまた別なんです。空きスペースに棚があったらいい、トイレのスリッパを変えた方がいいなど、自分の小さな意見がシェアされると、店を良くするためにもっと自発的に考え、行動するようになる。それこそが重要です」。

そして、本部がサポートすることで店長の負担を軽減し、店舗毎のブレをなくす仕組みをつくり上げた。

沖縄から、大阪や東京ではなくアジア各国へ進出した同社。「日本の労働人口は、今後どんどん減少します。外国人と一緒に働くシーンが増える中で、どういう人材育成や評価をすべきかを考えていきたいと思います。また、職能をしっかり把握することで、経験を積んだ店長や料理長がさらに活躍するステージをつくるなど、今いるメンバーがさらに生き生きと働ける再編の仕方も探っていきます」と語る。

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