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外食で培ったノウハウとホスピタリティが、
宅配事業の大きな成功要因に

株式会社ライブフードプロデュース(宅配業態)

株式会社ライブフードプロデュース

神奈川県海老名市東柏ヶ谷1-2-17

会社ウェブサイト:http://www.lfp.co.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2008年夏号』掲載
取材:西山博貢、文:鬼熊春子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
2年連続で居酒屋甲子園の決勝進出を果たし、注目を浴びる居酒屋「合点」。運営する株式会社ライブフードプロデュースでは、事業のポートフォリオを考え、宅配寿司のFC「銀のさら」を中心とした宅配分野にも事業を展開している。社長の小林上努也氏にお話を伺った。

御社直営の居酒屋「合点」は2年連続で居酒屋甲子園決勝進出ということで注目を浴びていますが…。

株式会社ライブフードプロデュース 社長 小林上努也氏

株式会社ライブフードプロデュース 社長 小林上努也氏

現在は、居酒屋甲子園で決勝に進出した「合点」をフランチャイズとして展開していきたいと考え、そのパッケージ化に取り組んでいます。具体的には、プロの料理人がいなくても料理のレベルを維持することができるようなメニュー開発を行っています。

と言いますのも、居酒屋甲子園に出場したことで、改めて、「合点の売りは料理だ」ということを認識できたからです。自分の店の良さというのは、自分ではなかなか分からないんですよ。自分としては当たり前のことしかやっていないという気持ちしかないので。ですから、いざ居酒屋甲子園出場となっても、何を発表すれば良いのかよく分からなくて、それなら直接お客様に聞いてみようと、お客様にインタビューをしてみたのです。そうしたら、皆さん「料理が美味しい」ということを言って下さいましたので、「そうなんだ、美味しいんだ」と。

t06-04思い返せば、会社を立ち上げて最初の店をオープンさせる際、料理人に恵まれたからこそあの店が作れたという経緯があるんですね。私自身はまったく料理ができませんから、人に恵まれなけれ
ば、あの店は開けませんでした。そして、当時の私と同じようなことで困って
いる方、つまり飲食店をやりたいという気持ちはあるけれど、料理の部分でつまずいて
いる方は多いのではないかと考えまして、それならその部分を手助けできるような
フランチャイズが作れないかと。

外食の一次品質、つまり料理の味というところに関してはフランチャイズのシステムとしてサポートし、それ以外のサービスなどの面で独自性を発揮してもらう。そういうフランチャイズを作ることができれば面白いのではないかと思っています。

居酒屋などの店舗を運営される他に、宅配寿司「銀のさら」などのFC事業も行なわれてますが、「銀のさら」の運営はいかがですか?

t06-09

シャリ一つとっても、どうすれば、もっと美味しくできるのかを日々研究。ミーティング時に、全店のシャリを集め比べをして改善していく。その結果は、お客様アンケートの「味感動」の数値に確実に表れる。アンケートを一番の経営指標にしている。

「銀のさら」に加盟してまずオープンさせた海老名店・綾瀬長後店の2店舗は、立ち上がりも早く、オープンから今までずっと順調に推移しています。

それ以外の店は全て、赤字の既存店を買い取り、立て直していくというスタイルですので、最近買い取ったばかりの店舗ではまだ赤字が残っているところもありますが、それ以外の店舗についてはすべて、うまく軌道に乗せることができました。

赤字店舗の立て直しというのは、通常の店舗運営以上に困難だと思いますが、成功の秘訣は何でしょうか?

実際一人でデリバリーに出るまでに、接客ループレ(先輩がついていって判断)での合格が必要。

実際一人でデリバリーに出るまでに、接客ループレ(先輩がついていって判断)での合格が必要。

「銀のさら」は外食産業以外の企業の参入も多いFCなのですが、そうした中で“外食業界の経験がある”というアドバンテージは、特に二つの点で、非常に大きいものだと感じています。まず、外食以外の業種から参入されてきたところを見ていると、F/Lの管理ができていない会社が多いですね。弊社が買い取った店舗の中でも、F/Lを合わせるだけで利益が出た店もあるくらいです。ずっと外食業界の中にいると改めて意識はしませんが、実際に様々な店舗を見比べてみると、外食企業とそうではない企業で、管理レベルの差を感じますね。外食産業のシビアな感覚に慣れているというのは、宅配事業に参入する上で、なくてはならないものだったと感じています。また、食材管理の細かいノウハウも活かすことができました。

ただ、それ以上に有利だったのは、ホスピタリティの部分です。外食業界においては、他店との差別化要素としてのホスピタリティの重要性についてはかなり以前から言われていることですが、宅配というのはまだそこまで市場が成熟していないと言いますか…簡単に言えば「ホスピタリティのある宅配」というのが、まだあまりないのです。ですから、ご注文電話の受け答えであるとか、笑顔でお届けするとか、外食業界では当然の水準のことをやっているだけでも、宅配市場ではそれが差別化ポイントとなり得るのです。

t06-08たとえば、「銀のさら」ではお届けの直前に「今から店を出ますので、あと何分後に到着します」という連絡を入れているのですが、これももともとは弊社がやり始めたことなのです。もちろんどこの宅配でも、注文を受ける際に「何分くらいかかりますよ」という目安くらいは伝えているでしょうが、「だいたい40分」と言われても、35分なのか45分なのかわからないじゃないですか。宅配を待っている間、たとえば「トイレどうしようかな」と迷うことがありませんか? 些細なことかもしれませんが、お客様の時間を無駄にせず、少しでも気分良く待っていただくということを考えると、自然とそういう方法が生まれてきますよね。

「お客様のことを考える」「気持ちを察する」ということは、外食業界を経験してきている人にとっては得意分野でしょうから、そうした人材がたくさんいるということは、宅配では大きな強みとなります。

外食と比べて、宅配では「目の前にお客様がいらっしゃらない」「お客様の反応を直接見ることができない」という違いがありますから、本来的にはお客様の気持ちを察する力や、アンケートでも電話でも良いですが、お客様の反応を知るための努力は、外食以上に必要だと考えています。

そのように考えると、確かに外食でのノウハウやマインドを持っているというアドバンテージは大きいですね。

ただし、外食で成功しているからといって、その料理を宅配すれば成功できるかというと、そういうわけでもありません。弊社でも、宅配を軸として新たな事業を展開したいと思い、「銀のさら」以外のFCにも加盟してみたのですが、「外食の料理をお届けする」という発想では、お客様が食べる頃には味が落ちてしまいます。宅配ではむしろ、お客様のところに届くタイミングが一番の食べごろになるような発想で作られた商品が必要で、「銀のさら」や一緒に展開している「釜寅」には、そうした宅配専門ならではのノウハウがあるのが強みですね。

御社では、直営店舗とフランチャイズ事業とで、人材交流などを行われているのですか?

宅配は、ポスティングが生命線。「いつ」「どこに」の仮設・検証を繰り返し、売上を作れる仕組みを構築する。

宅配は、ポスティングが生命線。「いつ」「どこに」の仮設・検証を繰り返し、売上を作れる仕組みを構築する。

実は一年ほど前から、外食事業も宅配事業も合わせての全体ミーティングを始めたのですが、そのことでたくさんのシナジーが生まれています。

先ほども申しましたように、外食事業のほうがお客様に対するホスピタリティ意識では先を行っている部分がありますから、そういう観点で宅配のほうに刺激を与えられるというメンタリティ上の好影響がありますし、また飲食の先輩として、食材管理や衛生管理などに関して具体的なアドバイスをしてくれることもあります。逆に、「銀のさら」のほうは、しっかりとしたオペレーションや管理のシステムがありますから、その良い部分を外食部門に取り入れるということもしています。もっと直接的には、繁忙日にスタッフが手伝いに行ったり、宅配のスタッフが居酒屋に友達を誘って飲みに来てくれたりということも、このミーティングをきっかけに行われるようになりました。

私は「店舗の独自性、店長の個性を尊重したい」という考えが強いので、以前は店のことは店長に任せ、店舗の運営にはできるだけ口を挟まないようにしていた時期もありました。その当時は、一つの会社というよりは、個人店の集まりというのに近い雰囲気だったのですが、全体ミーティングをするようになった今では、同じ会社の仲間として、事業を超えて全ての店のことを皆で考えるという状態が生まれてきて、非常に良い雰囲気になっていると思います。今後も、それぞれの個性を尊重しつつも、お互いの長所を取り入れ合っいながらやっていければ良いと考えています。

3年間で7店舗とかなり急ピッチで展開されていますので、初期投資額が大きいのではないかと思いますが、いかがですか?

t06-10そうですね、初期投資が大きいというのは否定できません。弊社が最初の2店舗以降は買収という形で進めている理由も、そこにあります。また、買収資金に関しては資本を半分入れてもらっている会社が買収して資産を持ち、当社で業務委託を受けています。

こういうスタイルでやっているのにはいくつか理由がありますが、一番大きいのは、私に「プロの経営者になりたい」という気持ちがあるからです。つまり、所有と経営とを明確に線引きして、私は経営のほうの道を究めたいということです。オーナー兼経営者だとどうしても甘えが出てしまいますが、外から資本が入ることによって説明責任が生まれますし、第三者の立場から厳しい目で見てもらうことによって、経営者としてもっと成長できると思うのです。

ですから、資産はお金のある会社に持ってもらって、私はマネジメントやオペレーションの部分を専門にするという方向で業績を伸ばしていきたいと考えています。

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