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コロナ禍によって従業員エンゲージメントはどう変わった?

コロナ禍で様々な不安がある中、サービス業で働くスタッフの従業員エンゲージメントはどのように変化したのか?このコロナ禍でもいち早く従業員エンゲージメント調査(チームアンケート)を実施した14社、のべ53,010名の回答から見えてきた「新型コロナウイルスが従業員エンゲージメントに与えた影響」について考察していきます。

<調査期間>
コロナ禍:2020年4月~7月(n=25,131)
コロナ前:2019年4月~2020年2月(n=27,879)


1.14社中12社で従業員エンゲージメントが向上

弊社の従業員エンゲージメント調査では、目指すべき結果指標を「従業員ロイヤルティ(重要3項目)」と定め、下記3つの項目の平均値を用いています。

働きがいを感じているか
この職場を推奨できるか
この職場で働き続けたいか


今回調査を行った14社の内、この結果指標が改善していた会社は12社と全体の約86%を占めていました(図1)。また残りの2社についても微減に留まっており、大きく従業員エンゲージメントのスコアを下げた法人はありませんでした。


図1 コロナ前/コロナ禍を比較した時の、従業員エンゲージメントの推移(14社)

「心身の健康」「帰属意識」が高まった他、アルバイトスタッフでは「リーダーシップ(≒店長との関係性)」も改善

では、特にどのような項目が高まったのでしょうか。

まず役職別で分けたとき、「店長」「社員」「アルバイト」共通して従業員ロイヤルティが高まっていました。

項目を見ると「心身の健康|心身共に健康に働けていると感じるか」「帰属意識|ここで働き続けたいと感じるか」の2項目が改善幅上位10項目に入っていました。

次にアルバイトだけの結果をみると、共通して高かった「心身の健康」「帰属意識」の他には8項目中4項目がリーダーシップ(≒店長との関係性)の項目となっていました(表1)。

特に「情報の伝達|的確に情報を店舗内に伝えているか」が高まっており、このコロナ禍で様々な情報を伝えることが必要になった時に、的確に情報を伝えることができた店長が多かったことが推察されます。

また、「傾聴姿勢|上司が自分の意見に耳を傾けてくれる」「興味・関心|上司が自分に対して興味や関心を持ってくれる」といった「スタッフの巻き込み」関連の項目でスコアが高まっていました。


表1 アルバイトのコロナ禍/コロナ前の従業員エンゲージメント比較


社員では「有意味感|仕事の社会的価値を感じる」「影響感|自分が好影響を与えている」といった、スタッフの主体性に関する項目で特に高まっていました(表2)。

様々な業種の社員データが含まれていますが、外食や小売、ガソリンスタンド、ホテルなどにおいて「自分自身の仕事」の意味合いや誇りを感じられるようになっていると推察できます。

表2 社員のコロナ禍/コロナ前の従業員エンゲージメント比較


店長においては「傾聴姿勢|上司(マネージャー等)が自分の意見に耳を傾けてくれる」の項目が最も高まっていました。

日々変化する状況の中で、経営や営業部の方針をマネージャー経由で店長に伝える中、現場のリーダーとして店長も現場の状況をマネージャーに伝えたい、その中で意見に耳を傾けていたマネージャーの方が多かったのではと考えられます。


表3 店長のコロナ禍/コロナ前の従業員エンゲージメント比較


しかし、これはサービス業全体に当てはまるものとは限らない

ただ、ここで注意しなければならないのは、これらのデータは「コロナ禍においていち早く自社の従業員エンゲージメント調査を行った」企業のデータであるということです。

各役職の「コロナ前」における従業員ロイヤルティスコアを見てみると、店長(54.1)とアルバイト(55.6)は全てサービス業(50)を大きく上回っていることから、元々従業員エンゲージメントを大事にしていて、スコアも比較的高い傾向にある企業の結果であることが分かります。

こういった企業においても、店舗別に見てみると逆にリーダーシップの項目が下がったり、従業員ロイヤルティが下がったりしている店舗もありました。コメントにおいては

以前から店長との話し合いがない店舗だったが、今回の新型コロナの件でいつ店を再開するのかも何も発信されず、ギリギリまで連絡もなく不安な毎日でした。

本社からの変更が多い。内容がきっちり落とし込まれてない。コロナ対策も遅すぎる。

コロナ対策が曖昧であり、会社の方針も教えられていないので、お客さんに聞かれても答えられない。

といった声も聞かれました。

特に新型コロナウイルスの感染拡大防止のために清掃・消毒などのオペレーションが増加する中でも業績をV字回復させていこうとする中で、店長や社員、アルバイトのモチベーション、店舗の組織状態を確かめておくことは非常に重要であると考えられます。

皆様の組織ではこのコロナ禍において、縦のコミュニケーション(上司⇔部下)や横のコミュニケーション(同僚)はスムーズでしたでしょうか?店舗はこれから生産性を高めていける組織状態にありますでしょうか?ぜひ一度健康診断として、従業員エンゲージメント調査を実施してみるのはいかがでしょうか?

MS&Consulting 錦織浩志
MS&Consulting 錦織浩志
東京大学 大学院を修了後、MS&Consultingへ入社。データアナリストとしてビックデータの分析を担当。その知見を活かし、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究の成果として、数々の共著論文を発表。研究テーマ例に「従業員エンゲージメントと顧客満足の関連性分析」「パート・アルバイトの従業員エンゲージメントの特徴」「サービス・ベンチマーキングによるサービス・プロフィット・チェーンの高度化に関する研究(サービス学会BestPaperAward受賞)」など。

お役立ち資料

人手不足解消 4つの成功事例 従業員エンゲージメント調査活用事例集

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