従業員エンゲージメントスコア、トップ店舗の取り組みとは?
スタッフの「働きがい」を高め、結果的に「人材定着率」や「CS」「業績」の向上にもつなげる。人材難のこれからの時代に必要な店舗運営の考え方です。本シリーズでは、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」の審査で最高ランクのS評価を獲得した店舗に、スタッフが意欲的に働けている背景を取材しています。今回は、寝具の力で世界を朝から元気にすることを目指す「まくらぼイオンモール盛岡店」の店長、石井大樹氏にお話しを伺いました。
「お客様への想い」の強さが、「働きがい」も高める
従業員エンゲージメントスコアがとても高いですが、どのようなことを意識されていますか?
当店は、お客様の睡眠や健康に関するお悩みを解決するために寝具全般を販売するお店です。ですから、お客様が商品を選ぶというよりは、スタッフがお客様のことを伺いながら、ぴったりの商品をご提案する営業スタイルになります。
その際、「商品の提案」ではなく「その商品を使った先にある未来を提案」するように心がけています。
例えば、同じ腰痛にお悩みのお客様でも、症状が改善した後にお子様とキャッチボールを思いっ切りしたいお客様と、趣味のゴルフを再開したいお客様とでは、お伝えする情報が変わってきます。
徹底してお客様目線の販売。そのような販売を心がけていると、「あなたから買って良かった」と言っていただける機会が必ず増えます。もちろん、数字にもつながり、スタッフの自信や働きがいにもつながっているのだと思います。
エンゲージメントの高さは、定着率向上や業績にもつながっていますか?
私が店長に就任してから1年半ですが、その間、離職はゼロです。
また、当店はご紹介での新規来店がとても多いです。オーダーメイド枕の制作でご来店されるお客様が毎月100人ほどいらっしゃるのですが、そのうち15~20人ぐらいがご紹介来店です。
お話しを伺った、Futonto株式会社 まくらぼ イオンモール盛岡店 石井店長
「全員接客」が販売力を磨く
高いCSを実現するには全スタッフの販売力向上が必要です。どのような育成をされていますか?
会社の研修制度が充実しています。
毎月、社員は丸々2営業日、パートアルバイトスタッフは丸々1営業日が研修の時間です。
幅広い知識を学ぶだけでなく、他店のスタッフにも会えるので、他店でのやり方を聞いたり、同じ年次のスタッフに相談にのってもらったりもできる時間となっています。
店頭ではどのようにスタッフの販売力の育成をしていますか?
スタッフが店頭でどんな接客をしているのか実際に見て、ほぼ毎日フィードバックしています。
接客後にフィードバックすることもありますし、接客中にフィードバックすることもあります。
接客中にフィードバックする場合は、「〇〇について聞いてみた?」「〇〇すると喜んでいただけるんじゃない?」など、進行中の接客の中ですぐにできることをアドバイスします。その場でお客様に喜んでいただけ、スタッフは体感で大事なことを習得していけます。
店長は基本は接客をせず、スタッフの見守り・育成に専念されているということですか?
いえ、僕自身も接客しています。当店は「全員接客」を方針としているので、自分のお客様の接客をしながら、隣のお客様にも話しかけます。その中で、各スタッフがどんな接客をしているか把握しています。
この「全員接客」も、スタッフに良い影響を及ぼしています。スタッフによって得意な話が違うので、例えば、ゴルフが好きのお客様の場合、ゴルフ好きのスタッフを呼んで接客をサポートしてもらったりしています。スタッフはお互いの得意分野を相互に学ぶことができます。
「スタッフ一人ひとりの価値観」を大事にする
スタッフの皆さんが楽しみながら働いている様子が伺えます。スタッフに対しては、どのような点を大切にされていますか?
月1回、1対1で面談をしたり、時には食事に行ったりと、仕事以外の話をする時間を取っています。
その中で、スタッフそれぞれの、家族だったり、趣味の時間だったり、それこそ、お金だったり、これだけは譲れないという価値観、また逆に、これだけは嫌という価値観を理解して、そのポイントは押さえてマネジメント させていただいています。
また、私たちの業界は、中途採用の多い業界です。なぜ前職を辞めたのかは必ず確認しています。その方の価値観が現れる部分。聞いたことに対しては誠実に向き合うようにしています。
今後に向けて考えていることを教えてください。
当社の企業理念は「世界を朝から元気にする」です。まずは、東北エリアだけで年商1億円を達成できるぐらい、東北の方の睡眠に貢献していきたいと思います。今回の従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」では高い評価をいただきましたが、慢心せずに努力し続けます。
※取材:2023年9月5日
※執筆:株式会社MS&Consulting 児玉彩子
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです。