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【薬局利用に関する調査】待ち時間を長く感じる時、感じない時

薬局を利用した100名に"薬局を選ぶ基準"を聞いたところ、第1位は「待ち時間の短さ」となりました。ところが詳しく結果を見ていくと、待ち時間が長かったにも関わらず「待ち時間満足度」は高いケースが多数あり、「実際の待ち時間」と「待ち時間満足度」は必ずしも相関しないことがわかりました。"患者様の視点から見た待ち時間"について調査レポートを報告します。

【調査概要】
調査手法:覆面調査
調査内容:薬局入店から退店までの接遇・店内環境調査(処方箋持参)
調査数:門前薬局100店舗100名
調査期間:2022年7~8月
調査実施:株式会社MS&Consulting


薬局を選ぶ基準、第1位は「待ち時間の短さ」

処方箋を持参して薬局を利用した患者様100名に「調剤薬局をどのような基準で選んでいるか」を聞いたところ、結果は、

  • 第1位「待ち時間が短い」
  • 第2位「病院との距離が近い」
  • 次いで 「店内が綺麗・清潔感がある」「職員の感じが良い」

となりました【図1】。

【図1】調剤薬局を選ぶ基準
※データ数100名、複数回答可
【図1】今後もこちらの薬局を利用したいと思いましたか?(調剤薬局に対する消費者意識調査、ネットリサーチ分析レポート)


フリーコメントには下記のような声が寄せられました。

・時間の有効活用のため、待ち時間の少ない薬局を選ぶ
・体調が悪い時は病院との距離が近いお店がありがたい
・薬という商品の性質上、清潔感や整理整頓に対する意識は他のお店より重視している
・待ち時間を少しでも快適に過ごしたいので清潔感を重視している
・質問をすることがあるのでスタッフさんの雰囲気が良い薬局を選ぶ
・病院との距離が近いとありがたいが、スタッフさんの態度が悪かった場合は次に利用する気持ちはなくなる


患者様は薬局に、短い待ち時間や立地といった「利便性」とともに、清潔感や職員の好ましい対応から生まれる「雰囲気・居心地の良さ」「相談のしやすさ」といった点も望んでいる様子がうかがえます。


「待ち時間」を長く感じる時、感じない時

「待ち時間」について詳しく結果を見ていくと、待ち時間中に薬剤師や事務スタッフが患者様の方へ目を向ける、言葉をかけるなど、配慮を感じられる対応があった場合「体感待ち時間」が改善することがわかりました【図2】。

【図2】「体感待ち時間」と「職員からの配慮を感じる対応の有無」の関係
【図2】「体感待ち時間」と「職員からの気づかいある対応の有無」の関係
※「実際の待ち時間」が10分以上の調査データのみ利用(括弧内はデータ数)。


また、「待ち時間満足度(待ち時間だけでなく、スタッフの対応・設備・清掃状況・居心地など待ち時間に対する総合的な満足度)」は、職員からの配慮を感じる対応があった場合41ポイントと大幅に改善しました【図3】。

待ち時間が長くなってしまう場合でも患者様不満を高めずリピート利用につなげるためには、「待ち時間が長くなる時の職員の心遣いの強化」が重要施策となると言えそうです。

【図3】「待ち時間満足度」と「職員からの配慮を感じる対応の有無」の関係【図3】「待ち時間満足度」と「職員からの配慮を感じる対応の有無」の関係
※「実際の待ち時間」が10分以上の調査データのみ利用(括弧内はデータ数)。


また、「実際の待ち時間」が10分を超えると「体感待ち時間」を長く感じる患者様が増えるため【図4】、10分前後を超える待ち時間がある場合における対応は特に検討が必要そうです。

【図4】「実際の待ち時間」と「体感待ち時間」の関係
【図4】「実際の待ち時間」と「体感待ち時間」の関係
※括弧内はデータ数


アプリ」「LINE公式アカウント」の浸透には課題

処方箋の事前送信や服役後フォローといった機能を持ったアプリやLINE公式アカウントについて案内があったかも調査したところ、これまで薬局を利用する中で案内を受けたことがある人はわずか27%、およそ3人に1人という結果となりました【図5】。

【図5】今までにアプリやLINE公式アカウントの案内を受けたことはありますか?
【図5】薬局でLINEアプリを紹介されたことのある割合(調剤薬局に対する消費者意識調査、ネットリサーチ分析レポート)


「待ち時間の短さ」が薬局を選ぶ基準の第1位であることを考えると、業務の効率化による待ち時間短縮が期待できるアプリやLINE公式アカウントの案内を、接遇の一連の流れの中にどう組み込むかは一考の必要がありそうです。

以上、

  • 薬局を選ぶ基準の第1位は「待ち時間の短さ」であること
  • ただし、待ち時間中に職員から配慮を感じる対応があった場合は「体感待ち時間」や「待ち時間満足度」が改善すること
  • 待ち時間短縮につながるアプリやLINE公式アカウントのご案内が進んでおらず課題と可能性があること

を報告いたしました。来店型の覆面調査【ミステリーショッピングリサーチ】では、運営する薬局の「待ち時間満足度」や「職員の患者様対応力」の調査が可能です。詳しい内容はこちらからご覧ください⇒

患者様満足度調査

◆執筆:株式会社MS&Consulting ドラッグ・薬局部 古田 顕尚、永渕 孝紘

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