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【第9回クオリティサービス・フォーラム レポート】 成城石井の大切にする価値観 “BASIC”でつながる従業員の意志


株式会社 成城石井

URL:http://www.seijoishii.co.jp/
代表者:代表取締役社長 原 昭彦
創業:1927年2月
所在地:神奈川県横浜市西区北幸2-9-30 横浜西口加藤ビル5F
事業内容:スーパーマーケット、輸入、卸売販売、食品製造、飲食店
展開するブランド:成城石井、Le Bar a Vin52、EPICERIE BONHEUR 成城石井、成城石井 SELECT


『季刊MS&コンサルティング 2016年冬号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。


立地状況に応じた多様な出店スタイル

弊社は、1927年に世田谷区・成城の小さな果物屋からスタートいたしました。成城という土地柄日々の食材にもこだわりをお持ちのお客さまが多く、ニーズにお応えする中で品揃えが充実していったというのが、成城石井の原点です。マスコミには「高級スーパー」と紹介されることもありますが、私たちは決して高級感を追求してはおりません。追求しているのは「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」という経営理念です。

弊社の特徴の一つとして、早くから駅ナカ立地の店舗展開をしている他、高速道路のサービスエリア内、オフィスビル内、最近では10坪の超小型店など、さまざまな店舗フォーマットを開発しており、それぞれの立地に応じた品揃えを行っていることが挙げられます。


3つの差別化ポイント

(1)商品力

弊社の差別化ポイントの一つ目は、商品力です。成城石井らしい特徴のある商品として、主に「直輸入品」「自社工場(セントラルキッチン・CK))商品」「オリジナル商品」「各地のこだわり商品」の4種類があります。

まず「直輸入品」ですが、これはバイヤーが現地で買い付けて直輸入することで独自の品揃えを実現できること、低価格を実現できることの他、流通を直接管理することで商品の品質を維持することにもつながっています。

次に「CK商品」です。CKというと一般的には大量生産して価格を下げることが目的ですが、弊社の場合はキッチンが作れない狭い店舗でも、こだわりの商品を販売することができるようにとCKを設けており、一流レストランなどの出身の職人が素材や製法にこだわって手作りしています。

三つ目は「オリジナル商品」いわゆるプライベートブランド(PB)です。これも一般的には価格を安くするために作られることが多いですが、「他にはない商品を、自分たちの手で作ろう」というのが弊社のPBであり、「安心・安全でおいしさにこだわった商品」というコンセプトで作っています。

最後に「各地のこだわり商品」です。これは、大量生産されていないために、あるいは東京圏への販売ルートがないために流通できていない各地のこだわり商品を、お客さまにお届けしようというものです。



(2)売り場力

このように、弊社ではたくさんのこだわりを持って商品を製造・仕入れておりますが、いくらこだわりのある高品質な商品でも、ただ並べておけば売れるというわけにはいきません。そこで、店舗の立地や客層に応じてレイアウトを変更したり、商品のこだわりが一目でわかるよう、陳列方法やPOPにも工夫を凝らしています。

弊社は各店に売価決定権がありません。そのため、ライバル店が安売りをしているからといって、対抗して値段を下げることはありません。そうなると「価格が安い方に行こう」となるのが当たり前ですが、そうならないように、お客さまに弊社のこだわりを理解していただき、使い分けしていただくことに力を入れています。


(3)接客・サービス力

差別化ポイントの三つ目は「接客・サービス力」です。

ここまでお伝えした通り、弊社はこだわりの商品を多く扱っておりますので、商品の特徴をお客さまに伝えることがとても重要になってきます。そこで、ワインやチーズ、生ハム、コーヒー・紅茶といった商品に関する知識を社内のスクールやEラーニングで学んで、こだわりを伝える接客に役立てています。

また、社内外の接客コンテストへの参加を推奨したり、チェッカー技能検定も積極的に取得しています。ちなみにこの検定の1級合格者は全国で300人程度しかいないのですが、弊社は毎年合格者を輩出し続けており、1級取得者数日本一となっています。


大切にする価値観

続いて、弊社が大切にする価値観についてお伝えしたいと思います。

弊社において特に重要視しているのが、「挨拶」「クリンリネス」「鮮度管理」「欠品防止」の4つの基本の徹底です。これは、お客さまに買い物を楽しんでいただくために守らなければならない最も大切なことと位置付けており、毎週開かれる経営会議でもこの4つが徹底されているかが最重要議題となります。また、スーパーマーケットの店長の評価は店舗の売上や利益によって決まることが多いと聞きますが、弊社の場合、店長評価の5割はこの「基本の徹底」が占めています。

4項目が徹底できているかどうかを確認するために、4種類の覆面調査を実施しています。覆面調査について当初は否定的な意見もありましたが、継続して活用していく中で現場の理解も深まり、今ではレポートのコメントを積極的に活用して改善活動を進めています。


絶対に変えてはいけないこと

最後に、成城石井の「絶対に変えてはいけないこと」をお伝えして、まとめとしたいと思います。それは、お客さまへの敬意と感謝の気持ちです。その気持ちは商品・サービスへのこだわりという形で表れ、そしてお客さまの満足へとつながります。安心・安全を常に心がけ、質の高い商品とサービスを適正な価格で提供し、成城石井に関わる方々の生活を豊かで充実したものにするよう、最大限の努力をしてまいります。

成城石井は今後も「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」という経営理念を実現できるよう、力を尽くしてまいります。


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