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【第9回クオリティサービス・フォーラム レポート】 ユニバーサルデザインが生み出す4千万人の市場

株式会社ミライロ

URL:http://www.mirairo.co.jp/
代表者:代表取締役社長 垣内 俊哉
設立:2010年6月2日
所在地:大阪府大阪市淀川区西中島3-8-15 新大阪松島ビル8F
事業内容:店舗、設備、製品のユニバーサルデザイン化に伴う企画・設計
※一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会URL
http://www.universal-manners.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2016年冬号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。


自分とは違う誰かのことを思いやり、理解する

「ユニバーサルデザイン」とは「国籍、性別、年齢、障がいの有無に関わらず、皆にとって使いやすいモノやサービスの在り方」を意味する言葉です。

なぜ今、ユニバーサルデザインが必要とされているかというと、その背景には街の環境の変化があります。特にこの20~30年の間の変化は目覚ましいものがあります。たとえば現在の日本の法律では、1日に3,000人以上の乗降がある駅にはエレベータを付けなくてはなりません。以前は5,000人以上というラインでした。今後さらに1,500人にまで引き下げられるでしょう。こうした変化によって、多くの高齢者・障がい者が外出できるようになってきています。私自身、地元の駅にたった一基のエレベータが付いたことで、一人で電車に乗って移動ができるようになり、人生が大きく変わりました。そして、外出できるようになれば、当然その次は、近隣の店舗に行こうということになります。高齢者・障がい者がモノを買う、サービスを利用する時代を迎えているのです。

今後、そうした機運はますます高まってきます。来年の4月には「障害者差別解消法」が施行されます。この法律では二つのことを定めています。一つは、不当な差別的扱いの禁止。たとえば、車いすであることを理由に入店を拒むなどの行為を禁止するということです。二つ目は、障がい者への合理的配慮の実施です。耳が聞こえづらい人とのコミュニケーションを例に取ると、ペンと紙で筆談してサービスの説明をしたり、携帯電話で文字を打って見せたりといった可能な限りのサポートを行いましょうというのが、合理的配慮です。こちらは民間事業者に関しては努力義務とされていますが、3年後の法改正では法的義務になるだろうと言われています。つまり、いずれやらなくてはいけないことです。それなら、「法律ができるからやらなくては」ではなく「他がやる前にやろう」というくらいのポジティブな姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

そのために変えていかなければならないのは、ハード(環境・設備)とソフト(サービス)の二つです。ただ、予算などの制約によってハードを変えられないこともあるでしょう。しかし、ハードが変えられなくても、ハートを変えることはすぐにでもできることです。そのための取り組みとして私たちが今提唱しているのが、「ユニバーサルマナー※」の習得です。
こうした取り組みを社会貢献ではなくビジネス戦略の一つとして、取り組んでいただきたいと思っています。今、車いすで入れる店舗は全体の5%以下と言われています。つまりユニバーサルデザイン対応を行うことは、他店との差別化要素となり得るのです。法律ができるから、ではなく、企業の攻めの姿勢として、多様なお客さまと向き合うことを初めていきましょう。


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