【第8回クオリティサービス・フォーラムレポート】 顧客満足と社員満足を並列に捉えた改善活動


KCJ GROUP 株式会社

URL:http://www.kidzania.jp/
代表者:住谷 栄之資 代表取締役社長兼CEO
所在地:東京都中央区佃1-11-8 ピアウエストスクエア3階
設立年月:2004年9月
事業内容:「キッザニア」の企画運営
展開するブランド:キッザニア、オークビレッジ柏の葉
社員数:正規50名、パート・アルバイトなど約1,500名


※『季刊MS&コンサルティング 2015年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。


職業・社会体験を通じて学びを得る

KCJ GROUP株式会社は、こどもの職業体験施設「キッザニア」を企画、運営、開発しております。元々はメキシコで生まれたモデルで、現在日本では「キッザニア東京」と「キッザニア甲子園」の2カ所で展開しています。

単なる“ごっこ遊び”ではなく、エンターテインメントとエデュケーションの両方の要素を提供することを目指し、これらを組み合わせた造語である“エデュテインメント”を追求することをコンセプトとしています。仕事を体験するというエデュテインメントを通じて、こどもが何らかの気づきや学びを得て、成長のきっかけにしてもらいたい、という考えをもとに運営に携わっています。


施設の特徴を簡単にご紹介しますと、施設自体は大型ショッピングセンター内に設けており、室内全天候型です。飛行機、ピザショップ、テレビ局といった約60のパビリオンが集結し、これらを一つの街として捉えて、街並みをリアルに再現することにこだわっています。ここに一歩入ればこどもたちの国、という世界観です。ちなみに、現状では7割以上がリピーターです。

パビリオンで、こどもはそれぞれの現場の仕事を体験できます。例えばキャビンアテンダントの仕事なら、実際の職業でも英語を使うので、英語での接客体験も取り入れています。職業体験をすると“お給料”として施設内の専用通貨「キッゾ」が得られ、施設内の銀行で開設した銀行口座に貯金したり、ソフトクリームなどを買ったりすることもできます。お金を得て使う一連の体験を通して、仕事の楽しさや大変さ、働くことの意味を知ることができます。体験を通した感動が自信となり、未来を生きる力になることを目指しています。


感動リレープロジェクト

仕組みに関する大きな特徴は、パビリオンの一つひとつにスポンサーがついていることです。例えば飛行機は全日空さんが提供なので、同社の実際のユニフォームのデザインや、接客時のセリフを採用しています。ヤマト運輸さんが提供する宅配センターでは、荷物を運ぶ際に「お客さまの気持ちも運んでいるから大切に運びましょう」と、同社が本当に現場で教えられていることをこどもにも伝えています。東京と甲子園合わせて、現在90弱の企業に協力していただいています。

このように、単に楽しいだけで終わらない体験を提供するために、各パビリオンでこどもに応対するスタッフが重要な役割を果たします。当社では「スーパーバイザー」と呼んでいますが、彼らへの研修に非常に力を入れています。

スタッフによる改善活動として、MS&Consultingの協力のもと、「感動リレープロジェクト」と題した施策を実施しています。CSとESに関する現状把握と、そのフィードバックを含めた研修を積み重ねていくことで、継続的なCSおよびESの向上を目指しています。

具体的には、現状把握としてCS面では来場者アンケートとミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を実施しています。来場者アンケートは毎月WEBから予約されたお客さまへ依頼しているのですが、満足度を感動レベルまで引き上げたいと思い、「感動した」の項目を入れています。これを「感動指数」と言っていますが、ベンチマークし、数値を高めることを目標にしています。

CS向上のもうひとつの施策として導入しているMSRは、3カ月に1回の割合で実施しています。この数値も、東京・甲子園とも各パビリオンのスタッフにフィードバックし、改善活動の結果として受け止め、新たな活動へとつなげています。


ビジュアル化して活動を共有

ES向上のために行っている「働きがい診断」は、社員・アルバイトを問わず全員を対象にしています。リーダーシップや組織環境、モチベーションなどの項目についてアンケート調査をしており、これらもすべてチームへフィードバックし、リーダーが具体的にどのようなチームづくりをすべきか、といったことの参考にもしています。

これらの調査に基づいて行っているのが「感動リレー研修」です。まず、各調査のフィードバックを受けて、社員・アルバイト全員が「MS気づきシート」を記入します。何に気付き、何を改善していきたいかを細かく書き出します。


そして、それをさらにチームでの改善活動につなげていきます。その段階では、具体的に行ったことと結果を定期的に「成長記録」というシートに書き込んでいきます。ここで大事なのは、なるべくビジュアル化することです。施策を実施した際の写真を撮っておき、成長記録に添えて、活動内容が一目で分かるようにしています。そうすることで、皆で内容を共有します。

これら一連の取り組みが、感動リレープロジェクトで行っていることです。加えて半年に一度、改善活動を皆の前で発表する機会も設けています。従業員を表彰の対象として、行った取り組みを認めてもらい、賞賛してもらって、また次の改善活動への励みにしていくということを繰り返すのです。その他のCS向上施策と合わせて、これらCSとESの追求をスタッフ一丸となって今後も続けていこうと思っています。

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