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直接的な利益より、お客様目線の実現を優先。お客様に愛される複合商業施設づくり

株式会社イムズ

http://www.mjretail.co.jp/company/


『季刊MS&コンサルティング 2010年夏号』掲載
取材・文:加地 義太郎
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

株式会社イムズ(以下、イムズ)では現在、ファッション、雑貨からグルメ、カルチャーまで全16フロアの中に120を超える様々なジャンルのテナントが入居している。他の商業施設と同様にこれまでも独自の現場調査を行っていたが、2010年2月よりミステリーショッピングリサーチに切り替えた。その理由と切り替え後の様子を、テナント会事務局長の竹下昌孝氏と石川弘子氏にお話を伺った。

コンセプトは情報・文化の発信基地

三菱地所グループとして初の商業施設であるイムズは、福岡の中心地、天神地区のど真ん中にそびえる黄金色をトレードマークとして、今から22年前の平成元年に産声を上げた。複数のショッピングセンターが連なる天神地区において、イムズは自施設の売上だけを考えて営業を行うのではなく、“情報・文化の発信基地”というブランドコンセプトをテナントが一丸となって実現することに重きを置いている。そのことは、次の3つの事例にも表れている。

テナント会事務局長の竹下昌孝氏


天神エリア全体を案内する「イムズレディ」

インフォメーションを担当する女性は「イムズレディ」と呼ばれているが、他の商業施設と異なり、天神地区に関することであれば、館内以外のことについての質問にも対応する。例えば、「この近くにある美味しいラーメン屋さんは?」「○○に行きたいのだけれど、どのバスに乗ったらいいの?」などの質問にも答えられるよう準備しており、対応の丁寧さが口コミで広まって、わざわざ聞きに来る人も多い。地元ではイムズレディは人気職種として知られており、求人倍率は50倍~60倍にも上るという。


お客様のためなら他店も紹介

一般的には、他店の商品のお勧めをするなどということがあれば、マイナス評価になる店も多いのではないだろうか。イムズでは、お客様のニーズに沿っているのであれば、その逆の対応をも推奨している。イムズに入居するテナントのスタッフは、お客様が探している商品が自店舗にない場合、積極的に他のテナントさらには他の商業施設に入居するテナントまで案内する。その時の対応も、「○○の○階の○○というお店にありますよ」と具体的だ。それを行うためには、他の店の状況まで知っておかなくてはならない。お客様目線を徹底しようという考えを持つだけではなく、行動に移しているのだ。


イメージ浸透のためのイベント誘致

創業以来、イムズでは様々なミュージシャンのイベントを誘致してきた。ミュージシャンでは、ドリカム、石井達也、Chara、そしてまだメジャーになる前のスピッツなどが、名前を売り出す場所としてイムズで演奏をしていたという。また、新作映画の上映試写会と舞台挨拶が行われる場所としても知られており、ほぼ毎月、何らかのイベントを実施している。これらは直接収益になるのではなく、“情報・文化の発信基地”というブランドコンセプトを浸透させることが主な目的だ。


イムズが大切にしていること

イムズがテナントに求めることは、「新しいことへのチャレンジ」と「お客様目線での仕事」だ。「テナントさんが新しい取り組みへのチャレンジを検討されている時は、お客様に求められているという前提があれば、例え前例がなくてもできるだけ応援できるよう努めています」と竹下氏は話す。お客様目線での仕事を実現するために重要視しているのは、先に例を挙げたようなお客様目線による対応の推奨と準備に加えて、「お客様に求められていること」が分かる感受性だ。そこで導入を決めたのがミステリーショッピングリサーチだが、改めてその実施理由と感想についていくつかの質問に答えてもらった。


ミステリーショッピングリサーチの実施理由と感想

Q:株式会社MS&Consultingのミステリーショッピングリサーチ調査をなぜ採用したのですか。

竹下氏:創業以来、新しい試みにチャレンジしようと突っ走ってきましたが、「自分達の考えていることはお客様にどれだけ伝わっているのだろうか。また、考えていることは正しいのだろうか」という問題意識を持ったことがきっかけです。それを機に、4年程前から毎年覆面調査を実施しています。

それまでの調査も悪い訳ではなかったのですが、ミステリーショッピングリサーチの調査結果を見て、その詳細さとリアルさに惹かれました。お客様の心象がありありと書いてあるなと。これなら、我々が目指している「お客様目線」を誰もが理解できそうだと思ったことが一番の理由です。


Q:調査後の流れを教えて下さい。

竹下氏:まず、全体像を説明すると、調査結果が出揃った後にテナントの方々に集まって頂き、ミステリーショッピングリサーチの活用研修を実施した後、担当営業が各テナントに個別にフィードバックしていくという流れです。研修の評価はとても高く、現場のスタッフさんが覆面調査の結果をあんなに楽しみにしている姿を見たのは初めての経験でした。今までは、覆面調査の結果が発表されるとなると、「結果が怖い」「悪いところが指摘されるのが嫌だ」というように、どちらかというとネガティブな雰囲気になってしまっていました。また、調査結果を見る前にミステリーショッピングリサーチの見方や考え方を知っておかないと、同じ調査でも違った受け取り方になると思いますので、研修のタイミングも非常に良かったと思います。


ミステリーショッピングリサーチの実施理由と感想

Q:レポートを読んだ現場スタッフの方々の反応はいかがでしたか?

石川氏:現場スタッフから「お客様の生の声が聞けてよかった」という声をもらいました。

プロ目線での厳しい報告も必要ですが、お客様の立場に立った時、各店舗の接客サービスがどう思われているか、またどういうことに喜び、残念に思うのか等リアルな感想を知ることの必要性を感じました。それを知ることで店舗が日頃心掛けていることが伝わっているのかということを認識することが出来ます。ミステリーショッピングリサーチはコメント部分をしっかり読み込むと、お客様の感動や改善して欲しいところが明確に感じ取れるので、ポジティブに受け止めることが出来たようです。(参照:ミステリーショッピングリサーチ調査結果より)。

特に、気持ちの良いお出迎えやお客様との何気ない会話など、我々が普段意識しないような“ちょっとしたこと”に対してお客様が感動され、逆にそういう部分ができていないと物足りなさを感じさせてしまっていることが分かりました。普段それらを意識して行っているのとたまたまできたというのとでは、大きな差となってきます。

ミステリーショッピングリサーチのコメントは我々が大切にしたいと思っている「お客様の声」そのものですから、テナントの皆さんとそれをダイレクトに共有できて良かったです。コメントが具体的だからこそ、現場の方々が頑張ろうという気持ちになりやすいのだと思います。「感動はすぐ手の届くところにある」のだと感じています。


ミステリーショッピングリサーチ調査結果

【リラクゼーションサロンの「店内対応」に関する感動事例】

担当して下さったスタッフさんは、本当に素晴らしかったです。挨拶、言葉遣い、しぐさ、全てが丁寧で柔らかい印象を持ちました。来店の動機について答えた際に、仕事の疲れでという趣旨の話をしたら、「大変でしょう。お疲れ様です」と気遣って下さって有難かったです。特に、疲れが気になる箇所も聞いて下さったので、施術を念入りにして下さって良かったです。

【物販店の「入店・会計・退店時の対応」に関する感動事例】

入店してすぐに、スタッフさんが明るくて優しい笑顔で迎えて下さいました。ショップ内にはマネージャーさんと女性スタッフさんの二名がいらっしゃって、「商品はお気軽に手にとってお確かめ下さい」と声掛けがありました。ただ、革製品でしたので手に取っても大丈夫かなと思っていたところ、ちょうど良いタイミングで「気になさらず」と声を掛けて下さったので、遠慮なく手にとって色々と見させて頂くことができました。購入の際は、女性スタッフの〇〇さんが対応して下さったのですが、商品の取り扱い方についても丁寧な説明があったので安心できました。お会計もスムーズで、ちょうど雨が降っていたのですが、「商品はビニールに入れさせて頂きました」と心配りを頂けたことも素晴らしかったです。退店時は女性スタッフの〇〇さんがお店の入口まで見送って下さり、近くにいたマネージャーさんも、お客様対応されながらもその方に失礼にならないよう、「有難うございました」と挨拶して頂けました。


■担当コンサルタントの視点
株式会社MS&Consulting 加地義太郎

ショッピングセンターではテナント同士の競争意識が強いことが多いため、ミステリーショッピングリサーチの結果が出た後は、どうしても総合点の比較に終始してしまう傾向があります。しかしながら、総合点の比較だけでは店の改善につながらないケースが多いのです。また、調査結果の各項目を細かく見て、できていなかった重要な行動だけを変えれば改善されるかというと、そうでもありません。

それは、店とお客様の状況がそれぞれ異なることに起因します。店によって業態や扱う商品、接客の担当者が異なりますので、お客様の感じる印象や求められていることも変わってきますし、お客様それぞれの状況も一人ひとり違います。

結果として表れる点数を意識して改善意欲を喚起することは大切ですが、改善を目的とした時にさらに重要となるのは、「調査結果の行間を読む」ことです。すなわち、「来て頂いたお客様にいかに感動してもらえるか」にこだわることだと考えます。

感動とは、「お客様の期待値を上回ること」と定義できます。そのためにはまず、訪れるお客様の来店理由や商品知識、時間の有無やその時の気持ちを背景とした期待値を想像しなければなりません。それを基に接客対応を行うことで、お客様が受ける印象が形作られていくのです。そのための訓練が、調査結果の行間を読む、言い換えれば、お客様の期待と現実を想像するということです。

ミステリーショッピングリサーチの評価項目の点数を個別に見るだけでは、お客様が感動したかどうかは分かりません。各項目評価のつながりやコメントを読み解くことで、お客様の感動のツボと満足度合いが明らかになってきます。石川氏の言葉を借りれば、「感動はすぐ手の届くところにある」のです。


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