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ドラッグストア差別化の本質は、 従業員力を培う社内コミュニケーション

株式会社丸大サクラヰ薬局

http://www.happydrug.co.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2010年夏号』掲載
取材・文:西山 博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

株式会社丸大サクラヰ薬局では、来たる人間産業としての差別化を見据え、ミステリーショッピングリサーチとHERBプログラムを通じて従業員力の育成と社内コミュニケーションの円滑化に取り組んでいる。経営戦略室室長・岩田裕介氏(右下写真)にその背景を伺った。

従業員力がドラッグストア唯一の差別化要素

ドラッグストアの差別化要素には、商品力、店舗力、従業員力の3つの柱があります。

商品力と店舗力について言えば、扱う商品は売場面積に依存し、面積が同じであれば8~9割はどの店舗も同じ商品を並べています。そのため、トレンドを敏感に察知して定石の品揃えをしつつも、情報発信の方法を工夫して、商品のくくり方・見せ方などで差別化を図ることが必要です。しかし、商品や店舗は、写真を撮ってその通りに並べろと言えば真似できます。価格などは1日もあれば真似できてしまいます。

一方で、従業員力は、こういうお客様がいらしたらこう対応しろと伝えても、容易に真似できるものではありません。従業員力というのは、具体的には、挨拶や表情、心配り、カウンセリングや商品説明、業務の効率性などですが、差別化の可能性が一番あるのは従業員力であり、逆にそれだけだとも言えます。

例えば化粧品の説明をする場合、肌は再生までに40日は掛かるため、すぐには変化が分かりません。さらに、使い方を間違えれば効果を感じられません。それを伝えて納得してもらうのは人の力に寄るところが大きいのです。そこで、従業員力からの根本的なCS改善を目指して、ミステリーショッピングリサーチを導入しました。

経営戦略室室長・岩田裕介氏


従業員力を高めるのは会社の環境

EIS(※)=従業員感動満足なくして、CIS(※)=顧客感動満足なし。従業員力を育成するのは会社の環境ですから、それを最初にやらなくてはなりません。今はまだ、生活のためなど何らかの理由があって、働いているという人が多いように思いますが、お金のためだけではなく、仕事によって人の役に立つことが楽しいから、自分自身が成長できるから働いているのだと思ってもらいたいです。

EIS:Employee Impressive Satisfactionの略。
※CIS:Customer Impressive Satisfactionの略。

その時、一番効果があるのはお客様の声です。お客様に感謝されると楽しくなる。また、自分の提案した売り場にお客様が立ち寄り、購入されたら嬉しい。そんなお客様の気持ちに気付く習慣を根付かせたいと思っています。ミステリーショッピングリサーチは、そのためのツールとして利用しています。お客様のことを想った接客に働き甲斐を持てて、それが差別化要素となる。そんなサイクルを実現したいです。


相互理解なくして従業員満足なし

EISについてもっと言えば、社員同士の相互理解なくして、従業員満足なしとも言えます。本部、バイヤー、店長、店頭スタッフとコミュニケーションの場面は多岐に渡りますが、よくあるのが、指示伝達系のコミュニケーションです。この商品を売ることに決まったから売ってくれ、では売る気が起こりません。その結果、企画書があっても、現場で理想的な売場は実現されない。その大部分は伝える側の責任です。こんな想いがあって仕入れた商品だからぜひ展開してもらいたい、というコミュニケーションが図られれば、伝えられる側もその気持ちに応えたくなり、それが、店頭スタッフのお客様とのコミュニケーションの充実度にも関わってきます。

従業員が会社に愛され、従業員が会社を信頼していないと、従業員もお客様を愛せません。でも、従業員の信頼はお金では買えませんし、お客様の信頼も安売りでは買えません。自動化や機械的なルールではなく、皆の気持ちが通じ合う仕組みを作ること。本部と現場の共通認識を築き、ベクトルを合わせることが先決です。最終目標は皆が誇りを持てる会社を作ることです。


社内コミュニケーションを円滑化するHERBプログラム

株式会社MS&ConsultingのHERBプログラム(※)を1年前から開始して、従業員同士の信頼関係を築くことに主眼を置いて活動してきた結果、従業員が納得をして業務に臨むことができるようになってきました。

※株式会社MS&Consultingが開発した、ミステリーショッピングリサーチを活用した人財育成による組織活性化プログラム

今までは、社内で想いや考えを共有しようとしても、表面しか伝わらないという部分がどうしてもあったと思います。しかし、セミナーで接客の本質を伝えてからは、互いの気持ちに気が付き、伝え方が変わり、普段の表情が変わり、だんだんと想いが共有できるようになってきました。今年の4月からは、社長と常務が全エリアを巡って、社員と意見交換を行うという取り組みも始まりました。

各店に2~3人は最初から感受性の高い人がいます。その人たちが率先して環境を変えていけるようサポートしてあげることが良い流れをつくります。そうやって1年目を終えて、2年目で流れを大きくしていく。段階を追って進めていくことが必要だと思っています。


従業員満足が顧客目線の前提に

ドラッガーの『現代の経営』の中に、「顧客は誰か」ということへの示唆がありますが、お客様は何を求めており、どうしたら再来店して頂けるのかというのは、販売データや本部の企画検討からだけでは見えてこないと考えています。

誰かが主導でお客様のことを考えるのではなく、一人ひとりに自発的に考えてもらうよう促し、個々の従業員が「顧客は誰か」を考える。そんなマネジメントが各店舗で実践されるようになることが理想です。そのための前提が、働く皆がお互いに尊重し合える環境づくりにあるのです。


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