常に「お客様目線」が基盤。目指すは、「感動満足提供企業」です。

株式会社ダイナック

東京都新宿区新宿1-8-1 大橋御苑駅ビル 7F

会社ウェブサイト:http://www.dynac.co.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2008年秋号』掲載
取材:有賀誠、文:鬼熊春子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

「響」「鳥どり」「パパミラノ」「ローズ&クラウン」などの幅広い人気業態や各種レジャー施設のレストラン委託運営を、東京・大阪を中心として271店舗展開する株式会社ダイナック。2007年10月から、外食業態のほぼ全店でミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を導入している。代表取締役社長の若杉和正氏に、取り組みの経緯やその成果を伺った。

2年間のトライアル期間を経て、ほぼ全店176店舗(2008年7月度末現在)で MSR導入を決められた理由を教えていただけますか?

ダイナックという会社は、「響」、「鳥どり」、「パパミラノ」、「ローズ&クラウン」、ゴルフ場レストラン運営委託など、比較的多くの業態をもって展開をしています。それは、幅広いお客様と出会えるという意味でダイナックの一つの強みだと私は思っています。その強みを本当の意味で活かすためには、総合力とでも言いますか、「ブランドとしての力を高めていくための仕組み」を作っていく必要があるのではないかと感じたことが、MSRを導入した一つのきっかけです。

より詳しく申しますと、多くのブランドを並行して展開していきますと、どうしても、我々が考えている業態のコンセプトがそれぞれお客様に正しく伝わっているのか、お客様の目にはどのように映っているのかということが見えづらくなってきます。もちろんこれまでも、「お客様の声に積極的に耳を傾けよう」ということは言ってきましたが、そうしたお客様の声を現場サービスの向上のためだけに留めるのではなく、ブランドの開発やブラッシュアップにも活かしていくためには、情報を定量的に集めるための何らかの仕組みが必要だと考えました。それがMSRだったということです。

代表取締役社長 若杉和正氏


全店舗にMSRを導入するポイントは何だとお考えですか?

今年1月に、何回かに分けて、全店の店長・調理長を集めてのキックオフ大会をやったのですが、そこで、MSRを活用していく上での基本となるコンセプトや考え方を我々自身の口から直接伝えることができたということが、非常に良かったと思います。

考え方というのは、一つは、“悪かったところではなく、良かったところを見る”ということ。MSRは言ってみれば通知表のようなものですが、通知表というのはどうしても点数の悪いところが気になってしまうもので、“できていないことを指摘されるレポート”として読んでしまいがちです。かく言う私も、最初に全店のランキング表をいただいたときには、順位の下のほうから見てしまいました。でも、そうではなくて、「逆に、良かったところ、お客様から褒められたところを探して、それをさらに伸ばしていくのがMSRのうまい使い方なんだよ」「粗探しのためのツールにしてはいけないんだよ」ということを、キックオフの場で伝えられた、現場のスタッフに理解してもらえたというのが大きいと思います。

それからもう一つは、「EIS(従業員感動満足)なくして、CIS(顧客感動満足)なし」ということ。CISの重要性については昔から言われていますが、最終的にお客様に接しているのはお店にいる店長をはじめとしたスタッフであって、CISを高めるためには必然的にEISも大切になってくるんだということです。

こういうポイントがきちんと伝えられたからこそ、MSRをポジティブなものとして受け止められたのだと思います。


MSR導入による変化、成果を教えて下さい。

一番大きいのは、社内で共通語ができつつあるということです。

たとえば、MSRには「お客様の入店にスタッフはすぐ気づき対応してくれましたか」「お客様に目を合わせてオーダーをお伺いしていましたか」など、約60個のチェック項目がありますが、これらの項目が、お客様が我々に対して期待をされているポイントなんだということが、具体的に定着しつつあるという感じがします。

もちろん、お客様が店に入って来られたら「いらっしゃいませ」とお出迎えする、そんなことは当たり前の話で、言うなれば教科書の最初のほうに書いてあること、どこの店のマニュアルにもきっと書かれていることです。しかし、MSRではそれをお客様の声として、たとえば「店に入ったらすぐに奥からスタッフさんが出てこられて、気持ち良く“いらっしゃいませ”と挨拶してくれました」といった具体的なコメントとして返してもらえます。これは実は、ものすごいことです。そういうコメントをもらったスタッフは、その後「マニュアルにそう書いてあるから」ではなくて、「またお客様に喜んでいただきたいから」自発的にお迎えをするようになります。これは、非常に大きな違いです。

さらに言えば、こういうおもてなしのポイントは、業態によっても少しずつ異なってきます。イタリアンと居酒屋では、お客様が求めているものは自然と違ってきますが、MSRを続けることによって、各店舗がそれぞれ自分の店のポイントを理解するようになってくると思います。

それから、私個人の感想としては、我々お店側の目線とお客様目線の差に、はっとさせられることがまだまだありますね。たとえばクレンリネスということについても、お店としては非常にきれいにしているつもりなんだけれど、お客様から見るとそうは見えていないことがある。

たとえばの話ですが、店のスタッフは基本的に立って仕事をしているけれども、お客様はずっと座っていらっしゃいますね。お座りになったお客様の目線から、はじめて目に付く汚れが気になったりします。レジ回りなんかもそうですね。レジ回りというのは、店の中では雑然としてしまいがちな場所だと思いますが、カードでお支払いのお客様ですと、30秒とか、下手したら1分くらい、レジに滞在することになるわけで、その間お客様が何をしていらっしゃるかというと、ただレジ回りを「見て」いることになります。そう考えると、レジ回りに向ける意識、注目度は、スタッフとお客様では全然違うということになります。スタッフの服装や身だしなみの清潔さもそうです。こういう視点の違いに気が付けないと、大変怖いことになります。

ただ、先ほどお話したように、こういったことがレポートでわかったというときにも、「天井まで掃除しなさい」「ここを整理しなさい」と指示を出してやらせるのではなく、MSRを通じて全てのスタッフがお客様の目線を理解して、お客様の立場にたったおもてなしに自然と取り組めるようになっていければ良いなと思っています。


社長ご自身で、MSRの優秀店舗を回って表彰をされていると伺いましたが…。

全社活動としてこういうことをやっている以上は、お客様から高い評価をいただけているところは、それなりにスポットライトが当たるべきだろうと思ったのと、あとは単純に、何度も高い点数を取る店というのはどこが違うのか知りたいということで、私が毎月お店を訪問して朝礼等の場を借りて表彰するということを始めました。現在で20店舗くらい回ったでしょうか。

当初は、年間最優秀店を表彰しようという話だったんですけれども、それでは遅すぎる、やるなら前月の話までだろうということで、タイムリーに表彰をするためにもこういう形となりました。


他に、MSRをより深く活用するための活動をされていますか?

本部としては、店舗同士の、横の情報交換が活発になるような仕掛けを作るように、今いろいろと取り組んでいます。

MSRのレポートを受け取って、じゃあそれをどうやって活用しようかと考えた時、やはり店にいる現場のスタッフのほうが、良いアイデアや工夫を持っているんですよ。ですから、「この店ではMSRのレポートをこんなふうに活用してうまくいっているよ」ということを、我々が他の店の人たちに伝えることが大事になってきます。ある意味ではこれが一番の生命線だと思って取り組んでいます。

先ほどの表彰もその一環ですし、御社にお願いしている店長研修も、そういう意味合いがありますね。


今、お話にあった店長研修について、導入のきっかけや実施されてのご感想をお聞かせください。

MSRの最終的な目標は、店として力を上げていくこと。これに尽きると思いますから、そのためには「お客様目線」を一つの基盤としながら、いかにしてチームの総合力を高めていくかという部分への具体的な働きかけを同時並行で進めてなければ駄目だろうなと考えて、御社に店長研修の実施をお願いしました。

ただ、この研修をやるにあたって、私自身はそれ以外にもう一つ期待していることがあるんです。それは、事務局として研修に同席させていただいているブランドマネージャーなどの本部の人間、店長の上席者となる彼らが、この研修を一緒に作っていくことによって、EIS、CISを高めていくためには何が大事なのかということを理解し、会社の中にそれが経験として蓄積されていくということです。

これはつまり、最終的には、「研修でこう教わったから」というのではなく、日常業務として、当たり前のこととして、EIS、CISにつながる取り組みが行われること、体質として会社のなかに根付くようになりたいということです。これが実現できれば、ものすごく強い組織になると思います。

今はまだスタート段階で、参加している店舗も人数も一部に限定しているのですが、参加している店長、そして事務局のメンバーについても期待以上の成果が出ていると感じていますので、これをいかに上手に全社に広げていくかが次のテーマですね。このクールが終わったら、すぐに次の展開を考えなければいけないと思っています。


今後、ダイナックとして目指すところを教えて下さい。

これはもう、そうそう変わることではないので、いろいろなところでも既にお話ししていますが、「感動満足提供企業」になろうということです。これが全てだと思うんですよね。それを実現するための具体的な行動は毎年変わっていきますが、目指すところは常にこれです。

また、今の外食産業を取り巻く経営環境は厳しいですけれども、そうした中でも安定した成長を続けていける企業でありたいと思います。急拡大ではなく、着実に、堅実に。これが一番、ダイナックらしい成長の仕方という気がしています。それを実現させるにあたって、現在手掛けている業態のブラッシュアップや、新業態の立ち上げ、そのために外部の力を借りるということもあるかもしれませんが、その根底には常にお客様の感動満足が私たちの喜びであるという強い意識を持ち続けたいと思います。


■担当コンサルタントが語る この企業はここが凄い
株式会社MS&Consulting 有賀 誠

店長向けの研修会を実施させて頂く前に、店舗風土診断というアンケートを実施させて頂きました。これは、店舗の社員の方々とアルバイトさんにご協力頂き、店舗のEISのレベルを数値化するアンケートです。「(仕事の)楽しさやりがい」や「(現場の)人間関係コミュニケーション」など大きくは8つの視点から分析をします。その結果、ダイナック様では、「BIへの自信」という項目が他社さんに比べ、ずば抜けて高い結果になりました。BIとはブランド・アイデンティティのことです。この項目は、働いている皆さんが、店舗(職場)が好きで、自店の強みを把握していないと高まらない数値です。ダイナックさんの強さの根源はここにあるのだと感じました。


記事のPDFをダウンロード

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます。

優秀SVに「業績が下降した店舗の立て直し」の極意を学ぶ

2020-05-18

グループ全体で120店舗の飲食事業を展開する株式会社ゴリップ 西日本第二営業部 勝牛関西エリア エリアマネージャー 畠山 陽太氏に、業績が下降した店舗の立て直し方についてお話を伺った。

SVマネジメント手法の極意 「業績が低迷する店舗の立て直し」

2020-04-28

屋台居酒屋『大阪満マル』をはじめとする飲食事業で86店舗(直営・FC含め)を展開する株式会社イートファクトリーホールディングス。同社で、店舗の統括をしている外食事業部SV 岡 聖也氏に、不振店の立て直し方法についてお話を伺った。

外食産業撤退危機で得た気づき 「必要とされる」店舗づくりとは?

2020-03-31

株式会社ワン・ダイニング(飲食業界)の覆面調査導入事例について紹介します。MS&Consultingはミステリーショッパー(覆面調査)や従業員満足度調査などを通じ、企業の業績UPに貢献します!

業種・店舗数・導入サービスから選択して探す

無料メルマガ会員に登録すると、メールマガジンで
「最新記事」や「無料セミナー・イベント」
情報が届きます!