HAPPY&THANKSで、従業員の「気づく力」を育てる

株式会社KUURAKU GROUP

千葉県千葉市美浜区中瀬2-6 WBGマリブウエスト30F

会社ウェブサイト:http://www.kuuraku.co.jp/


『フードビジネス通信 2008年3月号』掲載
取材:児玉彩子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

『人の成長や幸せに関わること』を目指し、居酒屋を中心に飲食店を国内17店舗・カナダバンクーバーに2店舗、教育事業として学習塾を2校舎運営している株式会社KUURAKU。代表取締役の福原裕一社長に経営についてのお考えを伺った。

ミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を導入したきっかけをお聞かせ頂けますか?

4店舗目がオープンした時、予想よりもお客様がいらっしゃらなかったのですが、店長に聞くと「リピーターは増えてきています」という返事でした。しかし、僕から見るとお客様の反応は疑問が残るものだった。そこで、「店長が自分で感じている感覚」と一日何十人とご来店される「お客様の感覚」を刷り合わせてほしいと思い“成績表”を始めました。しかし、店員の目の前で書く“成績表”ではお客様が本音を書きづらいということもあって、MS&CさんのMSRを導入し、覆面調査という形でお客様の声を集めるようになりました。

自分が感じていたお客様の気持ちとレポートに書かれているお客様の気持ちが違うことで、気づきを持った従業員は多かったと思います。例えば、当時の店長達がお客様との会話に入り込む接客を始めました。

しかし、彼らが始めたのは自分達が楽しくなる会話で、話しやすいお客様に会話が集中してしまったり、1人のお客様と会話している時に他のお客様にどう見られているか気づかなくなってしまうことがありました。私たちはプロとして、従業員にとっての楽しさとお客様にとっての楽しさの違い、1人のお客様だけの楽しさと全てのお客様にとっての楽しさの違いが分からなければなりません。MSRが導入されたことで「自分達の感覚」と「お客様が感じている感覚」に違いがあると気づいて、接客のあり方が変わっていったと思います。

代表取締役 福原裕一社長


今ではアルバイトさんが主体的にMSRを活用されるまでになっておられますが、MSRの活用方法としてはどのようなことがポイントだったと思いますか?

MSRのデータに触れる機会を増やすことです。弊社で言えばメンバーサミットやチャレンジシップアワーズといった「MSRを意識する機会」を意図的に設定していったことで、お客様の声を意識することが浸透していったと思います。

また、僕は外部の力をどれだけ活用できるかが本当に大きいと思います。メンバーサミット一つ開こうと思っても、内部でやろうと思うと甘さが出てくる。スピード感や視点が不十分だったり、経営者の求めていることとの刷り合わせが不十分だったりする。外部の方から客観的に見てもらえることで、内部のメンバーのスピード感や視点もいやおうなく高まっていくと感じています。


チャレンジシップアワーズなどの仕組みづくりを意識されるようになった背景には、どのようなお考えがあったのですか?

僕も含め人間は、何かを良いと思ってやろうと思っても行動に移さないことがほとんどだと思うんです。やろうと思ったことをやり遂げたいと思った時、簡単なのはチームとして「この時間帯にやる」と決めてしまうことです。

例えば、小学校では時間割りがあって、朝はホームルーム、1時間目にはこの授業と決められているから、子供たちが自然と反応してやるべき行動を取るんだと思うんですね。何かチームでやろうと思って、これ良いからやろうと言っただけでは物事は進まない。こういうやり方があるんだよと伝えて、後はやる時間を設定するのです。そうして繰り返していくうちに、いつか習慣になっていきます。


振り返って良かったと思う仕組みは何ですか?

今の段階では究極の方法は“HAPPY&HANKS”だと思います。チャレンジシップアワーズやナレッジマネジメントをやろうとしたら何千万円というお金が必要になりますが、“HAPPY&THANKS”はお金を掛けずに、「いつでも」「どこでも」「誰でも」無理なく始められます。


“HAPPY&THANKS”とはどのような取り組みなのですか?

幸せを感じること、感謝の気持ちを伝えること。当たり前のようで出来ていないことがあります。“HAPPY&THANKS”は、普段気が付かない喜びや幸せを振り返るシーンや、感謝の気持ちを伝えるシーンを敢えて設けることでチーム内のコミュニケーションの質と量を高める取組みです。“HAPPY&THANKS”を1人1人発表します。また、日報にはその日の“HAPPY&THANKS”を書く欄を設けて、敢えて“HAPPY&THANKS”に触れる機会を作っています。他にも社員全員が手帳にサンクスカードを持っていてちょっとした時に書き込んで相手に渡せるようにしています。専用のファイルも渡してサンクスカードをファイリングできるようにしているんですよ。社員間でかなり飛び交っていますね。


“HAPPY&THANKS”に取り組まれて、どのような変化がありましたか?

取り組み始めた当初は“HAPPY&THANKS”に気づけないんですよ、何を言っていいか分からない。

しかし、取組みを始めると今まで感じていなかった幸せが日常にたくさん溢れていることに気づき始めます。そして、幸せを感じられるようになると心が優しくなります。すると、ありがとうと感じやすくなる、伝えられるようになる。

“HAPPY&THANKS”を飲食業の人は必ずやった方がいいと思う。サービス業、特に飲食業では、相手、お客様のことを感じないといけない。感じるためには感性が高くないといけない。感性を高めるためには、自分の心を良い状態にして、感性を開けるコンディションを作らないといけない。“HAPPY&THANKS”に取り組むと、色々なことを感じるようになってきますので心の状態が良くなる。すると、お客様の状態や心をもっと感じるようになって、ホスピタリティが高まっていきます。

僕は、例えば大声を出して気持ちを鼓舞するなど外からの刺激でテンションを上げる方法は持続性に疑問を感じることがある。“HAPPY&THANKS”は漢方薬の様に1人1人の内面がじわじわと変化する取り組みだと感じています。


「ありがとう」の想いを日本に世界に広げようと、NPO法人HAPPY & THANKSを運営され、「3月9日は、3・9DAYありがとうを届ける日」という記念日ができるまでになられましたが、どのような考えかお聞かせください。

“HAPPY&THANKS”に弊社が取り組んだところ、アルバイトさんから「ありがとうの大切さに気付きました」「ありがとうを伝えられていなかった自分に気付きました」「人を思いやる心、仲間の大切さに気付きました」という声がたくさん届くようになりました。だったら、そのやり方を日本中に広げたいと思いNPO法人として活動を始めました。

理念は「Your Happiness is My Happiness」、「あなたの幸せが私の幸せ」です。人は幸せになるために生まれてきたし、人は人を幸せにすることができる力を持っている。

しかし、テレビをつけると毎日、人を殺したり、人をだましたり、年間3万人の人が自殺をしていたり、何だか世の中がおかしいと思うんです。そう思った時に、それを傍観者として見ている自分じゃ嫌だと思ったんですね。日本中、世界中に幸せとありがとうを広げていきたいと思ってNPO法人を展開しています。

人が言われて嬉しいのは「ありがとう」です。特に飲食業はそのすばらしさを知っている。お客様に「ありがとう」と言われてどれだけ嬉しいか知っている。その飲食業の自分達から『ありがとう』を伝えて、広げていけば良いのだと考えたのです。

日本人はどちらかというと『ありがとう』と言うのを恥ずかしがる。これから毎年来る「3月9日は、3・9DAY ありがとうを届ける日」は、ありがとうを言いやすくなるようにと、記念日協会で認証させて頂いた日です。『ありがとうを届ける日』があることで、家庭でも職場でも普段届けられなかった『ありがとう』を届けられる人が増えるかもしれないし、普段言えている方はより多くの『ありがとう』を届けることで、さらに幸せを広げていくことができると願っています。


HAPPY&THANKS 4つの法則

法則1 24時間以内にあったしあわせだったこと、感謝したいことを「考える」

まだ記憶に新しい出来事を思い出し自分を客観視する習慣づけをすると同時に、見過ごしていたしあわせや感謝を感じ取る感性が身につきます。

法則2 しあわせや感謝の気持ちを、すみやかに「伝える」

人は忘れる生き物です。話す・書くなどしてアウトプットすることで、より深く自分の心にしあわせや感謝をインプットすることができます。

法則3 他の人の「HAPPY&THANKS」を「聴く」

自分のHAPPY&THANKSを伝えるだけでも十分効果はありますが、他の人のHAPPY&THANKSを聴くことで自分が感じていなかったしあわせや感謝を感じるアンテナを増やしていくことができます。

法則4 毎日「続ける」

人は誰でも心にしあわせの波があり、しあわせを強く感じる時もあればしあわせでないと感じる時もあります。HAPPY &THANKSを毎日根気強く続けることでポジティブな思考スタイルが身に付き、波は小さくなり心に豊かさが増していきます。

◆NPO法人HAPPY&THANKS:http://happyandthanks.org/


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