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【第7回クオリティサービス・フォーラムレポート】
おもてなし経営企業選選出企業
「自発的なもてなし」を生む組織戦略

株式会社エー・ピーカンパニー

株式会社エー・ピーカンパニー

URLhttp://www.apcompany.jp

代表者:米山久 代表取締役社長
所在地:東京都港区赤坂2-17-22 赤坂ツインタワー東館18階
設立:2001年
事業内容:飲食店及び食品販売店の経営、FC店の加盟店募集及び指導
展開するブランド:塚田農場、じとっこ組合、じとっこ、四十八漁場、平澤精肉店
社員数:正規378名、パート・アルバイトなど881名

※『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承下さい。

各スタッフが自ら考えて提供する「無料サービス」

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株式会社 エー・ピーカンパニー 講演者:常務取締役 大久保伸隆氏

リピート率が6割という、圧倒的人気を誇る居酒屋チェーン「塚田農場」を展開する、株式会社エー・ピー カンパニー。塚田農場では、アルバイトを含む全ホールスタッフに、来店客1組につき400円分の権限を与え、顧客への「無料サービス」を実施している。残っている料理を厨房でアレンジして改めて提供するなど、顧客を喜ばせるサービスを自ら考え、実行し、最高のもてなしをする。スタッフ一人ひとりの気遣いあるサービスが、顧客に感動をもたらしている。

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生産者と直結して流通をスリムにすることで、生産者からは「より高く」買い取り、消費者には「より安く」提供するというALL-WINのビジネスモデル。自社養鶏場を作り、ヒナから鶏を育てることにより、“命の尊さ”“いただきますの意味”をリアルに伝える教育。

その成功を支えているのが、人材教育に重点を置いた独自の組織戦略だ。人材教育では、創業者魂など、言葉では表せない経験や勘に基づく「暗黙知」まで伝えきる研修プログラムを構築。1年目はマニュアルに沿った「型」の教育を徹底して行ない、2年目以降は自主的に判断して仕事を進められる能力を養成する。アルバイトを含めたスタッフ全員が「型」を身に付けているため、新人教育を担当するのは社員よりも先輩アルバイトスタッフであることが多く、先輩から後輩に教えることが風土として定着している。同世代のスタッフがスキルや考え方を学びながら、実際にお客さまに喜ばれている姿を見ることは、スタッフの成長意欲を高める要因となっている。

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「最後まで美味しく、残さず食べてもらいたい」というスタッフの想いから生まれた“リノベーション”。少しだけ残ってしまっている料理を再調理して提供する。例えば、お通しの生野菜はサラダやスープにして提供。食材を大切にする想いがあるからこそのアイデア。

教育時に求められる要件として、常務取締役の大久保伸隆氏は、「共感」を挙げる。「マニュアルへの抵抗感をなくすために意識しているのは、各手順に対して1つずつ共感できる定義づけを行い、力を集約させるようにすることです。共感が得られれば、後はスポンジのように吸収してもらえます」と語る。

現場に権限を委譲し自発的な行動を促す

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お客さまが店内に滞在するおよそ2時間の間に、「期待を超えるちょっとしたサービス」を積み重ね、感動を与えてリピートしてもらうという「店内販促=ジャブ。」常連さんも飽きないようにと、常に新しいジャブが生み出され、社内で共有し、毎月MVPが選ばれる。

個々の人材教育をはじめ、企業内のさまざまな取り組みに共通するのは、「自ら選択をする」という考え方だ。例えば、週に1度だけ本社に通い、採用や販促、商品開発などの仕事にあたる「ハイブリッド社員制度」や、入社3か月の新卒社員のみで店舗を運営する「熱闘甲子園」といった研修は、希望者だけが参加。研修を受けるか否かは、自分の選択だ。

また、ルールで縛りすぎないこともポイントだ。現場に権限を委譲し、「顧客のために何かしたい」という気持ちが自然に湧いて、行動に移せるような環境づくりを進めている。前述の無料サービスもその1つ。自分で作り上げるプロセスを経験することで、オーナーシップを感じてもらえるようにするのが狙いだという。

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同社では、来店を重ねる度に割引のグレードが上がっていく「名刺」をポイントカード代わりにお客さまに配っている。「名刺」システムの説明は、ご挨拶を兼ねてスタッフが直接テーブルに伺って行なう。

このような取り組みの先に目指すのは、個店の魅力をチェーン展開していくこと。「社員一人ひとりが、“自分たちが頑張った”と胸を張れる会社をつくっていきたい」と大久保氏は展望する。各スタッフの創意工夫によるサービスで顧客の笑顔を生み、活気に溢れる店内の様子からは、その理想へ着実に近づいていることが感じられる。

株式会社MS&Consulting 常務執行役員 渋谷 行秀より

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ラウンドアバウト:十字交差点との大きな違いは、信号機が1つもない点だ。この信号機を組織のルールに例えて、社員の自発的行動を促すために、ルールの数を必要最小限に留める大切さを語られた。

外食企業にとってチェーン展開することは重要で、それによって規模の経済のメリットを享受することができます。エー・ピー カンパニー様の場合も、店舗数を増やすことが生産者様を守っていくことにも繋がるため、不可欠でした。しかし多くの企業にとって、それによって失うものも大きいのです。大久保様が仰っていたように、多店舗展開すると、与えすぎる教育、つまりサービスを均一化するために多くの制約を課していく方向に向かいます。そうしているうちに現場の元気がなくなり、顧客価値を落としてしまうチェーンが多く見られます。しかし、同社は140店舗を超えても、現場の勢いが衰えていません。

大久保様の仰ったいくつかのポイントの中で、「自発的な行動を促す」というのはとても重要だと思います。ルールを作りすぎないことの特性を、十字交差点とラウンドアバウトの違いを例にご説明いただきました。組織全体としての戦略を持ちつつ現場に権限を与えていく、エンパワメントしていくことの大切さを改めて実感しました。スタッフがお客さまにしてさしあげたい、という気持ちを引き出すためには、自主的に考え行動するということが大切です。顧客単価の1割を使った無料サービスを考案させる、というのもその一例だと思います。

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二足のわらじをはきながらキャリアを広げていくハイブリッド制度。週に1日、本社のプロジェクトチームのメンバーとして仕事をして、「店舗で身につくこと」と「本部で身につくこと」のかけ算で、自分の適性を見極めながらキャリアアップを目指すことができる。

もうひとつ「外発的動機から内発的動機へ」というお話がありました。エー・ピー カンパニー様は大自然をベンチマークされ、組織として整いすぎないようにされています。自分で考えたことをやってお客さまに喜んでいただき、それが自らの喜びとなる。それは商売の原点だと思います。これだけの大規模組織になっても、この原点を貫き続けられるマネジメントの仕方を開発されていることは、素晴らしいと思います。

教育に関するお話の中で、「共感」を大切にされているというお話がありました。大久保様のプレゼンテーションは、まさに共感の教育の体現であったと思います。

 

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