HOME > 特集インタビュー > キュービーネット株式会社

【第7回クオリティサービス・フォーラムレポート】
「認め合う組織づくり」で企業全体の品質向上を実現

キュービーネット株式会社

キュービーネット株式会社

URLhttp://www.qbhouse.co.jp

代表者:北野泰男 代表取締役
所在地:東京都渋谷区渋谷2-12-24 東建・長井ビル7階
設立:1995年12月20日
事業内容:ヘアカット専門店の店舗運営及びフランチャイズ事業
展開するブランド:QBハウス、FaSS、IKKA、キャトルボーテ
社員数:776名、正社員、パート・アルバイト含む(2013年6月末現在)

※『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承下さい。

余分な価値をそぎ落とし 手軽さを追求したおもてなし

qb01

講演者:代表取締役社長 北野泰男氏

「愛されるブランドよりも、必要とされるブランドを理美容業界で築き上げていくことが、私たちの存在意義。本当に必要なサービスをシンプルに提供するように努めています」と話すのは、ヘアカット専門店QBハウスを運営するキュービーネット株式会社代表取締役社長の北野泰男氏。

例えばQBハウスでは、低価格で短時間という価値を優先するために、あえてシャンプーをせず、予約も受けない。他の業態から見れば顧客にとって不都合のように映ることも、1つの価値として取り入れて差別化を図り、メインターゲットである忙しいビジネスマンに選ばれるブランドづくりを追求徹底している【図表1】。いわば、余分な価値をそぎ落とした「引き算のおもてなし」だ。

qb06

【図表1】QBハウスのポジショニングマップ
リラクゼーション要素などを付加する理美容室が増える中、“手軽さ”を突き詰めた「引き算による差別化」で成長してきた。現在、同社は国内464店舗・海外79店舗(※2013.7.1現在)を運営展開。また、20代~40代の男女がメインターゲットの「FaSS(ファス)」、女性向けの「Quatre Beaute(キャトルボーテ)」、ファミリーをターゲットにした「IKKA」など特色ある業態を展開している。

リラクゼーション要素などを付加する理美容室が増える中、“手軽さ”を突き詰めた「引き算による差別化」で成長してきた。現在、同社は国内464店舗・海外79店舗(※2013.7.1現在)を運営展開。また、20代~40代の男女がメインターゲットの「FaSS(ファス)」、女性向けの「Quatre Beaute(キャトルボーテ)」、ファミリーをターゲットにした「IKKA」など特色ある業態を展開している。

連帯感、信頼、尊敬による チームワークで課題を解決

qb03

「全国店長会」では、MSRの結果やカットコンテストを通じた表彰を行なう。サービスの質が高い店や個人が脚光を浴び、CS向上への機運を高める大切な機会となっている。

急拡大を遂げてきた同社だが、北野氏が現職に就任した2009年11月当時は、成長過程の企業が陥りやすい「効率が悪くなる」「収益性が下がる」「自分に甘くなる」「まとまりがつかなくなる」という4つの罠に陥っていたという。これを脱却し、さらなる成長を目指すために北野氏は、5年のうちに「認め合う組織づくり」を強化することを決意した。

「研修を受けても、『技術を受け入れよう』とするか、先生を『認めよう』とするかで成長のスピードは格段に変わります。この認め合う力を組織の中で大切にしていきたいと考えました」。

現状把握の目的で、2010年9月に初めてミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を実施。その結果、店舗によって顧客満足度に大きな差があることが判明した。

そこで目指したのが、組織全体での「質の均一化」だ。スタイリスト全員が同じカットのスピードとクオリティを保つことで顧客満足度を向上させ、再来店意思の全店平均を85ポイントまで引き上げる目標を掲げた。

qb05

【図表2】2010年~2013年の点数推移グラフ
2010年、現状把握のために初めてMSRを実施したところ、“また利用したい”“必ずまた利用したい”と回答したモニターの割合は75%。新規のお客さまの4人に1人を失い続けていたことに危機感を感じ、「お客さま満足度調査(MSR)における“再来店意思(また利用したい)”85%」を全店共通目標として掲げ、年数回程度の調査計画を予定していたMSRを毎月実施し、2013年に目標を達成した。

組織や人材育成に注力する中でまず行われたのが、全店舗、全スタッフの笑顔写真と合わせて、技術やサービス向上の目標を宣言するアルバムづくり。また、技術研修だけでなく、プロとしての心構えを考える機会をつくるため、仲間同士でディスカッションする時間も増やした。仲間の技術や接客を認め合う環境をつくり、技術やサービスを底上げするとともに、組織全体で顧客満足度の向上に取り組んだ。

こうした活動を通じ、各店舗の成功体験が他店舗へと広がり、13年8月には、MSRの目標として掲げていた〝再来店意思〟85%を達成【図表2】。組織力強化で得た一定の成果を原動力として、さらなる飛躍を目指す考えだ。

2010年、現状把握のために初めてMSRを実施したところ、“また利用したい”“必ずまた利用したい”と回答したモニターの割合は75%。新規のお客さまの4人に1人を失い続けていたことに危機感を感じ、「お客さま満足度調査(MSR)における“再来店意思(また利用したい)”85%」を全店共通目標として掲げ、年数回程度の調査計画を予定していたMSRを毎月実施し、2013年に目標を達成した。

株式会社MS&Consulting 常務執行役員 渋谷 行秀より

qb02

シンガポールの技術研修(経験者)風景:海外店舗を軌道に乗せるまでにはいろいろと学ぶ点が多い。そこで得た気づきは、日本の研修にも逆輸入のような形で活かしている。

これからの時代、顧客満足を上げる活動を、コストを下げながら進めていく戦略の策定が必要です。そこで生きてくるのが「引き算」の考え方です。ターゲットとしている顧客にとって、このオペレーションが本当に必要なのか、価値を感じてもらえるかということ、自社のビジネスのオペレーション、サービスの中で何が本当に必要なのかを考え、不必要なものを整理していくという発想です。北野様から、「ターゲットとしたい顧客、競合との立ち位置が明確となれば、引き算の経営ができる」という戦略上のヒントをいただけました。

お話の中で最も印象的だったのは「関係の質が思考の質を変える原点である」、というお話でした。私自身、さまざまな現場のご支援をしてきた経験から、スタッフのやる気を高めるポイントは3つあると考えています。1つ目は、自分たちのやっていることがお客さまに本当に喜んでもらえている、と実感することです。お客さまからの「ありがとう」は、どんな業種においてもスタッフのやる気を高めます。2つ目は、良きリーダーです。素晴らしい店長のもとで仕事ができるということも大きな働きがいとなります。3つ目は、関係の質です。お互いを認め合い、このメンバーだからこそみんなで結果を出したい、という気持ちが、仲間との横の絆を深め、組織を変えていく力となります。

qb04

日本の技術研修(カット未経験者)風景:海外で得た気づきは、カット未経験のスタイリストへの研修に活かし、半年間かけて論理的に教え込んでいる。

キュービーネット様の店舗は500以上もあり、海外店舗まであります。社長の力だけで組織を変えていくのは至難の業です。関係の質にフォーカスし、巧みに組織のマネジメントに組み込んでいらっしゃる点は、誠に素晴らしいと感じました。

組織が変革するときは必ずばらつきが生じます。よく、成績の良い店舗と悪い店舗のばらつきがある場合、ギャップを埋めるために悪いほうを改革しようとします。しかしキュービーネット様では、まずトップランナーが変革することでこれまでの標準を超え、それを会社が認めて賞賛し、店舗間で前向きな形で競争意欲を喚起し、ベンチマークし合う風土を築いていらっしゃいました。関係の質を上げ、前向きな競争をする、まさにその点を巧みになさっていて、2010年から右肩上がりで顧客満足度のスコアが上がっています。