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Custmer Satisfaction Forum 2008 感動を創る企業レポート(2008年4月21日)

Custmer Satisfaction Forum 2008 感動を創る企業

Custmer Satisfaction Forum 2008 感動を創る企業~+something発想で築く顧客満足の本質 開催概要

日時:2008年4月21日(月)・講演時間:10:00~17:00F

会場:大手町サンケイプラザ(東京/千代田区)

定員:250名(有料/事前登録制)

参加対象者:経営者、役員、および経営企画、人事、営業・マーケティング、広報宣伝、CS推進、広告・ブランド部門、その他各部門の方々

特典:参加者に『週刊東洋経済』の半年間無料購読の提供.

『季刊MS&コンサルティング 2008年夏号』掲載
取材:西山博貢、文:鬼熊春子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
去る2008年4月21日(月)、東京・大手町サンケイプラザにて、顧客満足をテーマとしたビジネスフォーラム「Customer Satisfaction Forum 2008 感動を創る企業~+something発想で築く顧客満足の本質~」が、東洋経済新報社の主催で開催されました。
このフォーラムでは、業種・業界を超えたさまざまな立場から、顧客満足を高めるための取組実例の紹介や、CS戦略についての発表が行われました。

「顧客感動満足時代のパラダイム」 株式会社MS&Consulting

株式会社MS&Consulting 渋谷 行秀

t05-03a顧客「満足」、顧客「感動満足」という言葉の定義ですが、顧客が商品・サービスに対して持っている「期待」、そして実際にそれを購入・利用した際の「現実」という二つの要素があったときに、期待と現実が一致するのが満足、そして現実が期待を大きく上回るのが感動となります(図1)。弊社の調査の平均では、約6割から7割の顧客は、商品・サービスに対して満足している結果が出ています。

気になるのは、顧客満足度が向上することでどれだけ業績に影響があるのかということですが、一般的には、業績に影響するのは顧客満足度ではなく顧客ロイヤルティだと考えられています(図2)。そして、この顧客ロイヤルティを高めるためには、顧客が「満足」ではなく、「感動」していることが重要となってきます。成熟産業、過当競争に入っているような業界は、よりこうした傾向が強くなります。これを逆に言えば、「不満」を「満足」に変えても、顧客ロイヤルティは大きくは変わらないため、業績に与えるインパクトも少ないことになります。

t05-03bでは、どのようにすれば、顧客「感動満足」を高めることができるのでしょうか。弊社では、弊社が運営しているミステリーショッピングリサーチの点数が年間を通して高い店舗を抽出し、共通項を調べたことがあります。その結果、三つのポイントがあることがわかりました。

一つ目は、月に一度は必ず店舗レベルでミーティングを行っていることです。このミーティングには開催の仕方にも共通項があり、2時間以上と店舗ミーティングにしては長時間であること、そして店長の発言率が10%以下と非常に少ないということです。これは言い換えれば、店長からスタッフへの単なる情報伝達ではなく、店長がスタッフ皆の発言を引き出す、コーチングのような内容のミーティングが行われているということです。ミーティングという場を使って、スタッフのホスピタリティトレーニングが行われているのです。

株式会社MS&Consulting 渋谷 行秀

株式会社MS&Consulting 渋谷 行秀

二つ目は、顧客の声に対して、ネガティブアプローチではなくポジティブアプローチをしている点です。つまり、顧客感動満足の高い店舗は、短所を改善するのではなく、長所をさらに伸ばしていく発想で取り組んでいることです。

そして三つ目は、従業員感動満足が高いことです。顧客感動満足を高めるためには、まずはサービスを提供する従業員自身が、自分のお店や商品・サービスに満足し、感動していなければならないのです。

従業員感動満足を高めるというと、真っ先に思いつくのは給与や労働条件の改善ですが、経営ということを考えると、無限に待遇を良くできるわけでもありません。しかし、そういったこと以外にも、従業員感動満足を高める要素はたくさんあるのです。たとえば、先ほどご紹介したような方法でミーティングを行うことで、スタッフは「自分たちの手で店を変えていける」という自己決定感を味わうことができます。

t05-03cまた、スタッフ相互のコミュニケーションが促進されることによって、人間関係も良くなります。さらに、お客様から喜んでもらえる機会が増えれば、自分の仕事が役に立っているという有意味感、そして人に認められたという承認感を得られます。給料以外にも、こうしたことはすべて重要なモチベーション要因となります。つまり、従業員感動満足が顧客感動満足を生み、顧客感動満足によってさらに従業員感動満足が高まり、また業績も上がるというサービスプロフィットチェーンのサイクルが出来上がるのです(図3)。

 「提案力 ~+something発想に必要なもの」 松井証券株式会社

松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫氏
外交セールスの廃止、コールセンターからインターネットへの転換など、これまでご自身が社長として決断し実行してこられた経営改革のご経験をもとに、現代という時代がどのようなパラダイムシフトを迎えているかというお考えについて、ご発表がありました。

松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫氏

松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫氏

私が11年間日本郵船に勤め、国際競争の真っただ中で学んだことは、「価格というのはお客様が選ぶものだ」ということです。

商売は、言ってみれば虚業と実業の区分け作業です。虚業とは、お客様が認めないコストで成り立っている事業。実業とは、お客様が認めるコストで成り立っている事業。

この取捨選択をするのが、商売であり、経営なのです。

 「感動する力・感動させる力」 一橋大学大学院

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 石倉 洋子氏

なぜ今、「感動」が重要視されているのでしょうか。それは、ハードの技術だけでは売れない時代になってきているからです。ここで鍵になるのが「感動」です。「感動」を与えられる商品・サービスでなければ売れない、消費者から受け入れられない時代になってきているのです。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 石倉 洋子氏

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 石倉 洋子氏

では、「感動」を生み出すにはどうすれば良いのでしょうか。「感動」を与えるような良いコンテンツを作るためのマネジメントは、従来のものとは決定的に異なります。まず、「感動」とは基本的に個人的なものであるため、マスではなく、個人を発想の基盤に置くことが必要となります。また、「感動」を生み出すようなコンテンツを作る上ではクリエイティビティが必要であると言われますが、一方ではビジネスとしての感覚も同時に併せ持つ必要があります。

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たとえば、劇団四季を運営する四季株式会社では、劇団運営という非常にクリエイティブな事業を行っていますが、ビジョン、組織、商品(演目)の組み合わせ方、人材発掘・育成など、ビジネス戦略として見た場合にも、大変優秀なものと言えます(図4)。この結果として、不確実性の高い業界、さらに欧米に比べると劇場や優秀な人材といったインフラ面が未整備な外的環境の中でも、高い収益率と安定した成長を実現し、現在では海外への展開や社会貢献活動にも力を入れています。

結局のところ、「感動」というのは人と人との直接の接触によって生まれるものです。もちろん、二次的、三次的にその「感動」が人を介さず伝播していくことはありますが、基本となるのは人と人の接触です。そして、自社の商品・サービスについて、自分自身が感動していること、これが重要です。自分が商品サービスに「感動」し、この「感動」をお客様に伝えたい、知ってもらいたいという気持ちを持つことで、初めてそのエネルギーが伝わり、感動を与えることができるのです。

「真のカスタマー・オリエンテッドの実現~日産の改革~」 日産自動車株式会社

日産自動車株式会社 執行役員 市場情報室室長 星野 朝子氏
顧客満足の追及に欠くことのできない“顧客の声”を活かすための考え方についてのご講演がありました。

日産自動車株式会社 執行役員 市場情報室室長 星野 朝子氏

日産自動車株式会社 執行役員 市場情報室室長 星野 朝子氏

カスタマーリサーチには、やって良い調査と、やってはいけない調査があります。やってはいけない調査とは、大きく言えば次の三つです。一つ目は「自分の知りたいこと=リサーチ課題」であること。二つ目は「ソリューション評価=仮説」となってしまっていること。三つ目は「カスタマー・オリエンテッド=お客様に聞くこと」と理解してしまうことです。

このような調査を行っていると、いずれは顧客の声が信じられなくなり、カスタマー・オリエンテッドは崩壊します。そうではなく、「自分の判断したいこと=リサーチ課題」であること。「ソリューション=ニーズを理解する刺激」であること。「カスタマー・オリエンテッド=顧客起点の発想」と理解することが必要なのです。

「ファミリーマートらしさ推進活動が起こす変革」 株式会社ファミリーマート

株式会社ファミリーマート 取締役 常務執行役員 オペレーション本部長 加藤 利夫氏

株式会社ファミリーマート 取締役 常務執行役員 オペレーション本部長 加藤 利夫氏

株式会社ファミリーマート 取締役 常務執行役員 オペレーション本部長 加藤 利夫氏

私たちファミリーマートでは、お客様から積極的に選択されるチェーンを目指しブランディング活動の一環として2005年から「ファミリーマートらしさ推進活動」(以下、「らしさ推進活動」)に取り組んでいます。本日は、この「らしさ推進活動」の取り組み内容と成果についてご紹介したいと思います。

この「らしさ推進活動」に取り組むにあたり、私たちはまず「ファミリーマートらしさ」とはいったい何なのかを検討しました。その結果、私たちの強みである“親しみやすさ”をより際立たせること。そこから「“気軽にこころの豊かさ”を提供し、お客様の快適で楽しさあふれる生活に貢献する。」という方向性を決定しました。

そして、これを実現するために、全ての発想の原点を「ホスピタリティ(おもてなしの心)」とすること。また、こうした私たちの姿勢をお客様に伝えるために「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というコピーを7年ぶりに復活させ、ファミリーマートのスローガンとすることとしました。

また、活動推進の為に各部門から代表者約60名をメンバーとしたプロジェクト「ファミリーマートらしさプロジェクト」をスタートさせました。この活動は、各部門のリーダーが毎月一回のミーティングを行い「ファミリーマートにしかない独自性とは?」「気軽にこころの豊かさを感じるコンビニとはどうあるべきか?」など、商品開発からCSRに至るまでどう実現するかを徹底的に討議しました。

この「らしさ推進活動」を社内に浸透させることができた要因は、主に三つあると考えています。一つ目は、プロジェクトメンバーが「自分たちの手でこれからのファミリーマートを創造し変えて行こう」という強い熱意と意志を持って取り組んでいること。またそれに共感する社員が連鎖的に増えていったことにあります。二つ目は、社長塾と称して、プロジェクトメンバーと社長の上田がダイレクトにコミュニケーションを取れる場を設けることによってトップダウンとボトムアップがみずみずしい環境を作っていること。そして三つ目には、「ファミマシップ」と呼んでいる「ファミリーマートらしさ」を実現するための行動指針(※)を作成しそれを基準として業務に取り組んでいることにあります。


※ファミリーマートの行動指針「ファミマシップ」
感じる、気づく、動く ~こころにホスピタリティを~

お店の中で、働く環境で、そして地域社会とのふれ合いの中でわたしたちが「元気にこころの豊かさを」をていきょうしていくために欠かせないものが「ファミマシップ」。

「あなたとコンビに、ファミリーマート」
わたしたちはこの言葉をいつもこころに焼きつけ、一人ひとりが「ファミリーマートの代表者」であることを自覚し、感じ、気づき、行動していきます。

お客さまの期待を超えよう
仲間を信じ、ともに成長しよう
豊かな感性を磨こう
挑戦を楽しもう
世の中に向かって正直でいよう


また、店舗に対しては、店長集会での成功事例の発表や「らしさかわら版」と呼んでいる各地区が独自に作成する広報紙などを通じて「らしさ推進活動」の浸透を図っています。

こうした一連の活動の成果として、近年多くのブランドイメージ調査で高い評価をいただいいております。また、既存店の来店客数については、2007年度102.9%の増加とすることができました。私たちのチェーンでは、毎日平均550万人の方が来店されますのでそれが2.9%増加というのは大変な数になります。こうしたお客様の評価が2007年度の増収増益に大きく貢献していると考えております。

そして、2008年度は「全てのお客様を家族のような気持ちで支援していきます」という気持ちをこめて「おかえりなさい」という新しいメッセージの下、今後もより一層ファミリーマートらしさを発揮できるようこの活動を推進してまいります。

ファミリーマートの行動指針の詳細:http://www.family.co.jp/company/familymart/idea.html

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