
【2025年調査】お客様が『飲食店に求めるもの』とは?外食アンケート調査
調査目的
コロナ禍では外食を控える動きが広がり、飲食店は大きな打撃を受けました。その後、2023年5月に新型コロナは5類感染症に移行し、日常生活が戻ってから約2年が経ちます。こうした変化を経て、お客様の「飲食店選びで重視するポイント」はどう変わったのでしょうか?本記事では、3つの時期に行ったアンケート結果を比較しながら「2025年現在、お客様が飲食店に求めているもの」を考察していきます。
〈アンケート調査の時期〉
調査時期 | 状況 | |
前々回 | 2022年5月調査 (回答数1,056名) | ワクチンの接種が進み、まだ新規陽性者数は多いが、 重症患者数は減少傾向にあった時期 |
前回 | 2023年5月調査 (回答数1,042名) | 新型コロナが5類感染症に移行した直後 |
今回 | 2025年8月調査 (回答数1,037名) | 新型コロナが5類感染症に移行してから約2年 |
外食に行く理由、2年前とどう変わった?
【図1】は「外食に出る理由」について1,037名に聞いた結果です。比較データは、新型コロナが5類感染症に移行した直後、2023年5月に行ったアンケートの結果です。そこから2年後の今回(2025年)の調査で、1ポイント以上増えた外食理由は次の通りでした。
- 友人・知人と会う:47.5%(+4.9pt )
- 非日常感を楽しむ:42.5 %(+3.2pt )
- 自炊の手間を省く:55.4%(+2.0%)
- ストレス発散:41.9 %(+2.0pt )
「友人・知人と会う」「非日常感を楽しむ」を選んだ人が特に増えています。物価高の中でも、“会う・楽しむ”といった交流や体験を目的に外食したいと考える人が増えている様子がうかがえます。
【図1】外食に出る理由
設問:現在、外食に出る理由として当てはまるものを選択肢の中からすべて選択してください(複数選択可)

一方で、外食に出る理由の第1位が「自炊の手間を省く」、第2位が「友人・知人と会う」である点は、前回(2023年)の調査でも、今回(2025年)の調査でも同じでした。お客様が外食に出る理由としては「会う・楽しむという体験価値」とともに「手間を省くという日常的な利便性」が強くあるようです。
順位 | 2023年 | 2025年 |
---|---|---|
1位 | 自炊の手間を省く 53.4% | 自炊の手間を省く 55.4% |
2位 | 友人・知人と会う 42.6% | 友人・知人と会う 47.5% |
3位 | ストレス発散 39.9 % | 非日常感を楽しむ 42.5 % |
4位 | 非日常感を楽しむ 39.3% | ストレス発散 41.9% |
よく一緒に外食をする同伴者は誰?
「友人・知人と会う」「非日常感を楽しむ」ために外食をすると回答した人が増えていましたが、では消費者は具体的には誰と一緒に外食を楽しんでいるのでしょうか?次に、最もよく一緒に外食をする同伴者について「アルコールありの夕食」と「昼食」にわけて回答してもらった結果をご紹介します。
同伴者【アルコールありの夕食】
まず、「アルコールありの夕食」では、前々回調査(2022年)と比べて今回調査(2025年)では、以下の利用が増えていました。
- 友人+5.8ポイント
- 会社の上司・同僚+3.5ポイント
- ひとり +2.5ポイント
新型コロナ感染症がまだ2類相当の扱いで外食自粛の雰囲気があった前々回調査(2022年)の時と比べると「友人」「会社の上司・同僚」など、他人との外食利用が特に増加しています【図2】。
【図2】最もよく一緒に外食をする同伴者(アルコールありの夕食時)
設問:あなたが最もよく一緒に外食をするのはどなたですか(単一選択)

同伴者【昼食】
一方で、昼食の場合は「友人+4.0ポイント」「ひとり+3.7ポイント」の利用割合が増加、「会社の上司・同僚」との利用は+0.2ポイントで横ばいとなっています【図3】。
【図3】最もよく一緒に外食をする同伴者(昼食時)
設問:あなたが最もよく一緒に外食をするのはどなたですか(単一選択)

お客様が飲食店に求めるもの|経年変化
新型コロナによる外食自粛の雰囲気があった時期と現在では、お客様が飲食店に求める条件は何が変わったのでしょうか?続いて、お客様がお店選びの際に重視しているポイントを調べた結果をレポートします。
お店選びで重視しているポイント【アルコールありの夕食時】
夕食(アルコールあり)のお店を選ぶとき、消費者が特に何を重視しているのかを聞いた結果が【図4】です。前々回調査(2022年)と比べて、お客様の重視割合が特に増えたのが次の2つでした。
- 料理・メニュー:54.3%(+13.3ポイント)
- 価格帯:38.6%(+7.6ポイント)
【図4】お店選びのポイント|アルコールありの夕食時
設問:夕食(アルコールあり)で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

飲食店の基本価値である「料理・メニュー」とともに、最近の物価上昇の影響から「価格帯」を重視する人が増えてきていると考えられます。一方で、「感染症対策」を重視する人は0.8%(-10.2ポイント)と大きく減少しました。「立地・アクセス」「居心地・雰囲気」「ドリンクの豊富さ」「スタッフの雰囲気」は、ほぼ横ばいで大きな変化はありませんでした。
お店選びで重視しているポイント【昼食時】
昼食でお店を選ぶ時、特に重視しているポイントについて回答してもらった結果が【図5】です。昼食時も夕食時と同様に、「料理・メニュー」と「価格帯」を重視する割合が大きく伸びています。消費者が飲食店を選ぶ基準として、食の満足度とコストパフォーマンスをより重視するようになっているようです。
【図5】お店選びのポイント|昼食時
設問:昼食で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

また、「価格帯」を重視すると回答した割合は昼食時の方が高くなっています。
- 夕食:2022年31.0% → 2025年38.6%
- 昼食:2022年44.0% → 2025年52.1%
今回(2025年)の調査では52.1%と2人に1人が「昼食選びの際は価格帯を重視する」と回答しています。日常利用が多い昼食では夕食以上に「価格帯」がお店選びの決め手となっているようです。
飲食店に求めるもの|年代別
次に、年代ごとに「お店選びのポイント」がどう違うのかを見ていきます。
年代別/お店選びで重視しているポイント【夕食時】
どの年代でも重視していると回答した割合が最も高かったのは「料理・メニュー」です。2人に1人以上が重視していると回答しています。特に、50代は60.6%と高い割合になっています。
【図6】年代別/夕食時のお店選びのポイント
設問:夕食(アルコールあり)で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

「価格帯」については、20代が42.2%と重視している人の割合が最も多く、若い世代ほど"価格重視"の傾向が強いようです。また、20代は他の年代に比べると「立地・アクセス」については重視度が低い結果となっています。
年代別/お店選びで重視しているポイント【昼食時】
昼食の場合も、「料理・メニュー」がどの年代でも最重視されていました。また、年代が上がるほど料理重視の傾向が高くなっています。一方で「価格帯」は年代が下がるほどより重視されています。企業が値上げについて検討せざるを得ない状況が増えてきている中、「昼食でも夕食でも年代が下がるほど価格重視の傾向がある」という点は留意すべき特徴と言えます。
【図7】年代別/昼食時のお店選びのポイント
設問:昼食で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

飲食店に求めるもの|男女別
最後に、男女別では「お店選びのポイント」がどのように異なっていたのかをレポートします。
男女別/お店選びで重視しているポイント【夕食時】
「アルコールありの夕食」に使うお店選びで重視しているポイントは、男女ともに、第1位は「料理・メニュー」、第2位は「価格帯」でした。「価格帯」については、男性では42.9%が女性では34.2%が重視していると回答しており、男性の方がよりコストを意識している傾向が見られます。
【図8】男女別/夕食時のお店選びのポイント
設問:夕食(アルコールあり)で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

男女別/お店選びで重視しているポイント【昼食時】
昼食時のお店選びの場合は、女性は「料理・メニュー」を重視している人が最も多く、次いで「価格帯」でした。一方で、男性は「価格帯」を重視している人が最も多く、次いで「料理・メニュー」となっています。昼食の場合は、女性は「料理・メニュー」、男性は「価格帯」をより重視する傾向があると言えそうです。
【図9】男女別/昼食時のお店選びのポイント
設問:昼食で最もよく行く方と外食をするお店を選ぶ時、特に重視する点は何ですか?2つまでお選びください。

まとめ
新型コロナによる外食自粛の雰囲気があった2~3年前の調査と比べると、「お客様が飲食店に行く理由」や「飲食店選びのポイント」について、以下の変化が見られました。
- 「友人・知人と会う」「非日常感を楽しむ」ための外食ニーズが増加
- 「自炊の手間を省く」ためという実利ニーズも引き続き多い
- 飲食店選びでは「料理・メニュー」「価格」が重視されているが、夕食より昼食の方がより「価格」が重視されている
- 年代別では、年代が上がるほど料理重視、若年ほど価格重視の傾向
- 男女別では、飲食店選びの際、男性の方が価格重視の傾向
本調査の結果が、店舗経営を考える際のヒントになれば幸いです。また当社では、お客様に選ばれるお店づくりのための顧客満足度調査『ミステリーショッピングリサーチ』をご提供しています。お気軽にお問い合わせください。詳しい資料をダウンロードする>>
【調査概要】 調査エリア:全国 調査対象者:20歳~59歳 男女 サンプル数:1,037サンプル 調査期間 :2025年7月25日~8月4日 調査機関 :株式会社MS&Consulting | |
※分析:MS&Consulting アナリスト 河野智基、執筆:同社 ブランディング推進部 並木彩華