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お客様の「値上げ許容度」は、顧客体験(CX)で変わる! ~6,152店舗の覆面調査を分析~

値上げを実施する際に気にかかるのは"お客様の離反"です。店舗での顧客体験(CX)を高めることで、お客様の「値上げ許容度」は変わらないのでしょうか?本調査では「お客様はどのくらいの値上げを行うと高いと感じ始めるのか?」や「お客様の値上げ許容度と顧客満足度の関係」などを分析、"消費者の価格に対する感覚"をレポートします。

【調査概要】
調査期間:2022年7月~9月
調査手法:覆面調査
調査数:外食211法人、6,152店、6,327調査(居酒屋、焼肉、ファミリーレストラン、カフェ、和食、ラーメンなど)


お客様が"高い"と感じ始める金額

現在の支払い金額がいくら値上がりすると、お客様は高いと感じ始めるのでしょうか?本調査では、実際に飲食店を利用した6,327人に「今回店舗で体験した内容について何円くらいから高いと感じ始めますか」を問いました。結果、平均すると支払い金額に+12.5%の値上げがあるとお客様は"高い"と感じ始めることがわかりました【図1】。

【図1】"高い"と感じ始める金額の分布
【図1】"高い"と感じ始める金額の分布
※上下10%の回答は外れ値として除外(n=5,033)

顧客満足度が低いと、わずかな値上げでも"高い"と感じられてしまう

次に「顧客満足度(以下、CS)」が高い場合と低い場合で、「高いと感じ始める金額」はどのように変化をするのかを分析しました。

横軸に「このお店にまた来たいと思いましたか?」とお客様の再来店意思(≒CS)を聞く設問を、縦軸に「高いと感じ始める金額(現在の支払い金額プラス何%から高いと感じるか)」を取ったのが下記【図2】のグラフです。 

【図2】「再来店意思(≒CS)」と「高いと感じ始める金額」の関係
【図2】「再来店意思(≒CS)」と「高いと感じ始める金額」の関係

【図2】からは2つのことが読み取れます。

  1. たぶん来ない/絶対来ない評価の店舗(CSが低い店舗)」では、平均で現在の支払い金額+1.7%の値上げがあるだけで高いと感じられてしまっている。
  2. 「必ずまた来たい評価の店舗(CSが高い店舗)」においては、平均で現在の支払い金額の+16.1%で高いと感じ始めるとの回答となっており、値上げの余地がある。

つまり、自社が提供するサービスの価値を磨きCSを高めることで、お客様の値上げに対する許容度も高めることができるということです。

経営の安定のための値上げを避けて通れない現在、顧客離反を防ぐ方法のひとつとして「値上げと同時にCS改善も行う」という打ち手があることはぜひ念頭においてほしいと思います。


「接客や料理評価」の改善で、値上げ許容度を高めることができる

次に、CSを構成する大きな要素である「スタッフの気配り」「料理の美味しさ」に着目して、「高いと感じ始める金額」との関係について分析をしました。結果、「スタッフの気配り」や「料理の美味しさ」に対する満足度が高いと、お客様の値上げ許容額も高まるということがわかりました【図3】【図4】。

【図3】「スタッフの気配り満足度」と「高いと感じ始める金額」の関係
【図3】「高いと感じ始める金額」と「スタッフの気配り満足度」の関係

【図4】「料理の美味しさ満足度」と「高いと感じ始める金額」の関係
【図4】「高いと感じ始める金額」と「料理の美味しさ満足度」の関係

「料理の美味しさ」「スタッフの気配り」のうち、自社の得意分野のクオリティに磨きをかけることで、値上げによる顧客離反を一定数防ぐことが可能と言えそうです。

"値上げによる顧客離反"を起こさないために

値上げによる顧客離反を一定数防ぐ方法として、CSの向上」や「スタッフの気配りや料理満足度の向上」といったキーワードが本調査から浮かび上がってきました。

店舗運営においてもインフレの波が押し寄せている”今”、あらためて

自社店舗は顧客満足度の高い店舗になっており、値上げ許容額がある状態か

というポイントをチェックしてみて下さい。以上、6,152店舗の覆面調査結果を抜粋してお伝えいたしました。また、すべての分析結果は下記よりダウンロードが可能です。ご活用頂ければ幸いです。

ダウンロード


※文責:株式会社MS&Consulting データ活用推進室 室長 データアナリスト 錦織浩志​​​​​

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