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飲食店でリピート率を上げる方法【料理のおすすめ編】

数ある飲食店からお客様に再来店してもらうためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか?本記事では、飲食店を対象に行った顧客満足度(CS)調査7,919件を分析し、「おすすめがお客様のリピート意向に与える影響」や「お客様が魅力的と感じるおすすめのポイント」を分析しました。

調査目的

「料理のおすすめ」は、お客様に新しい味との出会いを提供したり、お店のこだわりを伝えられる大切な機会です。積極的に取り組んでいるお店も多いかと思います。では、この「料理のおすすめ」はお客様のリピート意向にどのような影響を与えるのでしょうか。飲食店を対象に実施した顧客満足度(CS)調査7,919件のデータを分析した結果をレポートします。

【調査概要】
調査対象:飲食店(オペレーションにおすすめが組み込まれている飲食店)
調査エリア:全国
調査数:7,919件
調査手法:覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ
調査期間:2024年9月1日~2025年8月31日
調査実施:株式会社MS&Consulting

リピート率に、料理のおすすめはどのぐらい影響する?

【図1】はおすすめの有無で、お客様のリピート意向にどの程度差が生まれるのかを比較したものです。横軸は料理のおすすめが「あったか」「なかったか」、縦軸は「強いリピート意向を持つ顧客の割合(リピート意向を問う設問で満点評価をつけた顧客の割合)」を示しています。

【グラフの見方】
横軸:料理のおすすめが「あったか」「なかったか」
縦軸:強いリピート意向を持った顧客の割合=リピート意向を問う設問で5点評価を獲得した割合
(5点:必ず来たい、4点:来たい、2点:多分来ない、1点:来ない)

【図1】「料理のおすすめ」と「顧客のリピート意向」の関係

【図1】「おすすめの有無」と「顧客のリピート意向」の関係_飲食店でリピート率を上げる方法

※利用データ:飲食店に対して行った顧客満足度調査7,919件

結果、おすすめがあった場合は、強いリピート意向を持つ顧客の割合が、おすすめがなかった場合に比べておよそ2倍跳ね上がることがわかりました。料理のおすすめを適切に行えている店舗は運営レベルが高く、その他のサービス品質も優れている傾向がありますが、そうした背景を考慮しても、おすすめにはお客様のリピート意向を高める効果があると言えそうです。

ただ料理のおすすめがあればいい?

「おすすめはお客様のリピート意向を高める」という結果が出たわけですが、ではただ単に店舗でおすすめの実行率が高まるようにマネジメントしていけばいいのでしょうか?次に、「おすすめが魅力的だったかどうか」がどの程度大事なのかを分析した結果をご紹介します。

【図2】は「おすすめがあり魅力的だった」「おすすめはあったが魅力的ではなかった」という2つの場合に、強いリピート意向を持つ顧客の割合がどれほど変化するのかを分析した結果です。

【グラフの見方】
横軸:料理のおすすめが魅力的だったか
縦軸:強いリピート意向を持った顧客の割合=リピート意向を問う設問で5点評価を獲得した割合
(5点:必ず来たい、4点:来たい、2点:多分来ない、1点:来ない)

【図2】「おすすめの魅力度」と「顧客のリピート意向」の関係

【図2】「おすすめの魅力度」と「顧客のリピート意向」の関係_飲食店でリピート率を上げる方法

※利用データ:飲食店に対して行った顧客満足度調査256件(全調査のうちおすすめの魅力度を聞いている調査票のみ利用)

おすすめの魅力がなかった場合、強いリピート意向を持った顧客の割合は28.4%であるのに対し、魅力的だった場合は64.9%と2倍強となることがわかりました。席への案内時やファーストオーダー時に料理のおすすめをするオペレーションになっている場合、「おすすめ実行度」だけでなく「おすすめの魅力度」までマネジメントしていくことが大事と言えそうです。

PR:飲食店のおすすめ実行度や魅力度を調査できる顧客満足度(CS)調査「ミステリーショッピングリサーチ」

お客様が「魅力的」と感じるおすすめのポイント

では、どのようなおすすめをお客様は魅力的だと感じるのでしょうか?顧客満足度(CS)調査に寄せられたコメントをまとめた結果をご紹介します。

魅力的なおすすめとは?

スタッフから料理のおすすめがあり、かつ、その内容が魅力的だったとの評価を得ている調査レポートでは、その理由として以下のようなコメントが見られました。


①具体的な商品説明


「●●がおすすめです」と商品名のみでおすすめをしている場合、「もう少し詳しく説明してほしかった」「どうおすすめなのか説明してほしかった」といった顧客評価になるケースが多々見受けられました。一方で、簡単な一言でもいいので「なぜおすすめなのか」の説明があった場合や、複数の商品を比較しながら紹介があった場合は、高い評価につながる傾向が見られました。

《コメント例》
・「当店は●●が充実しているのでぜひ食べてみてください」とお店のコンセプト説明がわかりやすくて良かった。
・「●●は限定で無くなりそう」と案内していただき、すぐにオーダーして食べることができて良かった。
各コースの特徴を簡潔に教えてくださり迷うことなく注文できた。
・もう少し特徴やどのような味か説明があれば、よりわかりやすいと思った。
・なぜ人気があるのかを簡単で良いので説明がほしかった。

内容をわかりやすくするため、表現を一部修正しています(以下、同)

おすすめをサービスオペレーションに組み込む場合は「ロープレを定期的に行う」「商品知識を深めるための勉強機会を設ける」「試食会を行い味を知ってもらう」といったトレーニングも同時に行うか、「おすすめメニューを用意しスタッフはそれを紹介する形にする(その分、笑顔や声のトーンのトレーニングに注力する)」など仕組みでその質を担保することが大切と言えそうです。


②スタッフの気持ちが伝わってくる


また、スタッフの「ぜひ食べてみてほしい」想いが感じられる説明だった場合は、高い評価につながる傾向が見られました。

《コメント例》
・「この商品の良さを伝えたい」というスタッフさんの姿勢が良かった。
・スタッフさん自らの言葉で説明してくれている印象で、気持ちの伝わる対応だった。
・スタッフさんは淡々と説明されており少し残念でした。


③笑顔やアイコンタクトなど非言語表現


「笑顔」「アイコンタクト」「声のトーン」といった非言語情報も、お客様のおすすめに対する満足度に影響している様子が見られました。

《コメント例》
・ スタッフさんは終始笑顔で対応してくださりとても印象に残った。
・笑顔でアイコンタクトもしっかりとってくださり、とても感じの良い対応だった。
・声のトーンが明るくて良い印象を受けました。

早口で聞き取れなかったので、できればもう少し聞き取りやすい口調だと良かった。


④質問に対する対応が的確


おすすめした商品についてお客様から質問を受けた際、スタッフが的確に対応できていた場合も、高い評価につながる傾向が見られました。特に「わからない質問への対応」や「分量に関する質問への回答」に触れたコメントは複数あり、スタッフが迷わず対応できるよう、方針を事前に整理しておくのがおすすめです。

《コメント例》
・「わかりませんが聞いてきます」とすぐに対応して下さり、真摯な対応に好感が持てました。

・分量を質問したところ具体的に教えてくださいました。イメージ通りの分量で非常に良かったです。
・辛さについて質問したところ、「辛いものは苦手ですか?」と確認があり親切で丁寧だと感じました。

まとめ

以上のように、お客様に「おすすめ」を魅力的に感じてもらうには、

  1. お客様の食欲や興味を引き出す、具体的でわかりやすい商品説明
  2. スタッフの商品に対する自信やお客様への気持ちが伝わってくるおすすめ
  3. 笑顔やアイコンタクトなど非言語表現をともなったおすすめ
  4. お客様からの質問に対する的確な対応

といったポイントを意識すると良いと言えそうです。

店舗での「おすすめできている率」の平均値

最後に、全国の飲食店ではおすすめがどのぐらいできているのかを算出しました。自社のできている度合いと比較する参考値としてご活用ください。

おすすめできている率の平均値

来店時のメニューのおすすめ有無は【図3】の割合でした。おすすめがあった割合」は46.7%となっており、「おすすめがなかった」が「おすすめがあった」をやや上回る結果となりました。

【図3】料理のおすすめ有無
設問:スタッフから、商品についてのお勧めやご紹介・ご案内がありましたか。

【図3】店舗での「おすすめできている率」の平均値_飲食店でリピート率を上げる方法

※利用データ:飲食店に対して行った顧客満足度調査7,919件

おすすめが魅力的だった割合

【図4】は、料理のおすすめがあった場合に、それを魅力的と感じたお客様の割合を示しています。おすすめがあった場合には65.6%と約3人に2人が魅力的だったと評価しています。

【図4】料理のおすすめの魅力の有無
設問:スタッフのメニューのおすすめは魅力的でしたか?

【図4】メニューのおすすめの魅力だった割合_飲食店平均値_飲食店でリピート率を上げる方法

※利用データ:飲食店に対して行った顧客満足度調査256件

まとめ

データからも明らかになったように、「料理のおすすめ」は顧客体験を豊かにし、再来店につながる重要な接客です。とはいえ、業態や価格帯によって求められるおすすめは少しずつ違います。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ自社ならではのおすすめスタイルを磨いてみてください。

また、当社では「おすすめ実行度」や「おすすめ魅力度」から「実際にどのようなおすすめトークが使われているか」を豊富なコメント量で確認できる、顧客満足度調査『ミステリーショッピングリサーチ』をご提供しています。お気軽にご相談ください。サービスご紹介ページはこちら>>

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※分析:MS&Consulting アナリスト 伊藤友篤、執筆:同社 ブランディング推進部 並木彩華

MS&Consulting 伊藤友篤
MS&Consulting 伊藤友篤
株式会社MS&Consulting リサーチ部マネージャー・中小企業診断士。同社入社後、クライアントに、従業員満足度・顧客満足度調査の設計及び教育支援を担当。その後、覆面調査運用チームのチームマネージャーとして「QCDの可視化」をテーマに、生産管理・品質管理の改革を推進。直近のテーマはAI活用・データ分析高度化・原価管理。

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