【第2回外食クオリティサービス大賞レポート】 高い業態開発力に裏打ちされた、現場力改善のあり方



株式会社ワンダーテーブル

URL:http://www.wondertable.com/
所在地:東京都新宿区富久町13-19
設立:1946年7月30日/資本金:42億8,000万円
店舗数:63店舗


※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。


ミッションの浸透とV字回復

株式会社ワンダーテーブルは、首都圏を中心に66店舗を展開する企業である。今回のエントリーはマルチブランドグループという部門エントリーで、ロウリーズ・ザ・プライムリブやユニオンスクエアなど、客単価5000円~8000円の海外優良ブランドとの提携による展開をしている部門である。

それまで95億円ベースだった売上高は2006年には100億円を突破、既存店売上は2004年後半から常に100%以上をキープ。2000年から下降していた利益は2005年にV字回復を果たし、2億円以上の収益を上げている。業績だけではなく、CSもESもトップクラスであり、従業員の離職率は2004年の25%から2007年は12%と、業界平均と比較しても圧倒的な定着率を誇っているという。


業態開発力には定評のあったワンダーテーブルであるが、業態のライフサイクルが短命化し、業態が良いだけでは生き残れないと言われる外食業界において、この実績は驚異的であろう。そんなワンダーテーブルが着目したのは「現場力」である。これだけの規模と多種多様な業態を保有しながら、なぜここまでの成果をあげることができたのだろうか。そこに観客の注目が集まった。

1億5000万円のマイナスを出していた2004年、利益が緊迫していたさなかに取り組んだのは、「ミッションの浸透」であるという。業績の悪いときには、つい短期的成果の上がる取り組みを選択しがちであるが、わざわざ中長期の成果を睨んでミッションを伝えることから始めるというのであるから尋常ではない。しかも社長自ら4ヶ月に1度の頻度で全店を回りお店の支配人と調理長に1対1で面談、その支配人・調理長が3ヶ月に1度、社員と1対1で面談するという徹底ぶり。週に1度のメッセージ配信などによりミッションの浸透を1年で実現する。


HSJプログラム

ところがミッションの浸透だけでは業績の回復に至らず、発足したのがHSJプログラムである。ホップステップジャンプの頭文字をとった名前であるが、ホップを組織力、ステップを運営力、ジャンプを攻撃力と定義し、お店を変革するステップを明快に示している。一口に「現場力改善」と言っても、やるべきことがたくさんあり、何から取り組んだら良いかわからないということが一般的であろう。全社をあげて改善のステップを明確にすることで、課題ごとにノウハウの蓄積もできたという。これにより、利益のV字回復を実現した。


発表まとめ

ワンダーテーブルのプレゼンテーションで際立ったのは、やるべきことをいかに正しい順番で行うか、それによって成果をあげることが可能になるという事実であろう。高い業態開発力に裏打ちされた現場力改善のあり方を提示してくれた発表であった。

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