知らない間に迫る危機「店舗設備のリスクマネジメント」


ワタミエコロジー株式会社

東京都大田区羽田1-1-3
会社ウェブサイト:http://www.watami-ecof.co.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2009年秋号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

飲食店舗における設備機器のトラブルは被害が広範囲かつ重大にもかかわらず、同様の場面に遭遇することはなかなか無い。高く安定したパフォーマンスで店舗運営を行うには、日々のメンテナンスと修繕が重大な意味を持つ。潜む巨大なリスクに対する備え方を、この道10年のプロフェッショナル、ワタミエコロジー株式会社に伺った。


設備の機能不全がもたらすリスクとデメリット

飲食店では、心地よい接客、美味しい料理、快適な空間を提供します。美味しい料理をサポートするのが厨房設備・機器。快適な空間を提供するために内装・照明・空調設備といったものがあります。日頃当たり前にあるものには、目がいかない。しかし、機器や設備の老朽化は確実に進行しています。それがもたらすデメリットは、大きく2つあります。

まず、故障した機器や適切に機能していない設備を使用し続けると、本来その機器の稼動で実現されていたこと、例えば円滑な換気や排水機能は確実に低下し、ある日突然の運転ストップや排水不能といった危険性があります。

次に、目に見えないところでエネルギーの無駄遣いをしている可能性があります。特に、飲食店に必須のエアコン、冷蔵庫などの冷機器、ボイラーなどは巨大なエネルギーを消費するので、無駄なコストを払い続けてしまっている場合が往々にしてあります。

飲食業界においては、接客や料理といった対お客様へ関心が向きやすく、繁忙期や時間帯ではオペレーションを回すだけで手一杯になりがちです。従って、裏方的なメンテナンスの優先順位は下がりやすいと言えるでしょう。しかし、ひとたび事故が発生すると食材原価や人件費コストのコントロールでは挽回できない額の修繕費用や営業損失に発展するリスクを内在するのが、店舗設備なのです。


原因は見えないところにある

設計施工会社が一定で、建築図面や竣工写真がファイルされた設計図書がしっかりと保管され、店舗で働くスタッフが日常的に関心を持っていれば、話は早いのですが、そういうことはごく稀です。自社施工でない居ぬき物件の場合は内装の裏側の配管などの状態や経路などの情報を得るのが意外と困難なこともあります。

既存のメーカー機器に関しては、定期点検の契約をしていればある程度安心できますが、設備と言われる範疇、給排気・給排水・空調、電気系統などはそれぞれの専門会社でないと故障原因の究明や処置もお手上げ状態になることがままあります。得てして設備系のトラブルは現象として出てくるトラブルと原因の因果関係が複雑なこともあり、解決へのリードタイムが長引くことも多く、お客様や隣接店舗にご迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。


アウトソーシングの有効性

100店舗を超えるような大手チェーンでは、自社向けに本部で一括管理したり、独自の管理形態を持って設備会社に委託していることもありますが、ほとんどの企業は、お店で独自に清掃を行ったり、メーカーや施工業者がそれぞれの設備に対して個別にアフターサービスを行っている状況です。個店や同エリア内での店舗展開中はそれでも十分対応可能ですが、新商圏でのサテライト店舗であったり、施工会社が変わったり、店舗数が増えたり、社内の専任担当者が変更になったりしたときに、混乱を生じることが多いようです。

弊社ではワタミ600店舗の運営管理で培ってきたメンテナンスのノウハウや現場の知恵、業者とのネットワークを駆使してのコストパフォーマンスの高いサービスを提供できるようにしようというコンセプトで、施設メンテナンス事業を行っています。

それぞれの設備において、技術的に優れた会社はたくさんありますが、実際に飲食事業を展開するワタミグループの一員として、ユーザー視点を持つことを常に意識してきた弊社は、店舗運営を実際的に考えた場合の優先順位の判断や対処法を提案できます。


店舗スタッフでも無理なくできる日常の「3つのチェックポイント」

ポイント1:全ての設備・機器についてトラブル時の相談先を明らかにしておく

それぞれの専門会社の連絡先、担当者名、連絡可能時間帯を一覧にしたパウチを作り、スタッフに周知徹底しておくことが必要です。ビルインの場合は管理事務所や時間外の連絡先も忘れずに。


ポイント2:ビル屋上などのチェックも忘れずに

空調機の室外機や排気ファンの設置場所(大体は屋上です)、その場所へ行く方法、パイプスペースの場所、集合ブレーカーの場所など、あらかじめ把握しておくと万一のときに有効です。


ポイント3:日頃から関心を持ち微妙な変化をキャッチする

重大故障の前には必ず予兆があります。煙の吸いが悪い、排水の流れが悪い、異音がする、など変化に気づいたときは早めに専門業者に相談してください。機械や設備には自然治癒という生き物のような便利な機能はありません。

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