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月坪売上56万円をあげる飲食店の「社員教育」とは?

焼鳥、懐石、カフェなど多業態で18店舗を展開する株式会社絶好調。月坪売上56万円超を叩き出す同社の強さの根幹には、「人材の力こそが他社との差別化になる」との信念のもと、社員教育にこだわってきた歴史があります。接客を競うS-1サーバーコンテストで優勝者を多数輩出するなど「確かなサービス力を育む同社の社員教育」について、代表取締役の吉田正則氏にお話を伺いました2025年9月開催セミナーの講演レポートです)。

他社がまねしづらい「差別化戦略」が成功の鍵

飲食
10-50店舗
業績の安定
店舗運営品質の向上

飲食業において内装や商品は他社に真似されやすいものですその中で、最も真似されにくいのは「人」がつくり出すお店の雰囲気やサービス力だと私は考えています。だからこそ、私たちはこの「人」の育成に徹底的に注力してきました。

今、月坪売上56万超を実現でき、顧客満足度調査・ミステリーショッピングリサーチでも業界平均を大きく超えるスコアを維持できているのは、この考え方で進んできたおかげだと思います。た、「人」にこだわるということはスタッフの成長ややりがいを大切にすることでもあります。リファラル採用(社員紹介による採用)も順調で、人手不足の影響を受けにくい状態が生まれています。

絶好調株式会社吉田氏
 お話を伺った、代表取締役  吉田正則氏

私たちが人の育成において大切にしているのは、「やり方(スキル)」に加え、ホスピタリティマインドや人間性といった「あり方」を育むことです。そのため、創業当時から「フィロソフィーブック」を導入し、理念の浸透に力を入れてきました。お客様へのドリンク提供ひとつを取っても、単なる作業ではなく、「お客様に喜んでいただくにはどうすれば良いか」を主体的に考え、行動できる人材の育成を目指しています。

絶好調様フィロソフィーブック
全167ページに及ぶフィロソフィーブック」

人への投資は、お客様に支持される最短ルート

『やり方とあり方の両面を大切にする社員教育』は一見遠回りに見えながら、実は売上向上につながる最短ルートだと私は考えています。具体的な取り組みとしては「30秒ロープレ」や「顧客満足度調査・ミステリーショッピングリサーチ(以下、CS調査)の活用」などがあります。

30秒ロープレ

営業前に「30秒ロープレ」を行うこと推奨しています。お客様が注文のキャンセルを希望された時の応対の仕方や提供が遅れた時の謝罪の仕方などは練習させておかないと、いざという時にスタッフがスムーズに対応できないからです。忙しい現場でも「30秒なら」と導入したところ、繁忙日を除いてほぼ実施できているようです。本部はロープレのお題を準備するといったサポートをしています。

30秒ロープレお題事例

飲食店の30秒ロープレお題事例_飲食店の「社員教育」「アルバイト初期教育」とは?

CS調査を活用した接客力強化

接客品質の客観的な評価と改善のためにCS調査を導入しています。CS調査の結果を確実に接客力強化につなげるために、運用面では以下の工夫をしています。

①店舗通信簿の運用

売上高や人件費率など「業績面の結果」と、CS調査の得点や店舗ミーティングへのスタッフ参加率など「店舗のあり方の状態」を1枚にまとめた店舗通信簿を毎月作成しています。これを店舗ミーティングで活用してもらい、接客力強化についても感覚ではなく、事実にもとづいて各店舗の課題と強みを明確にした上で改善策を検討してもらっています。

店舗通信簿(一部抜粋)

店舗通信簿事例_売上高が高い飲食店の「社員教育」「アルバイト初期教育」とは?

店舗通信簿では、業績とあり方の両面を1枚で可視化

②モチベーションを高める仕組み

CS調査の結果は人事考課に反映させています。そうすることで、社員は「接客品質が自分の評価につながるんだ」と意識するようになり、高いモチベーションでサービス向上に取り組んでくれます。

③サービスリーダー(数値責任者)の配置

今後は各店舗にサービスリーダーを配置する計画です。店長には売上や人件費、料理長には原価率といった数値責任があるように、サービスリーダーにはCS調査のスコアに責任を持ってもらうことでCS向上の推進力を高めたいと考えています。これらの工夫で、CS調査の平均スコアは181.3点と外食業界平均164点を大きく超える水準にあります。私としてはまだスコアが低いと感じており、工夫を重ねてさらに伸ばしていくつもりです。

すべての土台は理念浸透

人材育成の土台は、私たちの価値観が詰まった「フィロソフィーブック」です。理念を浸透させる上で重要だと感じているのは、スタッフ一人ひとりが自分の意見を言える場を多く設けることです。考えを言葉にすることで責任感が生まれ、行動につながります。「出勤時のフィロソフィーブックの読み合わせ」「勉強会での意見交換」など、理念に触れ、話し合う機会を多く設けています。また、 最近のタイパ(タイムパフォーマンス)を大事にする流れにあわせて、2分間のビデオレターを毎日配信しています。

アルバイトへの理念浸透『The Guide(ザ・ガイド)』の整備

「フィロソフィーブック」は内容が多く、新人アルバイトの初期教育には適していませんでした。そこでMS&Consultingさんに、優秀な店長が行っている初期教育の内容を調査してもらい、その結果もふまえコンパクトな教育用冊子「The Guide(ザ・ガイド)」として整理してもらいました。

The Guide(ザ・ガイド)

The Guide抜粋
入社したばかりの新人にも、スキルとあり方の両方を教えられるように工夫されている

これらの取り組みを行っているので、同じぐらいの価格帯であれば、私の店舗が絶対に勝てると自負しています。人材不足の時代だからこそ、サービス力の高い飲食店が圧倒的なイニシアチブを取れると私は考えています。

従業員満足度(ES)が高い組織づくりで、人手不足を回避

「人」を強みとする会社として、従業員満足度にも真剣に取り組んでいます。結果的に、パート・アルバイト全体のおよそ10%、約20名をリファラル採用(社員紹介による採用)で実現しています。友達を紹介したくても人員が十分足りていて空き待ちの店舗もあるほどなんです。スタッフがお店を好きでいてくれて、嬉しく思っています。

「良好な人間関係」を生む仕組みづくり

スタッフがお店が好きだと思えるかを大切にしています。そのため、店舗内で良好な人間関係が育まれるように、売上予算を達成した時に「ハーゲンダッツ手当」や「ラーメン手当」を出しています。社員とアルバイトが一緒に達成感をわかち合ったり、交流を深める良いきっかけになっています。

未来の幹部を育てる「エースサポーター制度」

未来の幹部育成のために、貢献度の高い約2割のアルバイトを「エースサポーター」として選抜、全店横ぐしで勉強会を行っています。先述の店舗通信簿を使った店舗ミーティングもエースサポーターを中心に運営してくれています。結果的に、会社へのロイヤルティが高まり、社員登用にもつながっています。

全社プレゼン大会の様子
全員の前でプレゼンを行い、自分の考えや想いを言葉にする

従業員満足度(ES)調査の活用

従業員満足度(ES)調査はMS&Consulting社の「tenpoketチームアンケート」を四半期に1回行っています。以前はGoogleフォームを使って自社で実施していましたが、スコアの分析が難しく、改善につなげられていませんでした。「tenpoketチームアンケート」では改善すべき項目が示されるので、幹部で改善策を決め、実行しています。

例えば、調査でビジョンが十分に浸透していないことがわかりました。そこで発信を強化したところ、ビジョン浸透のスコアがぐっと上がりました。従業員満足度(ES)という目に見えにくいテーマであっても、施策の効果を数値を数字で確かめられるのは大きな意味があります。

ES調査イメージ図
ES調査「tenpoketチームアンケート(サンプル画像)」

総括 (担当コンサルタントより)

「顧客満足度(CS)」「従業員満足度(ES)」「業績」、この3つが良い影響を与えあい、理想的な循環が生まれている点が絶好調様の強みです。人に投資することでCSが高まる。結果、業績が伸びる。業績が良いから、ESを高めるための投資がまたできる。人が定着し、育つ。絶好調様には、この好循環があるので崩れません。サービス業では「人材」や「高い従業員満足度」がどれほど大きな武器になるかを、絶好調様は見事に証明されていると思います。

※監修:株式会社MS&Consulting 外食事業部、執筆:同社 並木彩華
※記載の数値や固有名詞などは執筆当時のものです。

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