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コロナ禍で見えた「不易流行」 ミッション経営で100年企業を目指す

株式会社イーストン

札幌、仙台、東京、埼玉で4業態・44店舗を展開する株式会社イーストン。コロナ禍においてもいち早く売り上げ回復の兆しを見せ、積極的に新店舗をオープンするなど注目を集めている。2020年10月にMS(ミステリーショッピングリサーチ)を再開した同社の取り組みや今後の展望について、代表取締役社長の大山泰正氏に話を伺った。

取材:渋谷行秀、湯瀬圭祐
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。


長引くコロナ禍でも売り上げは回復の兆し

地域にもよりますが、ありがたいことに売り上げは10月末の時点で昨対80%ほどには戻ってきていますし、3割の店舗では昨対超えを達成しています。しかし、コロナ禍でワークスケジュールがシェイプアップされたため利益が出ている面もあり、この状況は従業員の負荷やお客様へのご迷惑という意味では本来あるべき姿ではありません。

コロナ禍と言われ出した2月から、やれることはなんでもやってきました。デリバリーの開始、店頭での弁当販売など新たな業態を取り入れたこともそうです。札幌市のスマイルクーポン、北海道のどうみん割、そしてGoToキャンペーンなどもどんどん参加しましたし、資金面では補助金の活用はもちろん、政策金融公庫からの融資もあって最初の修羅場は切り抜けることができました。

一方で、感染症対策など新しいルールづくりに追われている部分はあります。

業界のガイドラインに則った営業をするというのは基本ですが、検温、30分に1回の手洗いと消毒、そして店内換気の徹底といった対策は浸透してきました。しかし、これから寒さが厳しくなる季節でもありますので、札幌や仙台などでは店内換気についてお客様に納得していただきつつ、どう実行していくかという課題も生まれているところです。


外食業界の今とこれからについて

コロナ禍も落ち着きを見せたかというタイミングでの第3波で、キャッシュアウトしている会社も多いはずです。新興のチェーン店などは資金調達に苦しんでいるところもあるかもしれません。当社は35年間、地域の金融機関から借り入れを続けてきたおかげで、この状況下でも2回3回と資金調達をすることができました。普段から地域とのつながりがないと、なかなかこういう状況での大きな資金調達というのは難しいもの。外食産業で成長拡大していくのであれば、世の中がどういう状況になったとしても、その時その時でしっかりと資金を調達できる手段を持ち、貸し手との信頼関係を結ぶためのコミュニケーションを図ることが必須です。

それから、第1波の時、ニューノーマルとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)、フードテックなどがしきりに叫ばれていましたが、少し机上論が過ぎていたと感じます。結局、アクリルパーテーションを立てるなどアナログなことを徹底する流れになった。しかし一方で、お客様に対して価値を生むところ以外は全部デジタル化せよという流れは、加速していくでしょう。この流れにどれだけの一般外食の企業が対応できるのかと考えると、5店舗・10店舗の規模にはなかなか難しいだろうと思います。業界再編成とでも言うのか、DXやフードテックの流れが加速するにつれ、淘汰されるところもあるはずです。これは当社も含めてしっかり対策しなければなりません。

また、現在アメリカの外食業界では、朝食と昼食でどれだけ売上・利益を上げるかという流れになってきています。アルコールを飲む習慣が減り、食に対するライフスタイルが変わりつつあるこの流れにも、今後は注視する必要がありそうです。


「不易流行」イーストンがコロナ禍で大切にしていること

アフターコロナに向けて我々が大切にしていることはDXだとかフードテックではなく、まずは傷ついているお客様とのリレーションシップやコミュニケーションを取り戻すということです。中でも、お客様に変わらない価値を提供するために、自分たちが変わっていく「不易流行」の精神を持つことは特に大切です。

これを実現するためにはまずインナーコミュニケーションに力を入れることだと考えます。

従業員にはパンデミック時に対応できない業界だという印象を与えないよう、face to faceで寄り添うことを心がけています。少人数制でのミーティングに幹部が出向く取り組みを11月から始めたほか、オンラインでのコミュニケーションにも取り組んでいます。財務状況も、数字をきちんと提示して不安を払拭できるような工夫や、社長メッセージを動画で流すなど、見える化を徹底しています。不安もある中ですが、元のイーストンを超えた素晴らしいチームになり、一致団結して乗り越えなければなりません。

ここで今一度考えるべきは「何のために売り上げ、利益を伸ばすのか」ということ。我々は、ミッションと理念を共有することで、この「何のために」という目的の共有を目指しています。

我々の掲げるミッション「食を通して日本を元気にする」を実現するために、2030年までに売り上げ500億円の企業になる。そしてそれには企業理念である「お客様・従業員・お取引き先と感動を共有できる企業」であることが必要です。

有名なところではスターバックスにもそのようなミッションがありますが、そういった思いがある企業が、100年企業、1000年企業として残っていくと考えています。これから外食産業はミッション経営がキーワードになるのではないでしょうか。


MSは霧の中の灯台

この10月からMS(ミステリーショッピングリサーチ)を再開しましたが、当初は何がどうなるかわからないという状況でMSどころではないというのが正直なところでした。しかし、恐怖と不安の日々を過ごすうちに、少し見えてきた道標がMSだったのです。

コロナ禍で、お客様が望むことが大きく変化しました。感染症対策という大きな要素が追加されたのです。我々はお客様に安心・安全だと感じてもらうことをゴールと決め、その検証としてMSが役立つと確信し、再開を決めました。

MSスコアは、コロナ禍という霧の中でも私たちの行く先を灯台のように照らしてくれます。我々が抱く危機感に対し、何ができるかということを示してくれる重要な指標です。当社のミッション経営に、これからも大いに影響を与えるものとなるでしょう。


コロナ禍でもいち早く売り上げ回復の兆しを見せている株式会社イーストンさまでは

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