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コロナショックが大きい居酒屋業界で2020年6月に早くも黒字回復、 鍵は『SVマネジメントの改革』

取材:湯瀬圭祐
※記載されている数値や固有名詞などは取材当時のものです。

屋台居酒屋「大阪満マル」など78の飲食店を経営する株式会社イートファクトリーホールディングス。新型コロナの影響で4月・5月は巨額の赤字を計上するも、翌6月には見事に単月黒字に転換。その裏には、様々なコスト削減、売上補填策とともに、‟SVマネジメントの改革”があったと言います。詳しくお話を伺いました。取材日:2020年10月15日


INTERVIEW


新型コロナの中「SVマネジメント改革」を進める決断をされました。その経緯を教えて下さい。

山口社長:当社の主力事業は居酒屋経営なので、業績は新型コロナで大きなダメージを受けました。そんなタイミングで『SVマネジメント改革』に取り組む理由が2つあります。

1つ目の理由は『各店のクオリティを磨く』ためです。実は店舗の営業内容が良いところは回復が早いんです。『各店のクオリティを磨く』ことは、今のような緊急事態でも取り組むべき‟基本の業績回復策”だと捉えています。

2つ目の理由は『各店の無駄を省き利益を最大にする』ためです。売上が戻らないことを考えると、各店の無駄を見つけ、利益額を最大に持っていかなければなりません。

そして、店舗数を急拡大させてきた当社において、これら2つを実現する要は『SV』になります。


【ポイント1】売上が10割には戻らないと想定して手を打つ


これまでのSVマネジメントにはどのような課題があったのですか?

斎藤本部長:最大の課題は「SVがチェックマンになっていた」ということです。SVの重要な役割の1つは問題解決のサイクルを回し、担当店舗のクオリティを磨くことです(下図)。


【ポイント2】SVの役割|問題解決のサイクルを回す


ところが、以前のSVは発見した問題を店長に指示するだけ、店長は仕事に手一杯で問題解決は後回しという状況になっていました。放置された問題が積み重なると店舗のコンディションは徐々に悪くなり、お客様は離れていきます。


【SVが陥っていた症状1.チェックマン】
SVの仕事が①「問題発見」で終わっている


また、「SVがお助けマンになっている」という課題もありました。SVは‟長期的な視野に立ったサポート”が仕事ですが、‟目の前の事のサポート”にとらわれてしまっていました。シフトの穴埋めや店長が今困っていることの解決等、対症療法的な動きが多く、本質的な解決につながる動きができていませんでした。


【SVが陥っていた症状2.お助けマン】
SVが①「近視眼的なサポート」に追われていた


「SVマネジメント改革」、どのように進めたのか教えて下さい。

山口社長:ちょうどSVナビというシステムに出会い、取れる方策が増えたこともあり、2つの改革を実行しました。

1.問題解決業務の分割(行動に集中できる環境づくり)

山口社長:まず、「問題解決業務」を2つに分割しました。

① 問題を発見する

② 問題解決のための行動を起こす

そして、このうち①はインスペクター(検査官)という新しい役職を立て、そのメンバーに担わせることにしました。SVは②の「行動」の部分に専念させることにしたのです。SVナビの機能を使うことで、スムーズに役割を分割することができました。

SVナビを活用して現場は「行動」に集中させる


2.改善量の見える化

山口社長:SVが「改善行動」に専念できるように業務を絞りましたが、この流れを爆発的に加速させるにはもう一手用意することが必要だと感じていました。SVに情熱を持って取り組んでもらうための仕掛けです。


印象に残っている言葉があります。「仕組みづくりで大事なのは評価と賞賛」という言葉です。『正当な評価をすることが大事』という意味です。業績評価はわかりやすくて良いのですが、立地の良い店舗を担当しているSVが優位になってしまい不公平感が生まれます。特にこのコロナ禍では立地・客層の業績への影響が非常に大きくなっていて、その傾向に拍車がかかっています。


職位が高くなってきたら「業績評価」のウェイトが高くて良いと思いますが、現場を預かる人の評価では「行動評価」にも焦点を当ててあげないといけない。そこで、『SVがどれだけ改善行動を進めたか』をSVナビで見える化して、評価制度に組み込むことにしました。

SVに情熱を持って取り組んでもらう鍵は‟改善量の見える化“


プロジェクトを進める上でどういったハードルがありましたか?

山口社長:インスペクターによって店舗を見る基準がぶれてしまっては、この制度は上手く機能しません。インスペクターの任命は2名としました。当社は78店を展開していますから、「1人で約40店舗をどう担当させるか」というハードルがありました。


そのハードルをどのように解決したのですか?

山口社長:プロジェクトチームを立ち上げ、議論と検証を重ねました。そこで編み出した手法が「SVナビを活用したオンラインスーパーバイジング」です。SVが担当店舗に臨店している時に、「インスペクターのパソコン」と「SVの携帯電話」をつなぎます。そして、カメラの映像を見ながら、SVと⼀緒に問題発⾒を進めるのです。「3ヶ月に1回のリアル臨店」「間の2カ月はオンライン臨店」としたことで2名で78店舗の問題発見を担当することができるようになりました。

1人40店舗検査を可能にするSVナビ臨店


小嶋インスペクター:SVナビの操作になれるまでは大変でした。最初はカメラ動画を見ながらの指導に酔ってしまったこともありました(笑)  今は方法が洗練されてきて、実はリアル臨店よりも生産性が高まりました。リアル臨店だと1店舗・5時間かかりますが、SVナビ臨店なら1店舗・1時間で終わります。


SVナビ臨店とリアル臨店の工数比較


「SVマネジメント改革」に取り組んだことで、どんな変化がありましたか?

斎藤本部長:SVの視点が⻑期化してきています。今までのSVは毎月のことや今問題になっていることに思考がいきがちでした。SVナビで各店舗の「問題解決数」や「連敗項目」が見える化されました。そういった時系列のデータが把握できることで、SVの思考も長期化してきたのだと思います。


中山インスペクター:店舗スタッフの目指す基準が高まったことも嬉しい変化です。例えば、清掃が弱い店舗は汚い店舗を毎日見ることになる。すると、それが当たり前の景色になってしまい、汚れに気がつかなくなる。ところが、SVナビだと報告書にビフォー&アフターで写真が残るので、「こんなところも清掃度を写真に撮られるんだ」「こんなに綺麗になるんだ」と感じるスタッフも多く、汚れに気づくようになります。一人ひとりの目指す基準が高まれば、その場で改善が進みます。結果、改善スピードが格段に速くなりました。


山下GM:改善量が増えました。インスペクターが「やりなさいと指示する」というやり方ではSVのやらされ感が高まって、ここまで行動力は高まらなかったと思います。SVナビだと改善量が数値で見える化されます。自分で気づいて、自分でやる。このシンプルさが効果的だったと思います。


今後のSVに期待することは何ですか?

斎藤本部長:自走化です。SVだけでは解決できないことが必ず出てくる。その時には他部署も巻き込んで解決しなければならない。直属の上司の決裁を待つのではなく、必要な情報を取り、必要な組織を作って、自ら改善していける存在になってほしいと思います。


山口社長:オーナーや店長、スタッフとコミュニケーションを取りながら問題解決を進めるには相当な能力が必要。そこで身につけた「問題解決力」は当社以外でも認められる能力。相当な基盤力になる。今回の取り組みは、会社のためはもちろん、自分の成長のためにもつながると理解して取り組んでほしいと思います。


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