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従業員満足度に取り組む今こそ知っておくべき『SPC理論』 第2回 従業員満足度コラム

2018/05/10 更新

『離職率を下げること』が大事な3つの理由

2018051_2多くのサービス業の皆様が従業員満足度の向上に取り組まれている大きな目的の1つが『離職率を下げる』ことにあります。離職率が下がることのメリットは大きく以下の3つに分けることができます。

① 採用コスト減による利益向上
② スタッフ不足による経営リスク減
③ 勤続年数の伸長によるスタッフスキル向上と教育コスト減

①が一番分かりやすく、実感も大きいのではないでしょうか。採用媒体に10万円以上払っていたのに結局採用できなかったという話も珍しくなく、また急な離職ほどそのダメージも大きいのではないでしょうか。
②についても、離職者の増加は残ったスタッフの仕事量増に直結します。働き方改革が叫ばれ、スタッフ側の『働き方』に対する期待値が以前より高まっていく中で、仕事量の増加は心身両面での負担を増大させます。
そして多方面に対して影響が大きいのが③です。スタッフスキルの向上はお客様に提供できるサービス品質につながり、そしてお客様の満足度につながっていきます。(余談ですが、従業員満足度と顧客満足度が相関しないときに多いのがこの場合です。「従業員満足度が高いがスタッフのスキルはそこそこの店舗」と「従業員満足度はそこそこだがスタッフのスキルは高い店舗」であれば、業種にもよりますが後者の方が顧客満足度は高くなりやすい傾向があります。)教育に関しても、新しいスタッフさんの受け入れが多ければ多いほど、教育にかかる時間的コストは増えていきます。

従業員満足度は大事。しかし顧客満足度も、業績も大事

2018051_3従業員満足度、離職率を考えずには店舗運営、経営ができなくなってきている、そういったことは多くの方が感じていらっしゃることだと思います。しかし、だからといって従業員満足度「だけ」取り組めばいい、というわけではないジレンマに悩まれている方もまた、多いのではないでしょうか。
バブル崩壊以降、様々な業界で市場規模はピークを迎え、顧客に対する差別化ができないと生き残れない時代となりました。その中で顧客満足度(CS)が注目され、売上と同時にCSも重要指標として追いかける企業が増えていきました。そして、人材不足の時代となった現在、顧客だけでなく従業員にも選ばれなければ店舗運営ができなくなりつつあります。
『業績が大事』だった時代から『業績もCSも大事』という時代になり、そして今は『業績もCSもESも大事』な時代へと移り変わってきました。どれか1つ良ければよい、というわけではなく、いかにこの3つのバランスを取り、3つとも高めていくことができるかが重要な時代に突入しているとも言えます。

大事な「つなげる」という観点

2018051_1この3つを連鎖させ、高めていく考え方が「サービス・プロフィット・チェーン(以下、SPC)」です。それぞれを独立して考えるのではなく、連鎖させていくことによって3つ全体を底上げしていこうという理論です。
ただ、誤解されがちなのが、SPCは「ESが高まれば“勝手に“CSが高まり、CSが高まれば業績が”勝手に“高まる」というものではない、ということです。SPCを最初に提唱したJ.S.HeskettやW.E.Sasser,Jr.らがアドバイザーを務める「The Service Profit Chain Institute」という団体がアメリカにあるのですが、彼らは自分たちのミッションとして「We help our clients succeed by connecting the links between employees, customers and profits.」という言葉を掲げています。SPCを提唱した彼らが「従業員、顧客、利益を『つなげる』ことを成功させる手助け」をミッションに掲げていることからも、少なくとも何もせずに勝手につながるものでないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
また、SPCは今まで「利益はマーケティング部門、顧客は営業部門、従業員は人事部門」とされてきた要素をつなげる考え方として、企業内での部門連係の必要性について示唆していることも、今日まで20年以上にわたって注目され続けている理由の1つです。
さて、皆さんの会社ではESがCSにつながっているでしょうか?逆にお客様に喜ばれているということをスタッフさんがきちんと実感することでESを高められているでしょうか?マーケティング部門、営業部門、人事部門が連携してSPCをつなげ機能させる動きはあるでしょうか?この『つながり』をもう一度意識してみるのもよいのではないでしょうか。

文:錦織 浩志

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