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CS向上をスローガンで終わらせない。 本部と現場二人三脚の取り組みとは?

ミニット・アジア・パシフィック株式会社​​​​​​​

靴修理・合カギ作製をはじめとする総合リペアサービスを提供するミニット・アジア・パシフィック株式会社。「サービスのコンビニエンスストア」というコンセプト実現のため、ミステリーショッピングリサーチを用いてスタッフのサービス力向上に取り組んでいる。本部と現場スタッフのベクトルを合わせ、組織変革を実現させた、同社営業本部長 清水健太郎氏にお話を伺った。

――CSに取り組む理由をお聞かせください。

当社は創業以来、靴の修理や合カギの作製など手仕事にこだわり、「お客さまの困ったことを解決する」、「お客さまの物に、付加価値を付けてお返しする」というサービスをしてきました。さらに2015年以降は、多岐にわたるサービスの提供を目指して「サービスのコンビニエンスストア」というコンセプトのもと、新たにスマホや時計の修理、はんこの作製、クリーニングなど、サービスラインナップを拡大しています。

リペアサービスの売上は、もちろん店舗の立地要因も関係しますが、店舗スタッフの「顧客満足(以下、CS)に対する意識」によって変化します。お客さまのご要望を引き受けるのか、断るのかによる影響が大きいのです。例えば、お客さまから「この靴、直せますか?」と言われたときに、「メーカーでなければ直せません」とお断りするのか、「色合いは少し変わってしまいますが、直せますよ。色合いまできれいに直したいとお考えでしたら、メーカーにお願いされたほうが良いですよ」とご提案するのかによって、お客さまに与える印象が変わり、売上も変わってきます。そのため以前から、「お客さまのご要望は断らないように」と本部から各店舗へ指示はしておりましたが、徹底はできていなかったと思います。CSに対する意識づけのために、御社にお願いする前にもCS調査を行っていたのですが、当時はCS向上に取り組む意図がきちんと現場に伝わっていなかったため、取り組みが浸透していませんでした。

お話をお伺いした、同社 営業本部長 清水健太郎氏


――CSに対する意識を根付かせるために、どのような取り組みをされたのでしょうか?

本部がどんなに施策を考えても、現場スタッフが納得していなければうまくいきません。
そこで、CS活動に前向きになってもらうために、例えば、店舗から要望のある道具はすべて購入するなど、本部では「CS向上につながることであれば、現場の要望をすべて聞くこと」に注力しました。
さらに、CS活動へのインセンティブとして、スクラッチカード「スピリットカード」をつくりました。これは、お客さまだけでなく、ディベロッパー、テナントや社内メンバーに対して、良い行動をしたスタッフに渡しています。カードを削ると、20万円相当のジョンロブの靴や家電、QUOカードなどが当たります。渡す権限があるのは、エリアマネージャーとエリアディベロップメントマネージャー(以下、ADM)、スタッフが5~6名いる店舗の店長で、連絡メール等でエピソードを共有し、毎月対象者を決定しています。1エリアあたり、年間延べ100人くらいが授受対象となります。

このような施策により、スタッフがCS活動に興味を持ち始め、マニュアルに書いていない行動にも自発的に取り組めるようになってきました。例えば、修理をした靴を履かれる際に足もとまでお持ちしたり、お客さまがスリッパを返そうとされた際に「そちらに置いたままで大丈夫です」とお伝えしたりと、ちょっとした一言やアクションが出てくるようになりました。ショッピングセンター内の店舗などでは、お客さまのためにショッピングセンター内の他のテナントさんをご紹介することもあります。また、これまでは靴磨き用の専用クリームを購入していただかないと靴磨きをしないという方針でしたが、買わなくても靴磨きができるようにサービス化するなど、スタッフの声から新しいサービスも生まれています。

こうして、「CS向上につながることであれば、本部は認めてくれる」ということがスタッフに伝わっていった結果、組織の風土が徐々に変わっていきました。また、CS活動を進める上で、御社の顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」は、これらの取り組みに対する評価を、お客さまの生の声で客観的に教えてくれるので、大変ありがたいです。

スクラッチカード「スピリットカード


――取り組みの成果を教えてください。

前提として、リペアサービス業の売上はアパレル業界の売上と連動する部分があります。つまり、アパレル業界が厳しいと修理するものが増えていかないので、リペアサービス業も厳しくなるのです。現在はまさにその状況にありますので、いかに機会ロスを減らすか、リピーターを増やすかが大事になります。その結果指標として、弊社では客数を重視しているのですが、上記の取り組みの結果、市場環境が厳しい中ではありますが今年4~6月における客数は前年対比でプラスとなり、売上アップにつながっています。

現在弊社ブランド「ミスターミニット」は、首都圏を中心に、300店舗店舗を展開しており、今後は郊外へも店舗展開を目指しています。ただ、都内近郊では6~7割が靴に関わるサービスであるのに対して、郊外では靴以外のサービス、クリーニングやスマホの修理などが増えるといったように、地域によってお客さまのニーズが異なるため、そのニーズに細やかに応えていくためには、地元のことを理解していらっしゃる地元のオーナー様にお任せするのが良いと考えております。そのため、直営店ではなくFC店舗での拡大をしていきたいと考えています。




※取材:砺波敬之 文:宮本紗和
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。

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