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人の和を大切に、関わる全ての人を愛して、百年続く企業を目指す

株式会社寿福産業

http://www.jf-group.co.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2015年春号』掲載
担当:有賀 誠/文:鬼熊春子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

1975年、創業社長となる寿福一隆氏が鹿児島市に手打ちうどん・そば「ふく福」を開業して以来、地元鹿児島の食文化への貢献を理念として掲げ、鹿児島県内を中心に黒豚料理「寿庵」・廻る寿司「めっけもん」・こだわりらーめん「十八番」など36店舗(2015年3月末時点)の飲食店を運営する株式会社寿福産業。同社では3年前にミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を導入し、勉強会を定期的に実施しながらCS向上の取り組みを進めてきた。創業40周年を迎え、スタッフ500名が集う決起大会・祝賀会開催を控えた前日、専務取締役の寿福大祐氏にお話を伺った。

40周年を迎えられる現在のご心境はいかがでしょうか。

ただただ「感謝」の一言に尽きます。お客様への感謝はもちろんですが、一緒に頑張ってくれているスタッフの皆

さ まにも、取引業者の皆様にも感謝しております。明日、従業員が集まってイベントを行うのですが、これも自社の記念というよりも、こうした感謝の気持ちを伝 える場だと自分では考えています。

当社では20年前の20周年の際に、経営方針として「愛情大切会社」というキーワードを掲げました。それを表す 具体的な項目として「パートナー」「お客様」「道具」「地域社会」の4つを挙げているのですが、この順番にも意味があります。「共に働くパートナーを愛し ます」という項目が一番先に掲げられていることが示している通り、当社は「まずは人ありき」で、人を大切にしてきた会社だと自負しています。明日は、こう したパートナーの皆様への感謝の気持ちを改めて伝えられればと思っています。

専務取締役の寿福大祐氏は代表取締役の一隆氏のご子息で、16年前の入社以来、現場叩き上げで経験を積み上げてきた。


御社では同業他社と比較してスタッフの待遇もかなり手厚いと伺いました。

そうですね。パート・アルバイトのスタッフにも夏・冬にボーナスを出しています。「従業員の給与をできるだけ上 げる」というのは創業以来社長がずっと言い続けていることで、「今年はボーナスを出すのは苦しいな」という時期もあったのですが、そのようなときでも「ど んな時でもボーナスは出す」という判断でやってきました。その他に、成人祝いやお子様へのお祝い制度などもあります。

もちろん、待遇さえ上げればそれで良いという考えではありません。基本は、仲間の一人ひとりに対して関心を持つということだと思っています。上辺だけ仲良く楽しくというのでは駄目で、時には厳しいことを言うことが必要な場面もあると思いますが、そうしたときにも必ず愛情をもって接することが必要だと思ってやっています。

こうした取り組みのおかげか、会社の規模の割には昔ながらのアットホームな空気が保たれていて、とても良い風土が醸成されてきているのではないかと感じています。20年以上働いて下さっているスタッフさんも多くいらっしゃいまして、こういう風土をこれからも維持していくことが私の重要な役割だと認識しています。

「まずは人ありき」という代表取締役 寿福一隆氏は、日頃の感謝の気持ちを込めて、積極的にスタッフとの交流を深めていた(炉の蔵店の女将・スタッフさんと一緒に)。


決起大会・祝賀会で行われた「女将任命式」。


3年前、MSRを導入しようとお考えになったきっかけは何でしょうか。

他の外食企業さんも同様だと思うのですが、3年前といえば経営環境が特に厳しい状況にあり、そうした環境の中で、どうすれば生き残っていけるかということをいろいろと模索していた時期です。当社では方針として、新規出店を進めるよりもまずは足元の既存店をしっかりと安定させていこうということを考えておりまして、そういう時期にMSRを知り、導入を決めました。

全社員と勤続1年以上のパート・アルバイトスタッフ約500名が一同に介し開催された「創業40周年記念決起大会・祝賀会」の様子。


MSRを導入されて、どのような変化がありましたか。

MSRを導入したことで、改善に向けての現場スタッフのモチベーションが跳ね上がりました。それまでは店舗がそ れぞれで改善活動をしていましたので、店長の力量によってどうしてもバラツキが出ますし、せっかく良い活動をしている店舗があるのにそれが他の店舗に伝わ らないということもありました。そして何より、活動結果を図る指標がないので、モチベーションを維持しづらいという問題もありました。

それがMSRを導入することによって、他の店舗に対して良い意味での競争心が生まれました。点数が全てではあり ませんが、やはり自分の店舗の順位が出ることによってスタッフの心に火が点いたことは大きいと思います。また勉強会でも、優良店舗の取組発表を通じてより 良いやり方が共有されると共に、「次はうちの店舗が発表する側に!」というのが非常に良い刺激になっていて、それまではお店ごとに動いたり動かなかったり していたのが、会社全体が一気に動き出したという印象です。

「40周年記念勉強会」では店舗毎に円卓を囲み、「お客様の感動」をはじめとした理念的なテーマに基づいたグループディスカッションを実施した。


 昨年はあと一歩で平均170点というレベルまで到達されましたが、今年170点を越えるためにどのようなことを考えていらっしゃいますか。

毎年、その年ごとのテーマを掲げて取り組んできましたが、今年は「元気な挨拶」がテーマです。挨拶は接客においてごく基本的なことではありますが、元気の連鎖反応を起こしたい、その起点となりたいという気持ちを込めて、このテーマとしました。

同社では今年、店長とは別に、最高のおもてなしをすることを役割とする「女将」制度をスタート。決起大会・祝賀会において全社員の前で「女将任命式」が行われた。

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そのための重点施策として、一つは、現在3名いるトレーナーのレベルアップを図ること、そしてもう一つ、女将制 度を発足いたします。女将とは、店長とは別に最高のおもてなしをする役割です。また、MSRのレポートから、季節感のあるお勧めが弱いという課題が見えて きましたので、そうした部分も強化していきたいと考えています。

私は経営に携わるものとしてはまだまだこれからの立場ですが、今年40周年を迎え、次は50年と言わず、100 年続く企業を目指したいと思います。そのためにも、鹿児島の方々に愛していただける企業、愛され続ける企業になりたいというのが、父から受け継いだ変わら ぬ想いです。


シフトの前に身だしなみや手洗いを二人一組でチェックするようルール化したことで、徹底されるようになった(かつ寿アミュプラザ鹿児島店)。


スタッフ同士のロールプレイングの風景。商品をより美味しく召し上がっていただくために商品知識の習得に力を入れ、トレーニングを重ねている(ふく福川内店)。


一昨年には店舗ごとに「理想の店舗&目標設定シート」を作成。今も毎日の朝礼で振り返りを行っており、開店と同時に心地良い雰囲気が溢れる(ふく福川内店)。


活動を全社的に展開してから3年経ったが、全店平均は順調に向上。昨年度の総合得点平均は業界平均165点を上回る170点(200点満点)に迫った。


お客様により季節感を感じていただくために、社員とアルバイトが協力してPOPや店内装飾を作成し、お客さまに楽しんでもらう工夫をしている(炉の蔵)。


毎日スタッフが自ら目標を設定し、「やることリスト」をホワイトボードに記入。目標と取り組み結果を共有用のノートに記し、スタッフ全員で共有している(ふく福川内店)。


MSRのレポートから見えてきた「季節感のあるお勧めが弱い」という課題から、「おすすめPOP」を作成し、「旬」をアピールしている(めっけもん城西店)。


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