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JR九州ホテルズ株式会社(ホテル経営)

お客さまの声に真摯に向き合い、愛されるホテルへと大きく前進

JR九州ホテルズ株式会社(ホテル経営)

JR九州ホテルズ株式会社

福岡県福岡市博多区博多駅東1-12-23

会社ウェブサイト:http://www.jrk-hotels.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2013年春号』掲載
担当:立山 浩志・編集:西山 博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
JR九州グループでは、CIS(お客さま感動満足)・EIS(社員感動満足)推進活動に力を入れている。中でも、2011年11月に開業したJR九州ホテル宮崎は目覚ましい成果を挙げ、激戦区にオープンした新しいホテルながら、短期間のうちに多数のお客さまから感謝の声が寄せられるほどになった。その取り組みを、同社の成果発表会におけるプレゼンテーションを基に紹介する。

お客さまの心に残る感動の花を咲かせるには

代表取締役社長 小濱 和彦氏

代表取締役社長 小濱 和彦氏

九州全域に及ぶ鉄道のネットワークや、それらに付帯した交通・旅行・駅ビルなどの利便性を最大限に活用できる JR九州ホテルズは、その有利な立地だけでなく、JR九州を冠するホテルブランドとしての信頼感や安心感から、長らく高い人気を博している。同社は現在、 九州と屋久島を含めて8つのホテルを運営するが、立地などのハード面でお客さまに満足してもらうだけでは不十分だと考えていたという。そこで、「ソフト面 でもお客様にご評価いただける高品質のサービスを創り出していく責務がある」(同社代表取締役社長 小濱和彦氏)とし、スタッフ一人ひとりのサービス力向上を図ってきた。

「ホテルのスタッフ全員が、目・気・心を配り、お客さまの心に残る感動の花を咲かせるようなおもてなしが実現することを目指しています。大切なのは、働く社員に元気があり、職場に活気が満ち溢れていること。そして、日々の改善活動の地道な積み重ねです」と、小濱氏は語る。

特に昨年春から、ホテルごとに毎月1回、支配人とサービスマイスター(サービスの責任者)を中心とした全員参加のミーティングを励行し、CIS・EIS推進活動に注力してきた。その中でも大きな成果を上げたのが、まだ開業して2年にも満たないJR九州ホテル宮崎だ。

「もっと仕事慣れすべき」厳しい言葉に愕然

店舗ミーティングを通して、(1)強みである笑顔の強化、(2)電話応対の改善、(3)スタッフの案内のレベルアップ、(4)駐車場案内の改善、(5)最後が朝食の改善、という5つのテーマを設定。

店舗ミーティングを通して、(1)強みである笑顔の強化、(2)電話応対の改善、(3)スタッフの案内のレベルアップ、(4)駐車場案内の改善、(5)最後が朝食の改善、という5つのテーマを設定。

同ホテルは、2011年11月3日に開業した。実は、支配人、副支配人、マネージャーとスタッフ9名の総勢12 名がホテルに揃ったのは、約1カ月前。しかも9名のスタッフのうち7名が新人という状況で、「新人教育と開業準備の同時並行は想像以上に大変だった」と、 スタッフの坂口莉紗氏は振り返る。

不安を抱えたまま開業の日を迎えた彼らがしばらくして直面したのは、利用客からの厳しい声だった。「もう少し仕 事慣れすべき、プロフェッショナル要向上です!」「要望に対して的確な回答が得られなかった」「再度の利用は難しい…」これらの意見を見て、皆が愕然とし たという。「このままではお客さまに二度と当ホテルを利用していただけない。それどころか、安全・安心・快適を提供するJR九州ホテルグループ全体の信頼 まで失ってしまうと思いました」(坂口氏)。

ホテルの事務室内には1年後のビジョンを掲示している。ホワイトボードには、今月のホテルスタッフの行動目標や個人目標を掲示し共有することで、ビジョン達成に向けた決意を確かなものにしている。

ホテルの事務室内には1年後のビジョンを掲示している。ホワイトボードには、今月のホテルスタッフの行動目標や個人目標を掲示し共有することで、ビジョン達成に向けた決意を確かなものにしている。

課題は、お客さまに愛されるホテルになること。そうならなければホテルの未来はない、この状況を打破するには自分たちが変わらなければと考え、CIS・EIS推進活動に際して、テーマを「また来るねと言われたい…」に設定した。

活動計画は、4段階に分けて立案した。まず11月から1月にかけて、現状把握と目標の設定、原因の分析を行う。 次に12月から3月にかけて、同時並行して対策内容を検討。順次それを実施し、7月まで継続。そして8月までを目途に効果の確認とまとめを行う、という段 取りだ。またその期間中、11月、1月、4月、6月、8月にミステリーショッピングリサーチ(以下MSR)を実施した。

自分たちの強みは何か、それを強化しよう

具体的な改善点に挙げたチェックイン対応は、マニュアルを作成することで対応を統一。カードキーの使い方を写真で説明するなど、分かりやすい案内を心掛けた。

具体的な改善点に挙げたチェックイン対応は、マニュアルを作成することで対応を統一。カードキーの使い方を写真で説明するなど、分かりやすい案内を心掛けた。

まず皆で取り組んだのは、現状の把握だ。開業時期に集まったお客さまの意見のほとんどがスタッフの対応力不足に 集中していたことからも分かるように、スタッフの不慣れな状況が大きな課題だった。新人が多いことだけでなく、グループ内の各ホテルから集まったメンバー は、経験はあるが宮崎出身者でないため宮崎の知識がなく、お客さまへの案内が不足していた。また、館内のサインや、ウェブサイト上の案内も十分ではなかっ た。

こうした状況から、目標を「お客さまへの案内を夏までに全員が同じようにできるようになる」ことと設定。それを 達成するため、さらに細かく原因を分析していくと、前述の人的な課題に加えて、フロントが複合ビルの8階にあり分かりにくいこと、予約の実に6割がイン ターネット経由であるにもかかわらず、掲載される情報量が少ないことなどが挙がった。「JR系列のホテルということで、サービスへの期待値が高いことも、 厳しいご意見の背景にありました」と坂口氏。

新人が多いため、一足飛びにグループ内の他のホテルのような完璧な接客をするのは難しい。ではいったい何ができるのか、スタッフ全員でミーティングを重 ね、まずは自分たちの強みと弱みを分析。強みを伸ばして弱みを改善することにした。また、スタッフ間の連携強化の一環として、それぞれが自己紹介シートを 作成し、互いを知り合いながらの改善を目指した。

宮崎出身のスタッフを中心に、手作りのマップや新聞を作成

朝食会場へはフロントの前を通るため、その時点でフロントスタッフがお客さまに必ず声をかけることに。それに気づいた朝食会場のスタッフがタイムリーにお客さまを出迎えられるよう、連携を強化した。

朝食会場へはフロントの前を通るため、その時点でフロントスタッフがお客さまに必ず声をかけることに。それに気づいた朝食会場のスタッフがタイムリーにお客さまを出迎えられるよう、連携を強化した。

お客さまアンケートやネット上の口コミ、MSRをもとに具体的な対策として打ち出したのは、(1)強みの強化、(2)電話応対の改善、(3)スタッフの案内のレベルアップ、(4)駐車場の案内の改善、(5)朝食の改善、の5つだ。

厳しい意見が多い中で強みとして挙げたのは、笑顔。「唯一、お客さまに褒められたことでした。そこでスキルが足りない分、明るい笑顔は絶やさないように徹底しました」(坂口氏)。

次に、電話応対の改善。前述の通り、同ホテルではオンライン経由の予約が多いが、繁閑や競合ホテルの状況に合わ せて料金を日々変動させている。一方で、料金についての電話問い合わせが多かったため、料金早見表を作成し、応対にかかる時間を短縮した。また、歓迎の気 持ちを伝えるため(1)声のトーンを明るく、(2)お客さまを名前で呼び、(3)最後に「お待ちしております」等の一言を添えることを徹底。こうした地道 な積み重ねで、電話応対に関する意見は大幅に減少した。

宮崎出身の2人のスタッフが中心となって観光マップを作成。さらに仲間同士で観光スポットを実際に訪れ、県外からのスタッフも詳しい観光案内ができるようになった。

宮崎出身の2人のスタッフが中心となって観光マップを作成。さらに仲間同士で観光スポットを実際に訪れ、県外からのスタッフも詳しい観光案内ができるようになった。

スタッフの案内のレベルアップについては、特にフロントでのチェックイン対応と観光案内の2つにポイントを絞っ て改善を実施。前者はマニュアルを作成し、案内を統一した。後者は宮崎出身の2人のスタッフが中心となり、観光や食事に関する手作りマップを作成。「休み の日には皆で観光地に出かけ、実際に体験した情報をフェイスブックやブログにアップしたり、地元の店舗と連携してブログを見た方には特典を付けたりと、旬 の情報の発信を工夫していきました」(坂口氏)。

ほかにも、意見が多かった駐車場は道案内の動画をサイトにアップし、朝食の案内やメニューに対する要望も改善。館内や室内の案内もサインやPOPを使って視覚的に分かりやすくするなど、あらゆる箇所に気を配った。

お客さまもスタッフも笑顔になれるホテルを目指して

自分たちの現状とできることを正確に把握し、地道な改善活動に努めた結果、お客さまの意見や要望は目に見えて褒める言葉へと変わっていった(表1)。同時に、「また来るよ」という声も多く聞かれるようになり、実際にリピーターの数も右肩上がりに増えていった(表2)。


v114-1110ヶ月に渡る取り組みの結果、意見や要望の数が減少し、代わりに褒める言葉が目に見えて増えていった。

 


v114-12MSRの結果は、九州内のホテル18調査の中で8位だったのが活動を開始して10ヶ月後に1位となり、それに伴ってリピーターの数は2倍以上となった。

 


「定期的に実施していたMSRでは、最初は点数の半分も取れませんでしたが、8月には200点満点中195点の好成績を収めることができました。九州内の ホテル18調査の中では1位となり、社内で表彰していただきました」(坂口氏)と、大きな手応えを得た。8月の売上は予算対比で125%、稼動率は宮崎地 区内1位になり、まさしくサービスの改善が業績に影響することがよく分かる結果となった(表3)。


v114-13認知度・リピーター数の増加と共に稼働率と売上も上がり、8月度の売上は予算対比125%、稼働率は宮崎地区のNo.1の82.8%を記録した。

 


「JR九州グループ改善発表会」に、会社代表として初めて参加した同ホテルの発表風景。スタッフの坂口氏によるプレゼンテーションは会場内の傍聴者に共感を呼び、会場からは大きな喝采や拍手が起こった。

「JR九州グループ改善発表会」に、会社代表として初めて参加した同ホテルの発表風景。スタッフの坂口氏によるプレゼンテーションは会場内の傍聴者に共感を呼び、会場からは大きな喝采や拍手が起こった。

今後も毎月のミーティングを継続し、「お客さまの声を一番大切にするホテルであり続けたい」と坂口氏は語る。す でに展開中で好評を博している、駅ビル「フレスタ」やJR九州バスとのタイアップ企画をはじめ、グループ内や地域と連携して、より喜ばれるサービスを提供 していく意向だ。

10月のミーティングで、1年後のホテルのビジョンを「お客さまもスタッフも笑顔になれるホテル」と決めた。「1年後、このビジョンが達成できるよう、これからもサービスレベルの向上と業務の改善に努めていきたい」と、プレゼンテーションを締めくくった。

キーワードは「ファミリー」、皆で助け合って得た成果
JR九州ホテル宮崎支配人 古賀博之氏

同施設は2011年11月に開業。当時は、支配人・副支配人・マネージャーと9名のスタッフであったが、9名のうち7名が新人スタッフ。強みの強化と改善を積み重ねて歩んできた。

同施設は2011年11月に開業。当時は、支配人・副支配人・マネージャーと9名のスタッフであったが、9名のうち7名が新人スタッフ。強みの強化と改善を積み重ねて歩んできた。

プレゼンテーションにありましたように、当ホテルは新人スタッフの割合が多く、基本的なホテル業務や電話応対な どもおぼつかない、厳しい状況でスタートを切りました。ベテランスタッフにマンツーマンで指導をさせていましたが、開業までにとても完璧な状況にはもって いけませんでした。

そこで掲げたのが、「ファミリー」というフレーズです。開業前の決起集会で、「私たちのホテルには“お父さん” も“お母さん”もいない。皆が兄弟だ。助け合って自分たちの家を守り、生活していかなければいけない。そのためには皆で協力することが不可欠だ」と話しま した。私自身、今までの経験を振り返り、「重要なのは現場で働くスタッフの笑顔が絶えないことだ」と、明るく働きやすい環境づくりを心掛けなければと思っ たのです。

v114-02それを皆で意識することで、団結力が生まれました。また、お互いのことを知るにつれて得手・不得手も分かり、どうしたらそれぞれがサービスのレベルを上げられるか、お客さまに感動していただけるのか、毎月のミーティングでも積極的な声が挙がるようになりました。

今ではホテルの認知度も上がり、リピーターのお客さまも増え、稼働率が安定してきました。2012年度を振り返ると、開業を機にスタッフ同士が初めて知り合い、ともに働いて意識をひとつにしたことで方向性が定まった結果、今のホテル宮崎が生まれたと感じています。

2013年度は今までどおりミーティングを続け、発言がより活発に出るような職場にしていきたいと考えていま す。また、お客さま満足度を上げるためにも、社員満足度を向上できるように努めたいと思います。スタッフ一丸となって、「お客さまもスタッフも笑顔になれ るホテル」の達成を目指していきます。

 

 

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