【第3回外食クオリティサービス大賞レポート】 オペレーション改革



株式会社マリノ

URL:http://www.marino-net.co.jp/
本社所在地:名古屋市名東区上社4-45-1
設立:1988年10月/資本金:5,120万円
店舗数:本部(名古屋市名東区)、ピッツェリア マリノ(直営店)28店舗、パートナー店/全国及び韓国に13店舗(ピッツェリア マリノ、ピッツァキッチン マリノ、 ピッツァスタジアム マリノ、韓国:ピッツァモーレ)
経営理念:
『恋・愛・気・分』をベースに会社の発展が社員と社会の幸せに結びつく経営を行う。「恋」:自分の気持ちを精一杯伝えよう、「愛」:相手の気持ちを一生懸命わかろう、「気」:元気で楽しく真剣に、「分」:幸せを分け合おう。恋愛をしている時には、「どうしたら彼や彼女に喜んでもらえるか?」を真剣に考えますよね。「相手が喜んでくれることをワクワクしながら一生懸命考えて、ドキドキしながら伝える」 ということを従業員一人ひとりが心にとめて仕事を進めている。


※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。

高い管理目標を設定し、そのための方法をルール化し、徹底したチェック体制で目標を達成させていった株式会社マリノ。しかし、お客様や従業員を大事にすることと、管理目標を達成することのギャップに不満が生じていた。この問題を、いかにして解決に導いたのか。オペーション向上による改善事例は必見。
07年の第一回大会で優勝した株式会社マリノ。あれから2年が経った現在も、安定的な顧客満足度を維持向上し続けている背景には、どのような仕組みがあるのか。

理念・価値観

同社の経営理念は「恋・愛・気・分」。「お互いが幸せになれる企業」を目指した経営の原点であり、浸透しやすさも考えられた、非常にシンプルで分かりやすいコンセプトである。理念の各項目に対するエピソードもまとめられており、それを基にPAも含めた新入社員研修で理念についての研修が行われている。このような現場まで至る理念浸透の仕組みが、マリノ流の接客を生み出す原点である。また、経営判断も理念がベースだ。例えば、創業当初から直営店を中心に店舗展開を行っているが、その理由を「理念に近い経営をしようと考えたとき、直営でなければ“マリノ流”は実現できないと判断したためです」と水野社長は話す。以上のように、一貫して理念に沿った経営を行うことがマリノのベースとなっている。


経営計画

マリノの経営計画は、幹部と社員が一緒になって考える。そして、年に2回の経営計画発表会でアルバイトを含む全社員が全社方針と目標を共有し、理念に基づいた経営計画実行の土台を固めている。現場レベルでは、チーム長が集まる経営戦略会議で進捗が毎週確認され、高い実行レベルを実現している。


業態コンセプト

未だに進化を続けているマリノの業態コンセプトは、ニューファミリーレストラン。ニューファミリーとは、団塊ジュニア世代のことである。団塊ジュニアをターゲットと捉えると、小さいお子様がその主要なターゲットとなる。イタリア料理を追求するのではなく、子供が楽しめる店をコンセプトに。パルメナーラをはじめ、チーズを伸ばして楽しめるチーズフォンデュや、ペンシルバルーンを全てのお子様へ提供するなど、ターゲットに合わせ業態コンセプトを磨いている。同時に、ターゲットに合わせた最適な立地であるショッピングセンターへの出店も積極的に開始した。


オペレーション・サービス

店舗毎に作りこまれたハウスルールや、パルメナーラの提供に見られるエンターテインメント性豊かなオペレーションを実際に行うのはとても難しい。そのため、それを実現することのできる人財力と教育力が強力な差別化要因となっている。その上でさらに、08年度にスタンダードオペレーションの見直しを開始し、人時売上高に応じたワークスケジュール管理を強化。同時に、マニュアル改訂や管理水準(食材管理や労務管理)のレベルアップを図り、幹部陣の経営会議に加え、各店舗のチーム長クラスまでが参加する経営戦略会議にて、毎週目標の振り返りと管理を行ってきた。その結果、オペレーションレベルと人件費比率を維持しつつ、労務環境の大幅な向上を実現させた。


マネジメントの仕組み

それを支える会議体系に着目すると、現場レベルでは全店のPAリーダーが毎月1回、EIS(従業員感動満足)/CIS(顧客感動満足)についてのワークショップを行い、店舗別に毎月時間帯を分けて、ミステリーショッピングリサーチの調査レポートを活用した改善ミーティングを実施。また、管理職レベルでは毎月1回店長研修・副店長研修を実施し、コミュニケーション力・リーダーシップ力・マネジメント力の向上に取り組んでいる。さらに、それらの取り組みから生まれたノウハウや必要な情報を社内情報システムで共有できる環境を整備。生まれる成果への評価も、半年に1回の人事考課表を基にした自己評価・店長評価で行われるため納得感が高い。


このような現場から管理本部に渡る組織的な環境整備が、継続的な改善活動の土台となっている。

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