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大創産業に学ぶ、パート・アルバイトスタッフが活躍できる社風づくり

「100円SHOPダイソー」を世界26の国と地域に展開する株式会社大創産業。国内だけで約3,800もある店舗(2022年8月現在)の運営の中心には、「パート・アルバイトスタッフの活躍」、また、その活躍を支える「旗艦店づくり」や「売り場守備力強化の取り組み」があるといいます。同社、店舗運営企画部 店舗運営企画課 主任 三好綾香氏に詳しくお話を伺いしました。

※文中の「スタッフさん」はパート・アルバイトスタッフのことです。大創産業様では敬意をこめてそう呼称しているため、文中でも当該表記としています。


「スタッフさんは宝」の社風が、一人ひとりの活躍を引き出す

所属する店舗運営企画部の業務内容を教えて下さい。

大創産業では「3アローズ」という価値観を大事にしています。商品力、物流力、店舗力、この3本の柱を"だんぜん"にして人々の生活をより豊かにしていこうという価値観です。店舗運営企画部では、マニュアル作成や研修実施、店舗が困っいる点のヒアリングと解決など、主に「店舗力」につながる活動をしています


お話を伺った、店舗運営企画部 店舗運営企画課 主任 三好綾香氏


スタッフさんが、一般的にイメージされる業務内容を超えて活躍していることが「店舗力」を支えていると伺っています。どのような点を大事にしていますか

スタッフさんの中には責任あるポジションを担当してくれている方もいます。このように活躍してくれるスタッフさんがいるのは、「スタッフさんは宝」「現場の声が一番大事」の考え方が、経営層やマネージャー層はもちろんのこと、全社に深く浸透しているからだと思います。例えば、先日私の部門でスタッフさん向けの研修を企画した時も、まず行ったのは「アンケート」です。スタッフさん一人ひとりの声を知るためです。

店舗運営の面でも、スタッフさんが意見を発信できる社風を大事にしています。例えば、商品についてバイヤーに直接意見を伝えられる仕組みを導入しています。お客様からご指摘があった点や自分が使ってみて感じた改善点、もっとこうしたら品出ししやすいなど、毎月さまざまな声が本社・本部に届いています。他にも、適正があるスタッフさんには採用面接や教育担当をお任せしたりと、責任がある仕事でもどんどん任せる社風があります。

「自分のアイデアを発信できる」「自分の力を試せる」、その風通しの良さが、スタッフさんがもともと持っていた力を最大限に引き出すのだと思います。

 
ダイソーの店舗力はスタッフさんの現場感とアイデアで高められている


「スタッフさんを中心に考えた制度設計」が、改善を成功させる

「店舗力」について、本部で取り組んでいることを教えて下さい。

現場の最前線はスタッフさんにお任せしていますが、店舗ごとのばらつきをなくす仕組みづくりは本部主導で進めています。①旗艦店づくり、②売り場守備力強化が主な取り組みです。

【①旗艦店づくり】
各エリアに旗艦店を置くことで、エリアの意識を高める取り組みです。スタッフさんが文字情報ではなく、実際に自分の目でお手本となる店舗を確認できるメリットはとても大きいです。
【②売り場守備力強化】
ダイソー全店のQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)を一定水準以上にするための取り組みです。取り組みの1つは「ランク評価」です。ブロック長(複数店舗を統括するマネージャー)が、臨店時にお客様に快適にお買い物いただける売り場状態や接客になっているか評価をしています。そうすることで各店のスタッフさんが自店のレベルを認識し、最上位のランクを目標に改善を進めてくれています。もう1つが、MS&Consultingさんにお願いしている、一般消費者による覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」です。お客様目線の良い売り場を維持するために欠かせないものとなっています。


これだけの店舗数でのQSC改善。どのような工夫をされていますか?
ミステリーショッピングリサーチの結果は店長だけが理解していても改善につながりません、スタッフさんの参加が大事です。ですから、MS&Consultingさんの「レポート閲覧」や「コメントのやりとり」ができる、専用サイト「MSナビ」を使って、下記の流れで活用することを推奨しています。

  ①店長が自店舗の「良かった点」「改善点」を書き込む
  ②①に対してスタッフさんが「自分自身・店舗で取り組みたいこと」を書き込む
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大創産業(ダイソー)パートアルバイトスタッフ活躍の土台づくり(店舗運営のポイント)


「MSナビ」を導入してスタッフさんが簡単にレポート閲覧をできるようになってからは、スタッフさんのQSCに対する意識が特に変わりました。調査員の方が改善点だけでなく、お褒めの言葉もしっかり書いて下さるなど、受け止めやすいレポートになっていることが大きいと思います。

また、覆面調査だと「アイコンタクトができていなかったので、もう少し寄り添った対応をしてもらえると嬉しかったです」など、どう改善すれば良いのかがわかる詳細なコメントがいただける点も効果が大きいです。「レジの接客、前回注意されたのでアイコンタクトを意識しています」などの会話が出てくるなど、現場の行動につながっています。 

今後に向けて考えていることを教えて下さい。
具体的な策をさらに進めて、どのダイソーに行っても一定のクオリティや温かみのあるサービスを提供できるように、また、スタッフさんが「接客って楽しい」と感じられるようにしていきたいと考えています。

取材日:2022年7月28日
取材:株式会社MS&Consulting 小売チーム コンサルタント 徳野朱音
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです

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