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「お客様から一番支持されているサロン」を選ぶ、 日本ビューティ・コーディネーター協会全国大会

日本ビューティ・コーディネーター協会全国大会


『季刊MS&コンサルティング 2013年冬号』掲載
取材:西山 博貢・文:高島 知子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

NPO法人日本ビューティ・コーディネーター協会(以下JBCA)は、美容業界のさらなる発展を目指し、業界唯一のビジネス資格である「ビューティ・コーディネーター資格」を広めていくことを目的のひとつとして発足。技術力がベースとなる美容師とは異なる、サロンをマネジメントできる人材の育成を主眼に、検定の運営や各種セミナー、イベントなどを実施している。2012年12月3日、同会が発足当時から構想していた「日本ビューティ・コーディネーター協会全国大会」が行われた。予選として54店舗でミステリーショッピングリサーチ(以下MSR)を実施し、上位7つのサロンが本選にエントリー。当日のプレゼンテーションを経て、グランプリと準グランプリ、審査員特別賞を選出した。

今日を新たな挑戦の日とし、さらなる発展を望む

JBCA理事長 小林 治氏

美容業界は2001年を境に売上が減少し、一方で美容室の軒数自体は増え、各サロンは変革を迫られています。加えて少子高齢化により大人世代のお客様が中 心になり、一層の対応力が求められる今こそ、ビューティ・コーディネーターがしっかりとお客様のライフスタイルを知り、新たな提案をすることには大きな価 値があります。今日が美容業界のさらなる挑戦の日になり、来年以降も継続して成功事例を発信していけることを切に願っています。

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JBCA理事長 小林 治氏


審査概要と結果報告

MS&Consulting コンサルタント 児玉彩子

本大会にエントリーしたJBCA加盟の54店舗では、2012年9月16日から10月6日の間、各店舗2調査ずつミステリーショッピングリサーチ(以下 MSR)を実施。総合的な印象や再来店の希望から、各スタッフの印象や評価、そしてビューティ・コーディネーター(以下BC)の接遇に関してなど101問 のアンケートを行った。その結果、54店舗の平均は172.7点、今回発表を行った上位7店舗の平均は191.2点となった(図1)。また、「BCに関す る計15問(店舗評価には影響しない)の合計得点率が80%以上」だった店舗を「優秀BCのいた店舗」とすると、その店舗の平均点は180.5点となっ た。ちなみに美容室調査の全国平均は167.9点、トップ20%では175.8点である。なお、客単価は160点台の店舗で10,363円、190点台で は12,100円と開きがあった(図2)。

審査概要説明と結果報告をするMS&Consulting コンサルタント 児玉彩子



覆面調査結果からわかった感動サロンのつくり方

MS&Consulting 常務執行役員 渋谷 行秀

当社では年間約2,200社、45,000店のMSR調査を実施しています。特に、成熟したサービス業では他店 との差別化が強く求められています。もちろん商品力や技術力、店舗の空間などの観点もありますが、最も真似されにくいのが“人間力”でしょう。顧客満足を 提供できる人を育てるために、MSRが導入されている状況です。

顧客満足とは、「期待」と「現実」のバランスで決まります。これが同等なら満足、現実が期待を超えれば喜び、さらに上回ると感動につながります。一方、下回ると不満、さらに被害者意識を生むこともあります。

MS&Consulting 常務執行役員 渋谷 行秀


他店に差別化するためには、不満以下を満足にすることと、感動レベルを増やすことの2つの策があります。現場で は「不満を生まないように」と考えがちですが、サービス業は満足して当たり前なので、それだけでは業績は伸びません。「顧客の期待を超えて一緒に喜びた い」という気持ちが、感動レベルのサービスにつながります。まさにBCの価値が発揮される部分です。

常に高い割合で感動レベルのサービスを提供している店舗には、ミーティングの仕方やMSRの活かし方に特徴があります(図3、4)。また、ESも顧客へのホスピタリティーに大きく影響しますので、スタッフ間の風通しもよい店を目指していただけたらと思います。


カウンセリングと店販の両面でサロンを牽引

BEST BEAUTY COORDINATOR AWARDグランプリ
Happiness西大寺店 BC稲留 美佳氏

「すべての人を幸せに」、そんな思いでトータルビューティの提供に取り組むHappiness西大寺店。「BC はマネジメントを経験することで、将来店長やオーナーになれるチャンスがある、そんなところにも魅力を感じました。お客様とスタイリストとをつなぐ架け橋 になることを目的に働いています」と、BCの稲留美佳氏。

そのために2つのことに取り組んだ。ひとつは顧客の悩みを引き出し、適したスタイリストへとつなげるカウンセリングによる再来率アップ。もうひとつは店販を通じた悩みの解決。BCが仕入れから在庫管理までを担う仕組みを作り上げた。

だが、カウンセリングを丁寧にするあまり時間がかかり、スタイリストとの連携がスムーズにいかなかったり、お薦 めする商品にずれが生じたりもしたという。そこで各スタイリストの技術や得意分野を分析するデザイナー分析を行い、スタイリスト紹介の精度を高め、また商 品紹介のトークも皆で強化。その結果、新規再来率が3カ月再来27.8%から42.8%にまで向上、店販売上も5倍に伸張した。

「BCとして最も嬉しいのはお客様が喜ぶこと」と稲留氏。「今までで一番良かった、ありがとう」という言葉は宝物だ。今後も顧客に寄り添えるBCを目指していく。

Happiness西大寺店 BC稲留 美佳氏


次回予約を徹底し、サロンの複数の課題を解消

BEST BEAUTY COORDINATOR AWARD準グランプリ
ALEXANDRE OF COLORS金沢店 BC 大灘 沙織氏

ALEXANDRE OF COLORS金沢店では「センス、サービス、ストーリーの“3つのS”がコンセプト」と、BCの大灘沙織氏と紺谷真希氏。スタイリストと 同じ数のBCがいるのが同店の特徴だ。“自分たちのお給料は自分たちで”を合言葉に生産性にこだわる彼女たちは、2012年11月の店販を前年同月比2倍 以上の155万円に押し上げた。

ALEXANDRE OF COLORS金沢店 BC 大灘沙織氏

ALEXANDRE OF COLORS金沢店 BC 紺谷真希氏


3つのSの提供には、スタイリストとBCが対等なパートナーとして結びつくことが大事だという。そのために、ほ ぼすべての顧客に担当BCがついている。「BCが導入された1年前は、スタイリストと信頼関係ができていなかったことから気持ちがばらばらになっていまし た。そんな中、一人のBCがミーティングで『次回予約を徹底すれば今ある問題が解決する』と提案し、それに向けて動き出しました」と紺谷氏。

スタイリストとBCから次回のメニューを提案し、次回予約が増え始めると、再来率や指名売上、単価や顧客満足など数多くの側面に成果が現れ、何より「次に 来るのが楽しみ」と顧客の笑顔が増えた。「信頼されるコミュニケーションを心がけた結果、『あなたのおかげで美容の楽しさを思い出した』と言っていただい たのは忘れられない出来事です」と大灘氏。BCは人生のパートナーだという信念を持って、さらに邁進していく。


精度の高いマッチングを実現し、BCの価値を高める

BEST BEAUTY COORDINATOR AWARD審査員特別賞
grace by afloat BC 辻本敬子氏

大阪梅田茶屋町に2012年3月にオープンしたgrace by afloatでは、それぞれの職種において「チャレンジ3」を掲げている。BCでは、顧客に適したスタイリストを紹介して再来率を上げること、顧客の心理 をつかみニーズを知ってよりよい解決を図ること、そしてインターネット上など店外でコミュニケーションを取り集客につなげること、の3つだ。

「BCはすべてのお客様に感動していただけるように率先して引っ張る役割。そこで、感動について改めて考えまし た」と、BCの辻本敬子氏。「かゆいところに手が届くような接客や、期待を超える仕上がりなど、挙げるのは簡単ですが実現は容易ではありません。BC同士 の知識のばらつきもあり、お客様の外見イメージでスタイリストを選んでしまうことも。そこでまず、ファーストカウンセリングの目的を明確にしました」。

それは、安心感と信頼性のあるコミュニケーションを通して、顧客のタイプを見極めること。同時にスタイリストの 得意分野を把握するファッションマトリクス分析を行い、技術面のマッチングだけでなく紹介の仕方にまで気を配った。すると新規再来率が4カ月再来43%か ら64%にまで向上。辻本氏は「自分たちBCの道は自分たちで作る」と、今後への熱い思いを語った。

grace by afloat BC 辻本敬子氏


サロン全体で“お客様の喜び”に取り組む

RT HAIR CREATION quarita BC北村 早江理氏

BCの北村早江理氏(写真右)、松原忍氏(写真左)は「お客様がきれいになり、美容スタッフが活躍できる環境づくりにこだわっている」と話す。顧客とスタ イリストとのマッチングを重視し、また売上のグラフ作成などで店内の士気を高めたところ、顧客の来店頻度が上がり、商品購入やちょっとした質問のためにな ど気軽な来店も増えた。「大人世代のお客様が多いので、美しい立ち居振る舞いや対応力が必要。私たちがいるサロンだから提供できることを考え続けていきた い」。

RT HAIR CREATION quarita BC北村 早江理氏(右)、松原忍氏(左)


いくつになっても輝く人生をサポートしたい

SARA Beauty Sight大名店 BC河野 恵美氏

「BCとは、お客様の美を磨き、ライフスタイルを充実させるためのサポート役」とBCの河野恵美氏。BCを導入以降、2カ月再来が新規顧客では46%から 69%へ、既存顧客では68%が82%へと向上した。「髪が細くなってスタイルが決まらない」という顧客には「最も髪の毛に詳しいスタイリストを紹介しま す」と引き合わせ、必要に応じてスパニストなどへつなぐことで、その悩みを多面的に捉えて解決していく。「知識と対応力で日本中の人をきれいにしたい」と 意気込む。

SARA Beauty Sight大名店 BC河野 恵美氏


顧客に寄り添い心づくしの対応を

Hair Design Cu:re’ BC尾西 朋子氏

「ゲストの生涯のビューティパートナーとして、心のケアもできるサロンにしたい」と、BCの尾西朋子氏。電話予約時から顧客の状況を把握し、カルテなどで スタッフと共有したり、毛髪診断やホームケアのレシピなどBCから積極的なアプローチをしたりすることで、例えばスパ利用率が40%になるなど業績にも反 映している。挫折もあったというが、顧客から尾西氏への「あなたに対応してほしくて来ている、自信を持って」との手紙にBCの価値が現れている。

Hair Design Cu:re’ BC尾西 朋子氏


業績に貢献する広い視野と細やかな気配り

Ar and e.m.a BC丹羽 恵氏 BC井戸 咲氏

広い店販エリアを有する同店では、BCの取り組みとしてトータルビューティ提案と店舗全体のビジネスマネジメントに注力。ホームケアの提案を充実させたと ころ、月平均400万円の店販売上が2012年7、8月は1490万円に。「お客様に感動していただくために、特にBCはセッティングに力を入れ、例えば ロッカー内に名前入りのカードを用意する、アロマで香り付けしたおしぼりを渡すなど細やかなサービスを心がけています」と、BCの井戸咲氏(写真右)。顧 客目線を大切にしたい、と語った。

Ar and e.m.a BC丹羽 恵氏 BC井戸 咲氏(写真右)


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