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現場スタッフから必要とされる教育機能の提供を目指して

三菱商事都市開発株式会社

東京都渋谷区渋谷2-12-24 東建長井ビル7階

会社ウェブサイト:http://www.mcud.co.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2009年冬号』掲載
取材:西山博貢、文:鬼熊春子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

埼玉県熊谷市の「ニットーモール」など、地域に根ざしたショッピングセンターの開発・運営を手掛ける三菱商事都市開発株式会社。 テナントのスタッフ教育において、ディベロッパーの担う役割が大きくなる中で、「エルミこうのすショッピングモール(埼玉県鴻巣市)」の開発から運営まで、一貫して携わられた同社運営本部の服部由美氏にお話を伺った。

ショッピングセンター業界で接客を重視されるようになった背景を教えてください。

ショッピングセンター業界では、立地や施設設備に加え、商品と接客が売上を決める重要な要素であると言われており、多くのディベロッパーは、商品と接客のどちらを重視するかという大きなトレンドを行き来していました。しかし、お客様に支持されるショッピングセンターは、常に接客を重視しているということがわかってきて、最近は接客教育に力を入れるディベロッパーが多くなってきました。

接客は、施設のコンセプトや扱う商品によっても性質が異なってきます。たとえば、渋谷の109のような施設はフレンドリーな接客を常に継続しており、大きな成果を上げています。

私たちが運営する「エルミこうのすショッピングモール」では、日常品からハイセンス商品まで幅広く揃えながら、お客様と積極的にコミュニケーションを取っていくことにより、地域と一体となりつつライフスタイルを提案できるような施設を目指しています。

運営本部 服部由美氏


スタッフの教育というと、本来はその店舗を運営している会社がやるべきことですが、ショッピングセンターでは、ディベロッパーが積極的にテナントのスタッフ教育に関わっていくという流れが生まれていますね。

そうですね、この10年くらいで、各社ともテナントのスタッフ教育に力を入れるようになってきています。自社物件だけを対象としたロールプレイングコンテストを開催するようなディベロッパーも出てきています。

その背景には、こうした教育機能の有無が、テナントがディベロッパーを選ぶ上での基準の一つとなってきているということがあります。最近では居住用のマンションでも、駅が近い、スーパーマーケットが近いといった従来の条件では売れなくなってきていて、たとえば託児所があるなど、何かしらその物件らしいプラスアルファが求められるようになっていますが、それと同じことがディベロッパーの業界にも当てはまります。

また、同じ商業施設に入るテナント同士で作る「テナント会」というのが、この数年で少なくなってきているという影響もあるかと思います。業種も規模もビジョンもまったく異なるテナント同士が一緒になって何かをするというのは難しい面も多々あり、そうした意味からも、ディベロッパーに求められる役割が大きくなっているのでしょう。


テナントに、まさに今起こっているリアルな問題に対応する力を身に付けていただく

ディベロッパー各社がテナントのスタッフ教育に力を入れていらっしゃるとのことですが、御社のスタッフ教育の特徴はどのような部分ですか?

現場の目線を大切にし、まさに今起こっているリアルな問題に対応できる力を身に付けて頂くということを重視している点です。

私自身も、もともとは販売の現場におり、その後はその経験を生かしてコンサルタントをしていました。そうした経歴が評価されて、入社することになったのですが、これも、現場の目線を大切にする組織風土の表れではないかと思います。

正しい接客マナーももちろん大切ですが、クレーム一つで会社が潰れるという時代ですから、ありきたりな教育だけではどうにもなりません。テナントとできる限り同じ目線で、現場に即した「必要とされる」教育を提供するというのが、弊社の考えです。


MSレポートからお客様の気持ちを感じることが「気付きのトレーニング」になる

リサーチや教育研修を行う会社は数多くありますが、弊社のミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)とHERB研修(※)を選んで頂いた理由とは?

※HERB研修:4つの頭文字を取った改善プログラム。Hospitality:おもてなしの心、して差し上げたいと思う気持ちの醸成、EIS:従業員感動満足、スタッフのマインド向上、Realization:気づきの教育、お客様の気持ちを考える、Benchmarking:成功事例の共有、成功事例から改善ポイントを整理。研修プログラムには、店長向けとPA向けがある。先ほど申し上げた通り、エルミこうのすショッピングモールでは現場目線を重視しておりますので、「現場のスタッフが受け入れやすいかどうか」というのが最大の選定基準です。

その観点で言うと、調査員が一般消費者である、つまり「お客様の中の一人」というのが、御社を選ぶ上での最大のポイントとなりました。現場のスタッフには、偉い専門家の言葉よりも、「お客様の声」のほうがずっと響きますから。もちろん、その他にもいろいろな選定理由がありますが、すべては「現場スタッフに受け入れられるか」、「共感を得られるか」という点から判断して決定しました。

導入後、実際にMSレポートを読んだスタッフに感想を聞いてみましたが、自分のことを指摘されていたスタッフでも、「もっとこういうふうにしてもらえると嬉しいです」といった前向きな表現で書かれているせいか、とても肯定的に捉えていたので安心しました。

また、コメントの整え方が丁寧なことも大きな理由のひとつです。私自身コンサルタントとして覆面調査を行ったことがあるので分かりますが、コメントを整えることは非常に手間の掛かる、大変な作業です。指
摘をして改善点を見つけるのが調査の目的のひとつと言えますが、一方で、そういう指摘はなかなか受け入れにくいと
いうのも確かです。最初にMSレポートを見たときには、正直に言うと評価が甘いのではないかと感じました。しかしそれは、他社や自社で行う調査に比べて内容がとても丁寧なので、指摘をされても嫌な気がしなかったからでしょう。

そのような土台がありますから、MSRは、常にお客様に見られているという意識のもと、良い意味でスタッフに緊張感を持って頂くことにつながりますし、数値やコメントに表れたお客様の気持ちを感じることで、気付きのトレーニングになっていると思います。

第3回を迎えた研修風景。アパレル、飲食、ドラッグストア等、異業種の店長さんが一堂に介し、活気ある意見交換がされた。またこのような研修と同様に、他の商業施設との差異化を図る販売促進、営業力を高める従業員研修、モチベーションアップのための懇親行事など、販売に結びつく研修が行われている


お客様の気持ちをくすぐるための会話

スタッフ教育についてのお考えを教えてください

今の時代のスタッフに共通して感じることが2つあります。まず、お勧めやクロージングをしないことです。お客様とコミュニケーションを図り購買に結びつけるためには、お客様が「もうちょっと言ってくれたら買ったのに」と思う気持ちを読み取り、その気持ちをくすぐるための会話が必要になります。しかし、それをあまり積極的に行わないため、お客様からは感情が込められていないように思われてしまうようです。自分では一生懸命に接客をしているつもりでも、お客様の視点では意外と伝わっていないことを知ることが必要なのです。

また、やる気があっても、勉強する機会に巡り会えないスタッフが大勢います。理由としては、テナント会社自体で研修や教育活動を行わなくなり、ディベロッパーに任せる傾向が強くなってきたこと、バイトから社員・店長になったために、勉強する機会が与えられなかったことが大きな要因として挙げられます。こうした背景が、MSRやHERB研修のような積極的な教育の機会を設けている理由として挙げられます。


教育に関する取り組みスケジュール

実施時期
名称
対象

詳細


毎年1月
店長年始会
全スタッフ

一堂に集結し、一年の抱負を固める
毎月1回
店長会
全店長
定例会議
毎月1回
フロア会
各階約20~30名
定例会議・各フロアー毎に問題解決
毎月2回
新人従業員研修
約20~60名
心構えや社呈を含むメンタル面の研修
年2回
トレンドコミュ
限定40名
流行色やトレンド情報の研修会

毎月

HERB研修
全スタッフ
MSR活用によるCS・ES向上研修



最後に、今後に向けての課題、抱負などをお聞かせ下さい。

それぞれ異なるバックグラウンドを持った会社で育ってきた、スキルもモチベーションもバラバラのスタッフを育てることは、大変難しいことなのですが、難しさよりも楽しさが勝っていますね。

今は、スタッフが一つの職場に長く関わるほうが少ない時代です。今いるスタッフ達も今後どんどん新しい職場へと巣立っていくでしょうが、そのときに「エルミの子」として何かお土産を持たせてあげたい、後になって「あそこで学んだことが役に立った」と価値を感じてもらえるようになりたいと思っています。


■担当コンサルタントが語る この企業はここが凄い
株式会社MS&Consulting 大塚信也

ディベロッパーとテナントという関係を越え、「エルミ」という名の下に一体となっているところが凄いと思います。服部さんとエルミ構内を歩いていると、店舗の方から警備員の方に至るまで、すべてのスタッフさんに声を掛け、また掛けられ、心を開いた自然なコミュニケーションが成立していることに驚かされます。すべての問題や課題を「自分事」として捉え、常にテナントの立場になって物事を考えていることが、従業員研修などの教育活動を通じて伝わっている証拠だと思います。相手から真に求められる価値を提供されているその姿勢に、私も感銘を受けました。これからも、ご支援を通じて色々と勉強させて頂きたいと思います。


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