環境が激変する今だからこそ、 お客様一人ひとりの声に耳を傾けることを大切に

株式会社ケイポートドラッグマート

東京都品川区西五反田7-18-2 京測ビル5階

会社ウェブサイト:http://www.kport.jp/


『季刊MS&コンサルティング 2009年冬号』掲載
取材:江端慎二、文:西山博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

薬事法改正によって医薬品の取り扱いに関する規制が緩和され、コンビニエンスストアを初めとした異業種からの参入が相次ぐと予想されるドラッグストア業界。激変する環境の中で、「地域密着」という経営方針を掲げ生き残りを図るケイポートドラッグマートの人材共育推進部部長兼美容事業グループ統括マネージャー、松本理恵氏にお話を伺った。

御社では2008年4月からミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)をご導入いただいていますが、どのような成果が生まれていますか?

弊社では昨年から4つのプロジェクトチームを組んで、お客様満足を高めるための取り組みを進めておりますが、MSRの導入は「それらの取り組みが本当にお客様に喜ばれるものだったのだろうか」、「自己満足になってはいなかっただろうか」ということを見直す、良いきっかけになったと考えています。

と言いますのも、プロジェクトチームでは「お客様に喜んでいただくために、どういう取り組みが必要か」というアイデアを出し合って、そのアイデアに沿って取り組みを進めていたのですが、MSRの調査結果を見てみると、「このお店にまた来たい」と思った理由として挙げていただいたものと、スタッフが発案した取り組みの間にはギャップがありました。

これを受け、外部の先生のお力を借り、スタッフには「マスサービス」と「パーソナルサービス」という言葉を用いて話をしました。「マスサービス」というのは、できていて当たり前で、できていなければクレームになるようなサービスのことを指しますが、MSRでお客様が評価して下さっていたのは「店に入ったらすぐに気づいて挨拶をしてくれた」「笑顔で対応してくれた」といったような、とても簡単で、シンプルなことだったのです。お客様満足のためにというと、どうしても高度な知識や専門性を活かした取り組みを考えがちですが、MSRの調査結果を見て、スタッフもマスサービスを徹底することの重要性を、改めて痛切に感じたのではないかと思います。

それとMSR導入のもう一つの成果だと感じているのは、現場のスタッフの間に主体性が芽生えてきてきたことです。お恥ずかしい話ですが、現場のスタッフはどうしても目先の仕事に追われて日々忙しく働いているので、仮にお客様から何らかのクレームをいただいたとしても、もちろんそのクレームには誠心誠意対応しますが、では根本的に何が問題なのか、どうしたら再発を防げるのかというところまで考えたり、話し合ったりということが、これまではほとんどありませんでした。

実は、そういう店舗の状態に対して本部は強い危機意識を抱いていましたが、本部の声だけでは現場はなかなか動けず、意識が変わるというところまでは行かなかったのです。それが、MSRによってお客様の声を直接聞けるようになったことで、現場のスタッフの意識は確実に変わり始めましたし、また、検討材料が明確になったことで話し合いもしやすくなり、店舗での朝礼やミーティングが確実に行われるようになりました。

人材共育推進部部長兼美容事業グループ統括マネージャー、松本理恵氏人材共育推進部部長兼美容事業グループ統括マネージャー、松本理恵氏


量の面での勝負ではなく、質の部分での勝負

薬事法の改正によりドラッグストア(DS)業界も激変の時代を迎えていますが、そうした環境下での生き残りについて、御社はどのようにお考えですか?

今回の改正によってコンビニエンスストアなども直接的な競合となってくるわけですが、都内で何千店舗もある、そして24時間営業のコンビニエンスストアに対して、店舗数を増やす、あるいは営業時間を延長するという方向で弊社が対抗していくのは現実的に不可能です。私たちにできるのは、こうした量の面での勝負ではなく、質の部分での勝負です。といっても、取り立てて新しいこと、斬新な取り組みをするつもりはありません。弊社はこれまでも、「地域密着」という経営方針を掲げてさまざまな取り組みをしてまいりましたので、この取り組みを全店舗の現場レベルにまで徹底して落とし込んでいくこと、お客様お一人お一人の声に耳を傾けながら、まずは当たり前の小さなことを確実にやっていくこと、それがこれからのDS業界で生き残っていくための道であるというふうに考えています。


プロジェクトのテーマは「接客」「品格」「MD」「知識」

「地域密着型ドラッグストア」を目指した取り組み紹介

都内城南地区を中心に14店舗を展開するケイポートドラッグマートでは、「地域密着型ドラッグストア」を目指し、2007年9月21日を皮切りに「CS改善プロジェクト」としてさまざまな取り組みを行っている。

その中心となっているのが、2007年10月からスタートした「チーム活動」である。同社には大きく分けて調剤・薬・化粧品の3つのグループが存在するが、チーム活動はこれら3グループ全てからメンバーを選出した、社員を対象とした全社横断的なプロジェクトである。プロジェクトのテーマは「接客」「品格」「MD:マーチャンダイジング(Merchandising)の略。店舗レイアウトや販促計画、ウェブサイトの作成等を行う」「知識」の4つ。それぞれでチームを作り、本部または各店舗で集まり、CS向上について定期的にミーティングを開催している。このプロジェクトの中からいくつもの取り組みが生まれている。

たとえば、2008年3月までの接客チームのテーマは、理想像を明確にするため、接客だけに焦点を絞り、事例を含めた100ページ近いマニュアルを作成することであった。その内容は、マナー5原則、電話対応、クレーム対応、接客力向上、CS・ES・ホスピタリティー、接客チェックシート、営業ルールに分かれ詳細に記されており、現場スタッフが執筆・編集を手掛けている。

さらに、2008年4月からは、現場の主役であるアルバイトのスキルアップを重視し、理想的な接客を実現するための新しい研修体系を整備した。テーマは初級・中級・上級の3段階に分かれており、店舗で行う少人数制の研修としている。研修は現場の最も適切なタイミングで行うため、多い時では週4回に及ぶこともある。

同月から導入したMSRは、お客様目線を確認するツールとして使用している。導入をきっかけに店舗内ミーティングでお客様目線からの意見を促し、アルバイトを含めた改善案発表の場を持つようにした。その中から、お客様と接する最初の10秒間の印象を良くするための意見を出し合う「10秒トーク」という取り組みも生まれ、朝礼の内容として定着した店舗もある。

2008年9月からは、これまで本部が作成していた店舗別予算を、店舗のスタッフと共同して作成するようにし、目標数値に対する主体性の向上を図っている。

また、これと同時に、全社員を対象とした人事評価制度を策定した。これまで、CSの成果は評価項目に含まれていなかったが、MSRの結果やアンケートの評価などを人事評価に組み込む形で運用を開始している。

美容コーナー:同社では、美容コーナーでもカウンセリングを実施している。特にアンチエイジングに定評があり、高度な知識を備えた専門スタッフが随時相談に応じることで、差別化を図る。


その他、店舗の設備面についても、同社では以前からユニークな取り組みを行っていたが、それらについてもCSの観点からさまざまな見直しを行っている。たとえば、2003年から設置されているエステルームでは、壁の一部をガラス張りに改装した。施術を受けるお客様はこれまで通り隠しながらも、エステティシャンやエステルームの様子を外から見えるようにすることで、お客様が安心して気軽に利用できる雰囲気を作り出した。

エステルーム:既成のドラッグストアの概念に留まらないお客様志向が生んだエステルーム)

​​​​​​​

また2008年6月からは、足湯を設けたリラックスルームを設置(一部店舗)するなど、従来のドラッグストアの枠を超えた、地域の美容・医療の中心としての機能の充実を図っている。

リラックスルーム:リラックスルームでは、完全個室で癒し効果を手軽に体験できる


「地域密着型ドラッグストア」を目指した取り組み事例

[MSレポートの活用]

MSRの調査結果は本部で毎月集計し、得点ランキング、感動コメントともったいないコメント、社長からのメッセージを載せて社内報にまとめ、上位店舗を表彰している。


[ミーティングシート]

ミーティングの事前に落としこみの内容とタイムスケジュールを設計する。毎回宿題が発表され、自店のMSレポートの分析を初めとした活発な意見交換がなされる。


[情報共有の工夫]

ホワイトボードには、連絡事項やミーティングの予定と共に、スタッフの誕生日も記載する。シフトやミーティングの出欠表もひと目で分かるため、情報共有がスムーズ。


[健康相談コーナー]

病気の相談や予防に関するアドバイスなど、誰でも相談できるように専用のサービスカウンターを設け、「薬を買う」“場所”から「薬を“相談して”買う」“お店”を目指した。

​​​​​​​


■担当コンサルタントが語る この企業はここが凄い
株式会社MS&Consulting 江端慎二

「お一人お一人のお客様の声に耳を傾けながら、小さなことを確実にやっていく」。この言葉に、ケイポートドラッグマート様の強みが集約されていると思います。CS改善プロジェクト、お客様の声を基にした店舗ミーティング、優良店舗の表彰。一つひとつの取り組みを着実に進めていかれる実行力には目を見張るものがあります。激変するドラッグストア業界だからこそ、「地元のお客様に愛される、街の掛かりつけ薬局」を目指すケイポートドラッグマート様の取り組みの数々は、ご参考頂ける内容だと確信しております。


記事のPDFをダウンロード​​​​​​​

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます。

3期連続、再来店意向満点比率50%達成 理想の接客像実現までの道のり

2018-12-18

ポーラ・オルビスホールディングスのグループ企業として、通信販売と店舗販売をチャネルに中価格帯市場で化粧品等を販売するオルビス株式会社。全国114店舗(2018年10月時点)を通じて「あるべき接客像」を統一するため、2014年から全社共通のスローガン「お客さまに何度も行きたいと思っていただけるナンバー1のショップであり続けること」を掲げ、チームビルディングに取り組んでいる。実行力の高い組織の作り方について、同社 店舗営業CS担当の下川 達也様、教育担当トータルビューティークリエイターの島田 久美子様、なんばCity店長の岡本 宏子様にご講演いただいた。

MSR全店平均10点アップ。 秘訣は情報の共有によるコミュニケーション頻度の高まり

2018-05-14

株式会社メリーチョコレートカムパニー(洋菓子業界)のMSリサーチ導入事例導入事例について紹介します。MS&Consultingはミステリーショッパー(覆面調査)や従業員満足度調査などを通じ、企業の業績UPに貢献します!

良い環境・評価には良い人材が集まる! 世界一のベーカリー&パティスリーを目指す仕組みづくり

2018-02-05

株式会社オールハーツ・カンパニー(小売業界)のMSリサーチ導入事例について紹介します。MS&Consultingはミステリーショッパー(覆面調査)や従業員満足度調査などを通じ、企業の業績UPに貢献します!

業種・店舗数・導入サービスから選択して探す

無料メルマガ会員に登録すると、メールマガジンで
「最新記事」や「無料セミナー・イベント」
情報が届きます!