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JR九州ドラッグイレブン株式会社(ドラッグストア業態)

組織風土改革「HERBプロジェクト」
~全員で考え行動する創造性溢れる組織へ~

JR九州ドラッグイレブン株式会社(ドラッグストア業態)

JR九州ドラッグイレブン株式会社

福岡県大野城市川久保1-2-1

ウェブサイト:http://dgmp.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2009年春号』掲載
取材:谷口順、文:西山博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

ドラッグイレブン改革~第1期レポート~

v42-01ドラッグストア業界―。2007年度、市場規模は4兆9千億円を超え、毎年右肩上がりで成長を続け、2012年には10兆円産業にまで発展すると予測されている。また2009年は改正薬事法が完全施行されたことで、登録販売者制度発足など新たな動きがあり、新規参入企業が多く予想される「熱い」市場である。

しかしながら、拡大する市場規模の中ではチェーン同士の激しい生存競争が繰り広げられ、商圏内に競合店が何店舗も乱立する光景は、もはや当たり前になりつつある。

そのような中、創業平成元年、現在九州・沖縄エリアにドラッグストアや調剤薬局を173店舗展開するJR九州ドラッグイレブン株式会社は、平成19年5月にJR九州グループに入ったのを機に、同年8月、全社のサービス改善のためのプロジェクトチームを立ち上げ、ドラッグストア業界での生き残りとさらなる発展をかけて本格的な改革に取組み始めた。

目的は全社の組織風土改革

企画時、店舗へのアプローチはトップダウンで行うべきか? ボトムアップで行うべきか? が検討されたという。それまでのドラッグイレブンはトップダウン型の組織運営を行っていたため、現場では「やらされ感」が充満していた。「どちらの方が現場はやりがいを持って働くことができるか」を検討した結果、これまでとは真逆のボトムアップのアプローチを取るという一大方針転換がなされた。

HERB(※1)プロジェクト始動

※1「HERB」:以下の4つの頭文字を取った改善プログラム。Hospitality:おもてなしの心、して差し上げたいと思う気持ちの醸成、EIS:従業員感動満足、スタッフのマインド向上、Realization:気づきの教育、お客様の気持ちを考える、Benchmarking:成功事例の共有、成功事例から改善ポイントを整理。研修プログラムには、店長向けとPA向けがある。

プロジェクトの第1期目は2008年8月から2009年1月までの半年間。5S(※2)とカウンセリング力の強化を目的に全店での改善活動を展開。全店には定期的にミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)と本部員による5Sチェックを実施した。また、全店の1割にあたる16店舗を代表店舗として選出し毎月集合型の研修会を開催した。店舗では社員、パート・アルバイト(PA)、薬剤師等、全スタッフを巻き込んでミーティングを開催し、改善活動を促進していった。

※2「5S」:一般的には、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の日本語の頭文字を取った職場環境維持改善のためのスローガンを表すが、ドラッグイレブンでは「整理・整頓・清掃・清潔・接遇」を表す。

しかしながら、どの店舗も最初はうまくいかなかった。これまでのトップダウンの風土に慣れていた店長は「いきなりボトムアップ、店舗の自主性に任せると言われても、何をどうしたらいいのか」と困惑を隠せなかった。また店舗でミーティングを開きスタッフの意見を聞き出しても「皆意見を言ってくれない」「言っても愚痴、できない言い訳ばかりで前に進まない」「自分がいなければいいのかとその場を離れても、結局スタッフだけではまとめきれない」といきなり壁にぶち当たった。

みゆき通り店の黒岩店長は「最初から“感動的な店を作る!”“理想的なミーティングを開く!”と、漠然と目標を立てたのでうまくいかなかった。でも、まず自分達ができることから始めようと考え方を変えると、徐々にいい方向に進み始めた」と振り返る。

研修会では毎回取組み事例発表が行われ、他店舗の取組みを参考にしながら、各店舗では何度も試行錯誤を繰り返し、全スタッフを巻き込んだ活動を進めていった。

「まずは『お店をキレイにする』『カウンセリング力を強化する』というドラッグストアとして当たり前のことを徹底できるようになることが目標でした。店舗へのアプローチの仕方としては、MS&Consultingさんの提案を受けてボトムアップの改善活動を立ち上げ、定着を図りました」(店舗運営部部長 原野氏)。

活動の集大成 成果発表会

v42-022009年1月19日、研修に参加する全16店舗による成果発表会が開催された。3つのグループに分かれて堂々とした発表がなされた。発表内容は様々で、全員で決めた店舗スローガンやミーティング等の店内コミュニケーションの改善、ワークスケジュールの工夫や業務オペレーションの改善、楽しい売場作りや勉強会の開催、積極的な声掛けによる推奨品販売等の販売力の改善等、店舗独自の取組みが次々と発表された。

プロジェクト始動当初は戸惑いを隠せなかった各店長やスタッフ。この活動期間中、悩みながらも全スタッフで知恵を出し合い改善活動を行い成果につなげたという自信にあふれた表情が印象的であった。

そして、幹部やエリアマネージャーによる評価をもとに16店舗から代表4店舗が選出され、全店から推薦された1店舗を合わせた合計5店舗による全社成果発表会が、3月3日に開催された。

成果発表会を振り返って ~第2期・新たな改革へ~

表彰式で「これまで何度も壁にぶち当たってきた。その度にスタッフに励まされ頑張ってこれた」と涙ながらにメンバーへの感謝の気持ちを表現された田副店長。今回の第1回成果発表会の全社への影響は、販売部にとどまらず、調剤部、商品部、管理本部等、他部署までも含めた大きな波になっていくだろう。

九州・沖縄で173店舗を展開するドラッグイレブン。「今回の成果発表会の発表店舗のように、全社・全店の従業員がやりがいを持って働き、店舗を利用する地域のお客様に感動的なサービスを実現できたならば、私たちは社会にとって大変価値のある会社になることができる」と取締役常務執行役員の山根氏は語る。真に地域の役に立つチェーンを目指し、ドラッグイレブンの改革は既に2期目がスタートしている。