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常連顧客への用途提案による 来店頻度・人数アップへの取り組み



株式会社フレスカ

http://www.fresca-co.jp/
代表取締役 石井武夫 ​​​​​​​
岡山県岡山市南区泉田1-3-10


『季刊MS&コンサルティング 2017年冬号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。
※掲載記事内の図表等は、すべて発表資料を基にMS&Consultingが加工しております。

第4回店長塾全国大会 レポート

◆取り組み
アルバイトスタッフが常連顧客への宴会提案にチャレンジ

◆成果
来店頻度・人数増
1カ月目:3組34名獲得
2カ月目:2組64名獲得

店長塾で得た気づき

店長塾に参加する以前、私は自店舗の状態に特に大きな問題を感じてはおらず、「現状の運営を維持していれば、結果にもつながるだろう」と思っていました。ビジョンがないわけではなかったのですが、それも今考えればスローガンに近いもので、具体的なアクションにつながるものではありませんでした。しかし、店長塾を通じて「ビジョンの在り方を変えれば、店舗運営も変わるのではないか」という気づきを得て、さっそく自店での取り組みを考えました。

店長自身による取り組み

私がまず思いついたのは「常連のお客さまの来店頻度を増やせないか?」というアイデアでした。そこで、Kさんという当店の常連様をモデルケースにして考えることにしました。Kさんは、毎月1回、ご家族連れで来店される男性の常連様です。このKさんが月に2回来てくださるようにするには、どうすれば良いかを考えたのです。

考えた結果、私がどうしたかと申しますと、「自分一人であれこれ考えていても仕方がない」ということで、Kさんに直接「もしよろしければ月に2回来てもらえませんか?」と単刀直入に聞いてみました。すると、「予算的に難しい」ということでした。しかし、私はそこで諦めず、「会社の飲み会に使っていただけませんか?」というご提案をしました。すると、「いいけど、場所が会社から遠いからなぁ。それから、価格の端数が出ると集金が面倒くさいんだよね。あと、(飲食時間が)1時間半だとちょっとね」ということでしたので、「端数の分をポッキリ価格にして、それを交通費代わりにしてもらったらどうでしょう? 時間も2時間までOKにします」とお話したところ、「それなら同僚に話してみるよ」というお返事をいただくことができました。そして、実際に翌月には、Kさんが会社の方と15名の団体様でご来店いただくことができました。

「用途提案」の仕組み化

次に私が考えたのは、これを自分だけの話に終わらせず、店の仕組みとすることでした。つまり、自分以外のスタッフでも同じことをできるようにしようと考えました。とは言っても、全てのスタッフに同じことをしてもらうのも難しいでしょうから、まずは大学生アルバイトのYさんに、常連のお客さまへの声かけをやってみるように話をしました。私の話を聞いたYさんは、いかにも自信がないといった様子でしたが、それでも頑張って声かけをしてくれました。しかし、お客さまからは「突然どうしたの?」という感じで断られてしまいました。そのことでYさんは落ち込んだ様子でしたし、私も安易に頼んでしまったことを反省しました。

そこで今度は、しっかりとミーティングの時間を取り、まず安易にお願いしてしまったことを謝罪した上で、「なぜ今、この取り組みをしようと思っているのか」というところから丁寧に説明をして、取り組みの必要性を理解してもらいました。また、声をかける際のトークを作り込んで、ロープレを繰り返しました。私の本気度合いが伝わったのか、Yさんも一生懸命「なぜ、うまくいかないのか?」「どうすればうまくいくのか?」を考えてくれるようになり、再度のチャレンジではお客さまの反応が変わってきました。そしてお客さまの反応が変わると、Yさんも自信が出てきて、さらに積極的にお客さまに声をかけられるようになってきました。この取り組みの結果、初月は3組34名様、2月目には2組64名様に、ご来店いただくことができました。

まとめ(株式会社MS&Consultingコンサルタント加地 義太郎)

飲食店が他の店舗サービス業と異なるのは、「入店したお客さまが買ってくれる(食べてくれる)のは当たり前」であるということです。
これがアパレル店であれば、入店イコール購入ではないので、「スタッフさんによる提案」という機能が必要となります。そして、提案内容によって購入していただけたり、いただけなかったりということが起こります。しかし飲食店では、入店したけれども何も食べずに帰るということは、ほぼありません。そのため「お客さまに提案する」という意識が薄くなりやすい業態であると言えます。今回ご発表いただいたぐりぐり家さんのようなバイキング形式の店舗であれば、なおさらでしょう。

しかし、飲食店におけるCS活動の行き着く先は「再来店していただけるかどうか」ということであり、今回ご発表いただいた美山店長は、まさにその部分に果敢にチャレンジされたということが素晴らしい点だと思います。提案というステップを入れることで、それがお客さまに受け入れられたり、受け入れられなかったりと、何らかの結果が生まれます。受け入れられれば嬉しいですし、それが仕事のやりがいにもなります。断られれば当然悔しいですし、悔しいからこそ「どうすれば良いか」を考えるきっかけとなります。

これからの飲食店には、こうした「嬉しさ」や「悔しさ」を感じられるようなチャレンジングなビジョンというのが、必要なのではないでしょうか。美山店長の事例はそうした意味でも、多くの店長様の参考にしていただける事例ではないかと思います。

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