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おもてなし規格認証「紺認証」を取得、スカイマーク株式会社のCS推進活動

スカイマーク株式会社
https://www.skymark.co.jp/ja/company

2020年度「JCSI調査(日本版顧客満足度指数調査)」において第1位を獲得、翌2021年にはサービス産業の活性化・生産性向上を目的に経済産業省により創設された「おもてなし規格認証」において紺認証を取得と、全社を巻き込んだCS推進活動を見事に結果につなげたスカイマーク株式会社。同社 CS推進室 室長 戸田氏、副室長 井上氏に「CS推進の取り組み内容」や「おもてなし規格認証取得の目的」について伺った。
※スカイマーク株式会社は、2020年度JCSI調査の国内長距離交通業種において「顧客満足・知覚価値・ロイヤルティ」の3指標で第1位を獲得。


―「おもてなし規格認証」の取得を目指したのは何故ですか?

戸田氏:2015年に一度経営破綻をした当社が、再起を図るためにまず取り組んだことの1つが「定時運航率の向上」です。結果、2017年には国内線定時運航率(出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合、国土交通省発表)で第1位となり、その後も4年連続で1位を維持できるまでになりました。では、そこから一歩先に進もう、顧客満足度を高め、安さで勝負するLCC(格安航空会社)との差別化を図ろうとなった時に、見えてきたのは「サービス品質のばらつき改善」や「ホスピタリティの強化」の必要性です。

そんな時に出会ったのがおもてなし規格認証です。おもてなし規格認証には体系だったプログラムがあり、審査に挑戦することで組織全体の課題を整理するきっかけになると感じました。また、全部門で目指せる共通の目標を示すことで全体のCS意識が高まることにもつながると考え認証取得に挑戦することにしました。


スカイマーク CS推進室 室長・副室長 取材プロフィール写真
お話しを伺った、スカイマーク株式会社 CS推進室、室長 戸田健太郎氏、副室長 井上弥緑氏



―「おもてなし規格認証・紺認証取得」「2020年度JCSI調査・顧客満足第1位」と圧倒的なCSを実現されています。CS推進の中心的な活動を教えて下さい。

井上氏:「お客様の声」を現場改善につなげる流れを作りました。まず、次の3つの方法で「お客様の声」を集めています。

□搭乗後アンケート
搭乗券にQRコードを掲載。空港や機内での満足度について回答が可能。
□DUMVO(ダンボ)
現場スタッフがお客様からじかに伺った内容(お褒め・お叱り・意見要望)を登録するシステム。
□お客様サポート室
電話やメールでお客様サポート室に届いた声もダンボに登録。


収集した「お客様の声」はCS推進室で分析、満足度スコアの集計やコメントの分類、課題の重要度づけなどを行っています。

《お客様の声の分析事例》

顧客満足度調査_分析事例(スカイマークCS推進室)


そして、この分析結果を基軸に、CS推進に関する3つの会議で方針や改善案を策定しています。

❶ CS推進会議
全役員が参加。全社戦略としてのCS方針を策定。お客様の声の分析結果も報告。
➋ CSマネージメント会議
司令塔部門で「課題解決策」を決定、フロントライン実行部門で「進捗状況」を共有。
➌ CS部門横断会議
➋の会議では解決できない部門横断的な課題の解決策を策定。


《CS推進  会議体》

CS推進会議体の全体像(スカイマークCS推進室取材記事)

※頂いた資料をもとに弊社編集


このように「お客様の声」を基軸にした月次サイクルのCS活動を推進、現場改善につなげています。


―CS推進室のはたしている役割を教えて下さい。

井上氏:「CS推進に関わる会議体の運営」「問題解決の進捗管理」「全社視点のCS施策立案」といった仕事と、その基盤となる「お客様の声の収集・分析」が主な仕事です。特に、分析業務はCS推進室の大事な仕事になっています。

まず日次の分析業務があります。1日に集まるお客様の声は300~500件になりますが、満足度のスコア計算だけでなく、お客様が書いて下さったフリーコメントもすべて読み込んで、スコア別・課題別・部門別に分類、翌日には配信しています。このレポートは、全役員・全部門長・全国支店長が集まる毎朝10時からの「全体朝会」で直接の報告もしています。「全体朝会」には各空港支店のスタッフもWEB参加してくれているので、各支店に届いた昨日のアンケートコメントを即日で届けることができています。

次に月次の分析ですが、主に2つの視点で分析しています。

1つ目は「CS課題の見える化」のための分析です。顧客満足度が低くなるのはどんな時なのか?その答えをデータから導き出しています。

例えば、「機内清掃の満足度が低い」という結論だとまだ取り組むべき課題がぼんやりしています。お客様が記入して下さったフリーコメントも読み込み、「窓」「テーブル」「座席ポケット」の清掃に対する評価が低いというところまで導き出せれば解決の糸口が見えます。

以前は大量の搭乗後アンケート結果をそのまま現場に送っていました。「これがお客様の声です、どこを改善するかは現場で選んで下さい」というスタンスです。結果、現場がやりやすいところから改善に着手してしまったりと、必ずしも成果につながりませんでした。CS推進室が「CS課題の見える化」を担うようになってからCS推進が上手くいくようになったと感じています。



《CS課題の見える化》
顧客満足度調査のデータ分析で「CS優先課題」を明確にする(スカイマークCS推進室 取材記事)


2つ目は「効果検証」のための分析です。フロントラインのスタッフが取り組んでくれた改善施策が効果的だったのか、データで示すこともCS推進室の大事な役割です。折にふれて「達成感」を感じられることが、現場の自信につながり、CS改善の推進力になるからです。

[写真]CS推進現場での活動(スカイマークCS推進室)

お客様の声の分析は「CS課題の見える化」とともに、
「フロントラインで頑張るスタッフの達成感」のためにも行う



―CS推進の土台にある「搭乗後アンケート」、回収率を高めるために、どのような工夫をされましたか?

井上氏:搭乗後アンケートを始めた当初は0.69%と惨憺たる回収率でした。正直、まったく分析になりませんでした。回収率を高めるために、プレゼントの当選人数を変えてみたり、当選発表の頻度を毎月から毎週に変えてみたりと試行錯誤を重ねてきました。その後、フライト中に機内アナウンスでアンケートについてご案内するようにしたことなども功を奏して、2020年度は安定して3.3%以上の回収率を維持できています。ちなみに機内アナウンスはお客様が起きていらっしゃる確率が高い時間帯を狙って2回実施しています。体感としては、搭乗後アンケート回収率は3%以上ないと分析の信憑性が低くなると感じています。


《搭乗後アンケート ホームページ告知〉

搭乗後アンケート説明告知(スカイマークCS推進室)

様々な工夫を重ねアンケート回収率3.3%以上を維持、
データ分析が可能になった(頂いた資料をもとに弊社編集)


また、回収率を高める活動をする中で、「コメント記入率」も重視しなければならないことに気が付きました。これは、アンケートにご回答頂いた方全員に消毒ジェルをプレゼントする企画を実施した時の気づきです。プレゼントの当選を抽選から全員に変えたことでプレゼント目当ての回答が増えてしまい、回収率は5.98%と大きく伸びましたが、コメント欄の記入率が通常なら50%以上だったものが10%に低下してしまったんです。フリーコメントの記入率が下がると、満足度が低かった時になぜそうなったのか分析ができません。この企画の後から「フリーコメント記入率50%以上」の目標を追加しました。


―CS推進室の活動内容は始めから今の形でしたか?

井上氏:以前のCS推進室は色々な部署から集まる意見の調整役でした。今から振り返ると、自主性がなく周囲から言われたことをやっていただけ。「何でやらなければいけないんですか?」と協力を得られないこともありました。

そこから、お客様の声をそのまま現場に渡すのではなく、分析し、CSの優先課題を決めて、「これをやりましょう」と私達が主導権を握って強く推進するようになったのが、CS推進室の設立から約1年半が経った昨年2020年のことです。データの分析結果という客観的な事実を軸にCS活動を推進する形ができてから、徐々にCS推進室としての自信がついてきたと思います。紆余曲折を経てここまできました。




―おもてなし規格認証制度の審査には、弊社の顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」が利用されています。どうご覧になりましたか?

戸田氏:覆面調査だと、ここまで見てもらえるのかとコメント量に驚きました。管理職レベルでも気づいていない指摘がありました。

例えば、機内の化粧室。洗面台に水が溜まっていて嫌だったというコメントがありました。この原因を突き止めると、離陸前の排水チェックの際に飛行機の下にいる地上スタッフに水がかかるのでは?という配慮から洗面台の排水をしない慣習があることがわかりました。でも、地上スタッフに水がかかるようなことはありません。すぐにこの慣習を廃止しました。

同様に1項目1項目くまなく見直して、「実際これがあったら嫌だよね」という点を確認し、対応や修正をしていきました。


―今回「おもてなし規格認証」の取得を試みて、どのような価値がありましたか?

井上氏:審査のプロセスでホスピタリティコーディネーターの資格取得をしましたが、「サービス」と「ホスピタリティ」の違いなど、体系だった知識を複数人のスタッフが習得できたことは大きかったです。CS推進をする上での知識の基盤ができました。

戸田氏:「おもてなし規格認証・紺認証」を取得しているということを我々は掲げることができるようになりました。自分達の仕事にプライドを持てると思います。次はこの維持です。さらに進化していきたいと思います。

※取材日:2021年9月30日
※取材:株式会社MS&Consulting 常務執行役員 渋谷行秀
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです。



経済産業省が創設した「おもてなし規格認証制度」の審査には、
弊社の顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」が利用されています。

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