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株式会社ハピネス(ヘアサロン業態)

成果発表会を節目に 年間を通して自主性を育てる

株式会社ハピネス(ヘアサロン業態)

株式会社ハピネス

奈良県奈良市二条町2-58-1 中井ビル1F

会社ウェブサイト:http://www.hairmake-happiness.com/

『季刊MS&コンサルティング 2011年春号』掲載
高野 俊一、文:高島 知子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
奈良・京都エリアに7店舗を構える美容室ハピネスは、創業10年足らずながら、業界では成長著しい注目企業として知られている。同社は昨年、事業の拡大を続ける中でスタッフの一層の活性化を図るべく、ミステリーショッピングリサーチ(以下MSR)を導入。全スタッフを対象としたHERBプログラムを経て、今年1月に1年間の活動の集大成として成果発表会を実施した。

事業拡大の背景にある充実したスタッフ教育

成果発表会を終え、「どの店舗にも今後の可能性を強く感じた」と谷口誠治代表。

成果発表会を終え、「どの店舗にも今後の可能性を強く感じた」と谷口誠治代表。

外食業界を中心に活用例が増加してきたMSRだが、現在、外食に次いでMSRを積極的に導入し始めているのが、美容業界とドラッグストア業界だ。かつてのように、価格に見合った技術や商品を得るだけでは、もはや顧客満足は得られなくなっていることが伺える。

特に美容業界では、カリスマ美容師ブームが収束した2004年頃以降、市場規模は横ばいを続ける厳しい状況を迎えている。だが、技術職だからこそ、ある程度のキャリアを積んだ美容師の独立開業による出店は減らず、結果的に市場は拡大しないまま出店・閉店が激しいというのが現状だ。

そこで各企業は競争力を高めるため、自社の強みを見極めて、営業スタイルを差異化する傾向が見られている。大別すると、ファッション性やブランド力で集客する高価格帯のサロン、短時間・安価でカットを提供するサロン、そしてヘアメイクだけでなくネイルやエステなどトータルで美容サービスを提供するサロンの3タイプが新たな主流となってきている。

奈良・京都に7店舗を構えるハピネスグループ。創業時よりトータルビューティーを提案し、ヘアメイクに加えてネイルやアイ、ウィッグなどの美容サービスにも力を入れてきた。

奈良・京都に7店舗を構えるハピネスグループ。創業時よりトータルビューティーを提案し、ヘアメイクに加えてネイルやアイ、ウィッグなどの美容サービスにも力を入れてきた。

奈良・京都で現在業績を伸ばしている美容室・ハピネスは、3番目のトータルビューティーをサポートするサロンだ。2002年に創業し、業界内の競争が厳しい中で着実に業績を伸ばしてきた。旗艦店と位置づけている西大寺店は、店販専用のコーナーを設けるなど、施術以外の提案にも力を入れている。

同社の躍進の背景には、その充実した教育制度がある。スタッフ一人ひとりが腕を磨き、どのような形でプロとして生きていけるように、という谷口誠治代表の考えに基づき、カラーリングや接客などの専門性を向上させる店舗横断的なチーム制度や各種社内コンテストなど、さまざまな取り組みが行われている。

HERB研修を通して現場の自主性を引き出す

ハピネスでは、特定の店舗を若手スタッフのOJTを兼ねた店舗と位置付け、ベテランスタッフの指導の下、他店に比べて安価で施術を提供している。個人の技術力の伸長に重きが置かれた同店では、HERBプログラムを通してチームワークが生まれたことが大きな成果だったという。

ハピネスでは、特定の店舗を若手スタッフのOJTを兼ねた店舗と位置付け、ベテランスタッフの指導の下、他店に比べて安価で施術を提供している。個人の技術力の伸長に重きが置かれた同店では、HERBプログラムを通してチームワークが生まれたことが大きな成果だったという。

当然、標準的なサロンよりスタッフのモチベーションは高い。ハピネスでは、すでにES、CS、そして業績の向上という好スパイラルがある程度できていたといえる。では、なぜそうした状況下でMSRを導入したのか? その目的は、スタッフの主体性をより引き出すことにあった。

谷口氏を初めとする現在の経営陣は、事業拡大のためにはスタッフの教育が不可欠だとし、従来の美容業界では一般的な“現場で学ぶ”スタイルだけでは得られない革新的な教育プログラムの構築に注力してきた。だが近年、力強く牽引する経営陣や店長らがいるからこそ、現場に受身の姿勢が目立つようになってきた。

経営陣から店長レベルには可能な限り判断を任せ、各店で最適な店舗運営を実現していた。しかし現場では、やる気のある店長ほどスタッフに頼られ、現場の自発的な行動を抑えがちであることが課題となっていたのだ。

日頃は顧客対応が中心になるが、スタッフ同士が向き合い仕事を見つめ直すことで気付くことは多い。経営陣にとっては、課題であった現場の自主性が育ち始めていることを実感した場にもなった。

日頃は顧客対応が中心になるが、スタッフ同士が向き合い仕事を見つめ直すことで気付くことは多い。経営陣にとっては、課題であった現場の自主性が育ち始めていることを実感した場にもなった。

そこで、HERBプログラムを通して、現場のスタッフ一人ひとりが改善活動に主体的に参加できるようになることを狙った。絶えずPDCAサイクルを回すことで、継続的な事業拡大と、個人のさらなる成長を目指したわけだ。

長い美容業界経験から、谷口氏は次のように話す。「腕の良い美容師ほど、プライドがあり人の意見を受け入れにくい場合も多いのですが、これからはそうした姿勢は通用しません。MSRは、第三者の意見を通してお客様のニーズを理解するのに役立つと思いましたし、HERBは『人の良いところを学んで成長する』『自分で考えて行動する』といった部分を習慣化するにはプロの指導でないと難しいと思い、導入したのです」。

店長から現場スタッフに“任せる”ために

成果発表会には全スタッフが参加。社員教育を重視する同社では、時間予約制を徹底することにより、全員がそろって研修やイベントに参加できる時間を確保するなどの工夫を行っている。

成果発表会には全スタッフが参加。社員教育を重視する同社では、時間予約制を徹底することにより、全員がそろって研修やイベントに参加できる時間を確保するなどの工夫を行っている。

HERBプログラムの導入にあたり、2ステップのテーマが構築された。一つ目は、改善活動の定着。二つ目は、それを意図的に業績につなげていくことだ。

これまでは、主に店長からの課題や指針はあったものの、それを常日頃意識したり、どの程度できているかを振り返ったりすることが仕組み化されていなかった。そこで、毎月のHERB研修での事例発表を節目とし、そこで挙がった課題を日々の現場でどう改善していくかを考え、実際の行動に落とし込んでいった。

同社でのHERB研修は、基本的に午前中に店長クラスを対象としたリーダー研修を、午後に若手も含めた全スタッフの研修を実施。リーダー研修は、スタッフに対する日頃の指導方法に悩みを抱える店長たちにとって、もともとの谷口氏の考え方である「任せる」ことを理解し納得する場となった。個々の自主性を育てるには、店長がリーダーシップを執るよりも、むしろサポート役に徹するべき。谷口氏の各店長に対する姿勢を、今度は店長からスタッフに対する姿勢に応用できるようになった店から、日々の現場でのミーティングが活気付き、積極的に改善案が挙がるようになっていった。

また、現場のスタッフも、日々の改善活動とはどういうものなのかをHERB研修を通して理解したことで、主体的に動けるように。以前から向上心の高いスタッフだけに、新サービスの導入やお客様への薦め方などについて「プラン」「ドゥ」はできていたが、今までは「チェック」機能が欠けていた。それに気付き、自分たちでチェックができるように管理表を貼り出すなど、様々な工夫が実現されていった。

「HERBを導入して一番手応えがあったのは、全体的に責任感を持って仕事に向き合うスタッフが増えたことです。特に、アシスタントの変化はとても大きかったですね。以前より前向きになり、経営幹部が何も言わなくても団結力を持って業務や研修に取り組めるようになりました」。

1年間の集大成、成果発表会で結束高まる

優勝したCLOVER学園前店の発表の様子。同店では、現場に“任せる”ことの重要性に気付いた店長が、早い段階で副店長に一連の改善活動の旗振り役を一任したことから、活動にエンジンがかかった。

優勝したCLOVER学園前店の発表の様子。同店では、現場に“任せる”ことの重要性に気付いた店長が、早い段階で副店長に一連の改善活動の旗振り役を一任したことから、活動にエンジンがかかった。

約1年に及ぶHERB研修の集大成となるのが、成果発表会だ。店ごとにスタッフ全員が壇上に上がり、自分たちの店の変化についてのプレゼンテーションに参加した。

たとえば西大寺店では、旗艦店として他店の見本になることをコンセプトに活動を紹介。新しい美容サービスの導入時にも、まずは自分たちで試し、実体験を元に顧客に薦めることで技術や店販の売上を向上させた経緯がスタッフから語られた。また、一人MSRの点数が芳しくなかったスタッフが、自主的に周囲にアドバイスを求め、飛躍的に向上した事例も挙げられた。

優勝したのは、HERB研修導入後にいち早く現場のミーティングが活気付き、チームの一体感を高めることで顧客満足と業績につなげた、CLOVER学園前店。昨年12月には、かつてない高い目標が設定されたが、最後までスタッフが一丸となって取り組んだことで、技術目標1200万円というハードルをクリアした。HERB研修で培った、諦めずにPDCAサイクルを回せば結果が出るということが、スタッフに自信をもたらしていたのだ。

v89-10他の店舗も含め、自分たちの成長が目に見えるこの成果発表会は、仲間への感謝を再認識する場にもなったようだ。

発表会の様子を見て、谷口氏は「スタッフの可能性を感じ、感動した」と話す。「細かいところまで配慮していることが分かり、そういうスタッフがいる当社は必ず伸びるはずだと実感しました。美容師は普段、研修や発表の場に慣れているわけではないので、最後まで皆がやり遂げられるかどうか少し心配もあったのですが、幹部の期待と現場のやりたいことが合致したのだと、大きな手応えを感じました」。今後のテーマとして掲げている店長の自立についても、個人個人が成長したことで促しやすくなったと谷口氏。

企業の成長、そして個人の成長にゴールはない。ハピネスでは、今後も各店で改善活動の担当者を決め、さらなる顧客満足の実現に注力していくという。スタッフの自主性が発揮されつつある今、これまで以上の業績の飛躍も大いに期待できるだろう。

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