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【8月:焼肉業態】新型コロナウイルス対策調査の傾向分析レポート

緊急事態宣言が全国で解除されて以降、経済と感染症対策の両立を模索してきた中で感染症対策の効果も出て新規陽性者数が減少傾向になってきた8月。そんな8月に弊社が実施した焼肉業態の店舗へのミステリーショッピングリサーチ(覆面調査)の結果を分析すると”今の消費者”が期待している新型コロナウイルス対策の水準が分かってきました。消費者にとって、どのような対策が「できていて当たり前」で、どのような対策が「より一層安心できる」のでしょうか。

対象期間  … 2020年8月1日~8月30日

対象調査数 … 957調査

1.2割強の店舗でお客様は「感染症の不安」を感じてしまっている

調査には、まず「感染症の心配なく、店舗を安心して利用できると感じましたか。」という設問があり、4つの選択肢(非常に安心だった、問題なし、やや安心感に欠けた、非常に不安を感じた)から1つを選んでもらいます。

8月1日から30日の間で行われた957調査において「やや安心感に欠けた」と答えた人が全体の18.6%、「非常に不安を感じた」と答えた人が全体の2.4%で、合わせて計2割強(21.0%)の人が焼肉業態の飲食店で不安感があった、という結果になりました。

調査対象店舗が異なるため単純比較はできませんが、7月の調査時(22.5%、n=1087)と比べて少し不安率は下がっています。


図1 8月の焼肉業態調査における感染症対策の安心感 回答分布


2.感染症対策の安心感が再来店意思に与える影響は、引き続き大きい 

2割強の人が焼肉業態の飲食店で不安感があったと答える一方、「非常に安心だった」と答えた方も3割強(32.5%)そして「問題無し」と答えた人が5割弱(46.5%)もいて、店舗による差が大きいことが分かります。そして、データをより詳しく見ると、この「感染症対策の安心感」は「このお店にまた来たいと思ったか」という再来店意思とも連動していることが分かりました。

図2 感染症対策の安心感別の「必ずまた来たい」獲得率

*不安・・・非常に不安を感じた or やや安心感に欠けた

  • 非常に安心と感じる店舗では、52.1%もの人が「必ずまた来たい」と回答しており、これは問題なしと感じる店舗よりも「必ずまた来たい」と答える人の割合が30.4pt高かった。

図3 感染症対策の安心感別の「たぶん(絶対)来ない」選択率

*不安・・・非常に不安を感じた or やや安心感に欠けた


  • 不安に感じる店舗では、33.0%の人が「たぶん(絶対)来ない」と回答しており、これは問題なしと感じる店舗よりも「たぶん(絶対)来ない」と答える人の割合が16.5pt高かった。


つまり

店舗利用時にお客様が感じる感染症対策への安心感の程度は、離反要因にもリピート要因にもなりえる。

ということが分かります。


3.お客様への積極的な働きかけは、できていない率が高い傾向

では、具体的な感染症対策の中で「できていない店舗が多いもの」は、一体どうなっているのでしょうか。それをまとめたものが下記の図4になります。

図4 感染症対策設問における「できていない」割合

一口に感染症対策設問と言っても、店舗での実施状況には大きなばらつきがありました。特にスタッフからの「感染症対策の説明」や「料理提供時の感染症対策(小分けにして提供する、など)」「退店時に消毒利用の案内、スタッフがドアを開ける」「他のお客様と間隔を保つ案内表示やスタッフからの誘導」については60%以上の店舗で「できていない」という結果となりました。


4.スタッフや店舗から「積極的に伝えること」と「他のお客様と間隔を保つ案内」が安心感をつくる

それでは感染症対策に対して「非常に安心」という高評価を受けている店舗では、一体どのような項目が特に徹底されているのでしょうか。逆に不安を感じさせてしまっている店舗では、どのような項目が特におろそかになってしまっているのでしょうか。

それらを表1と表2にまとめました。

表1 「非常に安心」と「問題なし」の実施率GAP上位5項目

表2 「不安」と「問題なし」の実施率GAP上位5項目


この結果を見ると

  • 「他のお客様と間隔を保つ案内表示やスタッフからの誘導がある」「席案内時に備品の消毒がされていることが分かる」「入店または席案内時に消毒利用の案内がある」といった項目は「できているとより安心を感じられる」効果のある行動だと考えられる。(表1)
  • 一方「十分換気ができている」「他のお客様が退店後に備品やテーブルを消毒している」といった項目は「できていることが期待水準」となっており、これらの項目ができていないと「安心感が欠ける、不安」という気持ちになってしまう。(表2)
  • 「他のお客様と接触を避けられる工夫がある」「スタッフから店舗の感染症対策に関する説明がある」は”不安の解除”と”安心感の醸成”の両方に効果がある。

つまり、9月も引き続き

まず感染症対策を徹底し、不安を取り除いた上で、

スタッフや店舗から積極的に伝え、安心してもらうことが重要

だということが分かります。


5.まとめ

8月も7月に引き続き、感染症対策の実施度には店舗によってかなりばらつきがあることが分かりました。また、その実施度はお客様の「安心感」につながり「また来たい」「もう来たくない」という再来店意向へつながっていることも分かります。しかし、お客様の不安を払しょくするには、コロナ対策を徹底するだけではなく、それらの対策が「お客様に伝わっているのか」を確認していくことが重要です。


チーフデータサイエンティスト 錦織浩志
チーフデータサイエンティスト 錦織浩志

東京大学大学院工学系研究科を修了後、2012年に株式会社MS&Consultingへ入社。産業技術総合研究所との共同研究にプロジェクト開始当初からプロジェクトリーダーとして参画。社内初のデータサイエンティストとして大量の顧客満足度や従業員満足度の調査データ分析を担当。