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【第1回外食クオリティサービス大賞レポート】
株式会社アレフ ペペサーレチーム

株式会社アレフ

株式会社アレフ

URLhttp://www.aleph-inc.co.jp/

本社所在地:北海道札幌市白石区菊水6条3-1-26
中心業態:びっくりドンキー

※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。

CIS(顧客感動満足)活動により「前年対売上113.4%アップを実現」「パートアルバイトの定着率が向上」。

オープンして数年内のことではない。1号店がオープンしてから7年が経過している業態である。「売上アップ」、「パートアルバイトの定着率の向上」多くの飲食店舗が悩む課題である。CIS(顧客感動満足)活動とは一体どういったものなのか。

アレフは、びっくりドンキーを中心に全国に直営店・加盟店合わせて、305店舗を展開し、年商371億を超える「大企業」である。「大企業」というのは単に規模を言っているのではない。「大きな企て」を持っている企業を「大企業」という。アレフは、この規模となっても創業時の理念をしっかりと各店舗が受け継ぎ、社会的価値のある取り組みに挑戦し続ける素晴らしい会社である。今に至るまでのアレフの歴史について振り返るとそれが理解できる。アレフの誕生は昭和43年12月15日。東北・岩手県の盛岡で当時25歳だった創業者の庄治昭夫氏は街中の雑居ビルの中に13坪の小さなお店「ハンバーガーとサラダの店 べる」をオープンさせた。創業当時、商業界の先輩から「食と書いて人を良くする。食産業というのは、良い人を生み出す生業」と教えられたという。

2007-43「小さな店」そして、商業界で学んだ詩を掲げた。

小さな店であることを
恥じることはないよ
その小さなあなたの店に
人の心の美しさを一杯に満たそうよ

店舗の数は増えても、どの店舗にも浸透している。

2007-44アレフでさらに「3つの使命」と「4つの理念」を掲げている。

チェーンストア理論に傾倒していた社長の庄司氏は、「100億の売上」を目指して盛岡市内を流れる中津川の河原の大きな石に黄色いペンキに「このペンキの色がはげるまでに100億を売る人間になる!!」と書いた。そうすることで、社会貢献につながるという強い信念を持って取り組んだ。そして「びっくりドンキー」というハンバーグ限定のファミリーレストランを全国に展開することになる。そんな中、今回発表いただいた「ペペサーレチーム」のペペサーレは1995年7月に1号店をオープンする。

イタリア語で「塩、こしょう」という意味で、個性的な、元気のよさを表現しており、低価格で気軽においしい自社開発のピザ・生パスタを召し上がっていただけるイタリアン・ファミリー・レストランである。「びっくりドンキー」に続く第2の業態として開発された。順調に9店舗まで出店をしたが、景気後退のあおりを受け売上が低迷した。メニュー改定などを試みるも改善効果なく、3店舗を閉店することになった。そういった環境の中で、2003年4月に第二の創業として再スタートした。その取り組み活動が今回発表いただいた「CIS(顧客感動満足)活動」である。このCIS活動は、まずペペサーレ石山通店で行われた。それから、2005年10月には、自社版CIS活動であるShip活動を札幌地区3店舗で展開し、2006年6月にはペペサーレ全店でShip活動を導入することになる。ペペサーレではCIS活動の名称をShip(シップ)と呼んでいる。これはパートさんの発案によるもので、Sはスマイル、Hはホスピタリティ、Iはインプレッシブ、Pはペペサーレである。「ペペサーレの全員がShip(船)に乗り組み、乗組員の感動満足を高め、お客様の感動という名の島を目指す。」そんな思いが込められている。

2007-45ペペサーレでは、「よい習慣を作れること」「よい習慣を作ることができる人を作ること」を実践するため「よい習慣作り宣言」というのがある。下図は、その一例である。様々な会議で必ず唱和されているという。

Ship活動を行う中で、これまでは店長に情報・課題が集中していた組織体制からより機敏に反応できるようにキッチンマネージャー、ホールマネージャーをつくることでネットワーク型組織を編成した。各店のそれぞれのリーダーがマトリクス上に重なるようにし、マネジメントチーム、キッチンチーム、ホールチームを作っている。全店のホールマネージャーが集まり、感動満足を求めて取り組むというような組織的な動きができている。そのこで大幅に改善スピードが上がった。しかも、ホール・キッチンマネージャーには、社員・パートナー関係なく編成されており、月に一度集まり改善改革が行われるという。

2007-46Ship活動を全店でなぜ取り組む必要があるのか。目的・目標をしっかりと確認し、継続するための中期経営計画を作成した。講師の育成、ノウハウ研修の実施を行いながら、活動は進み、2006年11月には成果発表会を実施した。今回はその成果発表会であった数ある施策の中から2つを紹介していただいた。

2007-471つ目は、ベテランのアルバイトから新人まで一体となり、ホスピタリティの心をお客様に表現できるようにすることを目的とした「気配りから心配りにしちゃOh!」チームの取り組みである。勉強会などにより、従業員間のホスピタリティマインドの重要性は理解していた。しかし、その結果としてミステリーショッピングリサーチのポイントにはなかなかつながらなかった。感動エピソードも一部の人間だけに限られ、お客様への思いを伝えきれずにいた。ベテランと同じようにお客様に接したいという思いからベテランの知識・経験を共有することからスタートした。みんながベテランと同じような接客ができるようにするために、ベテランの仕事ぶりを観察し、細かな動きを共有する。そして毎月勉強会を実施し、感動エピソードを共有した。そういった取り組みの結果、新人からも感動エピソードが生まれるようになった。「ホスピタリティを表現できるようになった。」「お客様との心と心の会話ができるようになった。」言葉ではわかっていても体現するのは簡単なことではない。さらに、今までの教育体系は、ベテランから新人へ直接落とし込みがされていたが、この活動から中堅が間に入ることにより、指導の仕方が自然に身につくようになったという。

2007-482つ目の福祉チームの活動では、身障者のお客様との交流を通し、従業員のホスピタリティ向上を図ることを目的として行われた。こういった活動テーマがでてくるのも、「人間の健康と安全を守り、育む事業の開拓」「人間の福祉を増大する事業の創設」「自然を大切にする事業の展開」というアレフの理念が浸透しているからだろう。

お店にはスロープがあり、客席は段差をつけずフラットにしている。。身障者用のトイレもある。設備は既に整っていたが、スタッフの知識が足りなかった。本当の意味で入りやすい店舗作りを目指すために、まずは情報収集をした。様々なところに相談の電話をしたところ、福祉協議会が協力をしていただけることになった。実際に目の不自由な方、足の不自由な方にお越しいただき、障害となるものを教えてもらった。また従業員の目隠し体験なども行った。

身障者に対して、特別扱いせず、健常者と変わらない接客が重要だと認識した。地域の方との交流を取ることもできるようになったことに価値があったという。改善の結果、これまで月間で3、4組だったお客様が11組になったという。

2つの取り組みは、共にお客様の満足度を高めるための活動であるが、お客様から多くの反応をいただくことで、従業員の満足度も上がる。まさに好循環の仕組みを実践している事例といえよう。

2007-49ペペサーレチームの素晴らしいところは、この取り組みを継続拡大するための計画が年度ごとの設定されていることである。長期的なビジョンを設定し、確実に取り組む環境があるからそこ確実に成果を積み上げていくのだと思われる。

発表の最後に「お客様に感動していただけるお店であるために、利他の精神をもち、ペペサーレで働いた学生がその後の人生においても地域社会に貢献できるような人材育成をしていきたい。また豊かな自然を残すためにエコロジカルな企業の実現に挑戦していきたい。」と締めくくった。

規模が大きくなったから、こういった考えができるというわけでは決してない。創業時からの理念がしっかりと浸透しているからこそこういった素晴らしい文化がアレフにはあるのだろう。こういった企業が増えることが、外食産業だけでなく、日本産業全体を変えるのだろうと確信する。