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 【第1回外食クオリティサービス大賞レポート】

株式会社くふ楽

株式会社くふ楽

URLhttp://www.kuuraku.co.jp/

本社所在地:千葉県千葉市美浜区中瀬2-6
店舗数:16店舗

中心業態:くふ楽、福みみ

※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。

2007-32株式会社くふ楽 千葉・東京を中心に串焼きがメインの居酒屋「くふ楽・福みみ」、生つくねを主力メニューとした「元屋」、豚料理と沖縄料理がメインの「豚の大地」の3業態を展開する。1999年に第一号店を本八幡にオープンし、代表の福原は誓った。「自分一人ではなく、共に働く社員、アルバイトのみんなが輝き、それぞれの人生に必ず活きる企業経営をしていく」この強い想いを持って第一号店をオープンしてからわずか8年、現在では16店舗を展開し、32名の社員と約200名のアルバイトが日々、全力で働いている。

2007-33ここでくふ楽の各種数値について触れたい。第八期の売上は10億9,154万円、店舗の営業利益率は20%を超える。さらに、坪売上は全業態平均で27万円を超え、創業から95ヶ月連続で全店黒字経営を継続している。飲食業に関わっている方であれば、数値の面からもくふ楽がいかに素晴らしい企業であるか理解できるであろう。また、ミステリーショッピングリサーチの点数も居酒屋業界で常にトップクラスを維持し、2006年度には全業態での平均点が170点を超え、2003年度の点数と比較すると14%伸びていることから、お店の改善活動が進められていることがわかる。

なぜくふ楽はわずか8年でこれほどまでに成長することができたのであろうか。その秘訣が今回の発表からわかる。ここからは、取り組み内容のレベルの高さと発表者の熱い想いで聴衆を惹きつけたくふ楽の発表について振返りたい。

「くふ楽成功の秘密、それは人財育成への投資である」発表の冒頭に発表者全員が声を揃えて想いを伝えた。どの企業でも人財育成に投資をしていない企業はないだろう。ただ、くふ楽ほど人財育成を重要視している企業はないかもしれない。そう思わせてしまうほど、今回の発表では人財育成への熱い想いが伝わってきたのである。ここからは、くふ楽の「人財育成」の具体的な方法について触れていきたい。

ミッションレベル
~理念・行動指針を浸透させるための取り組み~

経営理念

2007-34くふ楽では人財育成の鍵は理念の浸透だと考えている。

多くの社員・アルバイトがいる中で、いかにして理念を伝え、行動を変えるか、多くの企業で悩んでいることかと思う。もちろんくふ楽も例外ではなかった。店舗を拡大させるにつれて、理念の浸透、創業当時の想いが伝えきれなくなってしまった。

2007-35もちろんくふ楽も例外ではなかった。店舗を拡大させるにつれて、理念の浸透、創業当時の想いが伝えきれなくなってしまった。そこで、くふ楽メンバーが同じ想い・考えを持って行動できるように「MAP」というカードを全社員・アルバイトが携帯している。何を考え、どう行動するかは、このMAPを通じて判断するのである。

各種取り組み

インターン生によるプロジェクト~インターン生が会社の経営に関わる~

業態開発、業態改善においてくふ楽ではインターンシップを活用している。インターンを長期間のものと短期間のものに分け、インターン生を中心としたプロジェクトを発案する。社内からアルバイト・社員に関わらず立候補を募った上で、プロジェクトチームを結成し、現在までで15個のプロジェクトを行なってきた。

例)海外出店プロジェクト、メニュー開発プロジェクト、業態開発プロジェクト

ナレッジマネジメントシステム~各店の情報を共有する~

2007-36店舗が増えていくに連れて他店がどのような取り組みをしているかわからなくなることがあるが、それは大変もったいないことである。他店の成功事例を共有することで、自店にも取り入れられることは多くある。また、各店の情報を共有することで、良い意味でライバル意識が出ている。くふ楽では徹底した情報共有を行い、各店が切磋琢磨できる環境づくりをしている。

例)共有している情報
●誕生日を迎えた社員・アルバイト
●社長メッセージ(週に1度更新される)
●日次決算のランキング
●アルバイトによる一日の営業の振返り
●レシピ(毎月各店から40から50の新しいメニュー提案が上がり、年間を通して500件以上の新しいメニューができる)
●店内アンケート(くふ楽では成績表と呼ばれる)ランキング
●メール・仕組みを社内で共有するためのファイルボックス
●毎月1回発刊されている社内報では毎月の社員MVP、アルバイトMVP、メニューお勧めMVP等、くふ楽内部のニュースが掲載される

表彰制度~働いているスタッフの功績を称える~

17種類の表彰制度を用意し、年間で延べ600回の表彰の場を用意している。くふ楽のアルバイトメンバーが約200人なので、年間一人3回は表彰されることになる。

くふ楽ホスピタリティカレッジ ~アルバイトがホスピタリティを学ぶ~

アルバイトメンバーを対象としたホスピタリティ育成プログラムをレベル別に3段階に分けて開催する。これにより、全アルバイトメンバーがホスピタリティを学ぶことができる。

メンバーサミット ~アルバイトが中心となりお店を改善する~

2007-37毎月全店からアルバイトメンバー数十人が集まり、お店をより良くする方法を話し合う。クオリティ班、サービス班、クレンリネス班、セールスプロモーション班の4班を設けて、MSレポートからのお客様の声を活かすために、改善活動を実施する。

成績表(店内アンケート)~お客様の声を知る~

改善活動で注力をしているのが成績表(店内アンケート)である。お客様の声を知ることを目的とし、お客様一人ひとりに成績表を手渡ししている。一人ひとりに手渡しをすることにより、回収率は20%を超えている。

チャレンジシップアワーズ ~アルバイトにとって最高の晴れ舞台~

半年に一度、アルバイトメンバーによる経営改善活動の発表会を開催する。お客様に対する熱い想い、仲間に対する感謝、お店に対する愛を時には涙を流しながらメンバー一丸となって発表する最高の晴れ舞台。外部にも公開をしており、1,000人以上の見学者が外部から参加した。

朝礼~最高の状態でオープンを迎える~

2007-38

各種取り組み。赤字の部分が、今回発表された内容

毎日行なわれる朝礼の中では、Happy&Thanksという24時間以内に起こったハッピーな出来事を話す。スタッフ全員で幸せと感謝を共有して、最高の想いで毎日グランドオープンする。ここまでくふ楽の取り組みを紹介してきたが、どのように思われただろうか。驚くことにここに紹介された取り組みはほんの一部でしかないのである。発表時間の関係上、全てを紹介できなかったが、ここに記載されたこと以外にも様々な取り組みを行っている。

社員・スタッフが成長できる場を多く用意しているくふ楽。なぜ、これほどまでに人財育成に力を入れているのか。その理由がくふ楽代表の福原氏の発表からうかがえる。以下は福原氏の発表内容を確認していきたい。

「誰もが経営のブレーンである。アルバイト、社員、パートの方、誰もが私にとっては企業経営のブレーンだと思っている。そのために一人ひとりが輝く、活き活きと充実していける職場を作り上げることが私の使命だと考えている。」と、くふ楽の代表の福原氏は言う。

確かに、くふ楽の取り組み内容を聞いていると、アルバイトが輝ける場を用意し、頑張っているスタッフをしっかりと評価することの重要性を理解できる。アルバイトが自主的にお店を改善してくれる。飲食店においてこれほどありがたいことはないだろう。どの企業でもアルバイトによるお店の改善を期待していると思うが、そのためのステージを作っている企業は少ないのではないか。確かに、ステージを作るためにはお金・時間がかかる。しかし、くふ楽の発表を聞いて、それ以上の価値を出せることを実感した。

「アルバイトの方の年齢は18歳から25歳くらいまでの間である。その方にとっては、くふ楽での経験はこれからの人生にとって大きな役割を果たす。働くことを通じて仕事の在り方、人としての在り方、その心を感じてもらうことこそが人間としての成長、その人の幸せに繋がると考えている。」と福原氏は続ける。今回の発表からアルバイトがその人の人生を変えてしまうことがわかった。ここで、今回の発表に参加した3人のアルバイトの方のコメントを見て頂きたい。

2007-41『くふ楽に入るまでは人に感謝することを怠っていたかもしれない。ここで働くことによって、仲間の意識の高さ、人が人を想う気持ちを学んだ。私は働くまで親に感謝せず、好き勝手やっていた。しかし、くふ楽で働くことで親に感謝することを学んだ。親に感謝する気持ちがお客様に感謝する、仲間に感謝する、働かしてもらっていることに感謝するということに繋った』
『以前は自分に自信がなく、曖昧な気持ちで毎日を過ごしていた。しかし、くふ楽で働くことによって「お客様を元気にさせたい、笑顔にさせたい、人の心を動かせる人間になりたい。人に良い影響を与えられる人間になりたい。夢を叶えたい。」という強い想いを持つことができた』

2007-42『くふ楽という素晴らしい環境で、お客様に来店して良かった、また来たい、元気になって帰って頂きたいと思っている。お客様に喜んで頂くためにも共に働いているメンバーとは家族と同じような想いで、仕事だけの付き合いではなく、どんなことでも力になり、喜びを共に分かち合いたいと思う。くふ楽に入り3年、この舞台で多くの感動、仲間の大切さ、思いやりを常に感じて働いている』

人に感謝をすることを怠っていた人が人への感謝、さらに働くことまでに感謝することができる。自分に自信がなかった人がお客様に喜んでもらいたい、夢を叶えたいという想いを何百人の聴衆の前で発表する。また、共に働いているスタッフと家族のような関係を築き、多くの感動を味わっている。まさに仕事を通じて人として成長していることがわかる。

ここまで人財育成の話が中心だったが、お客様のことを想う気持ちも大きなものがある。その代表的な取り組みがお通し代の廃止である。「自分自身がお客様の立場として、必要としていないものにお金を払う現状がおかしいと思う。ただ、昔からの慣習でお金を払わされている。果たしてそれがお客様のためになるのでしょうか。」と福原氏は発表する。くふ楽ではお通し代を廃止することにより、1億円の売上をお客様に還元している(1年間の来客数が35万人で、お通し代を仮に300円と設定した場合)以前はくふ楽も周りのお店と同じようにお通し代をとっていたが、お客様のことを本気で考えて、2002年からお通し代を廃止したのである。

2007-39「くふ楽から居酒屋業界に革命を起こしたいと考えている」と福原氏は続ける。2005年のデータでビアレストラン・居酒屋業界のマーケットが1兆700億円あるといわれている。その内平均15%がお通し代に払われているとするならば、お通し代を廃止することで、業界全体で1,612億円のお金をお客様に返すことができる。お客様が払いたいと思っていないお通し代を取られるお店と、お通し代がかからずに、その分をお客様が好んで使えるお店。どちらがお客様に喜ばれるかは明確ではないだろうか。確かにお店のオペレーション・利益を考えるとお通し代を頂くほうが良いかもしれない。しかし、お客様の立場になり、本気でお客様のことを考えた福原氏はお通し代を廃止したのである。

「くふ楽では外食産業のマーケットが厳しい環境にある中、競い合う競争ではなくて、共に築きあう“共創”の世界を作り上げたいと考えている」と福原氏は続ける。実際にくふ楽では“共創”という考えを持ち、チャレンジシップアワーズ、店長会議を外部の企業様にも積極的に公開している。自社だけではなく外食業界に関わる全ての企業と共に創ることを望んでいる。

最後に「ますます、厳しい競争の中、出店ありき、売上ありきの企業経営ではなく“記録”よりも“記憶”に残る企業を作っていきたい。その想いが必ずお客様に通じて、働くスタッフを感動させ、お取引先様にも想いが伝わり、これからの日本の外食産業を変えていけると信じている。その想いをもとに社員の皆、アルバイトメンバーと最高で最強の株式会社くふ楽を作り上げたいと考えている。」と福原氏はまとめた。

既にくふ楽は働いているスタッフ、多くのお客様の“記憶“に残っていることは間違いない。しかし、この会社が現状に満足することはない。常に、今以上のことを求め、最高で最強の組織を作るために活動を続けていくだろう。

今回の発表はまさしく「記憶」に残る素晴らしい発表であった。「自分一人ではなく、共に働く社員、アルバイトのみんなが輝き、それぞれの人生に必ず活きる企業経営をしていく」創業時の福原氏の想いが実現されていることが、聴衆に伝わっていたと思う。最後になるが、日々の営業で忙しい中、多くの方の「記憶」に残る発表をしてくれたくふ楽の方々に感謝申し上げたい。

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