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未来を予測するために、今を正しく知る
不振店の立て直しのノウハウに迫る

飲食コンサルタント 吉原 弘氏

吉原 弘氏

1990年、すかいらーくに入社。その後、グローバルダイニング(Executive Director& Headquarters SalesSupport Management Officer)、日本マクドナルド(店舗開発本部本部長、Vice President)、ユニマットクリエイティブ(取締役副社長)、フレッシュネス(常務執行役員 開発本部長)など、数々の大手飲食チェーンで購買、店舗開発のマネジメントを手がけ、2015年に独立。現在は飲食業のコンサルティングを手がけるCORE LLC.の社長を務める。

取材:砺波敬之、湯瀬圭祐
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
数多くの飲食企業で不振店の立て直しを行ってこられた吉原氏。リピーターが少なく顧客基盤の脆弱な不振店ではいきなり売り上げを向上させることは難しいが、利益を出さなければ新しい取り組みもできず、最悪の場合は閉店に追い込まれる。そうした事態を避けるために、同氏は、原価の見直しを図ることで、食材の質を下げることなく利益を創出する「購買ターンアラウンド」を推奨している。
過去の立て直し事例として1年間で、利益マイナス1億2500万円から600万円に黒字転換させた、そのノウハウに迫った。

――吉原さんは主に「購買ターンアラウンド」をテーマとしたコンサルティングをされているということですが、「購買ターンアラウンド」とは何でしょうか?

お話をお伺いした、飲食コンサルタントの吉原 弘氏。

お話をお伺いした、飲食コンサルタントの吉原 弘氏。

言い換えれば、購買の改革ということになります。
わかりやすいところでは、仕入れの仕方を変えるということですね。例えば、ある会社では仕入れている醬油が20種類以上ありました。本当に20種類も必要なのか各事業部の担当者に確認を行い、3種類にまとめることで、スケールメリットを出すことができました。また、直接海外の産地から買い付ければ、卸業者に払っているマージンを省くこともできます。
このように、物流や保管方法、現場での管理など、仕入れから現場で調理されるまでの全体の流れをデザインしていくところまでを含めて、「購買ターンアラウンド」と呼んでいます。

――「不振店にこそ購買ターンアラウンドが必要」とのことですが、その理由は?

多くの不振店では、店舗内に“諦め感”が漂っています。最初の頃はいろいろと取り組まれていたのだろうと思いますが、成果が出ないと、新しいことにチャレンジしようとする意欲が失われてきて、“できない理由”を並べるのが上手になってきます。そうした意識や雰囲気を変えるためには、「まだ自店舗には可能性がある」と思わせることが大事です。
購買ターンアラウンドは、営業上の取り組みを変えることなく利益を改善することができるので、現場のメンバーに勇気を持たせることができるのです。

――今の飲食店に必要なことは、何だとお考えですか?

一つ目は、企業としてのグランドデザインを描くことです。社是や経営指標はあっても、それを実現するためにどの部門が・いつまでに・どうやってやるのか、それをどういうKPIに落とし込むのかというところまで描けている会社は、残念ながら少ないように思います。また、そのKPIに対してコミットする姿勢が大切です。経営者も誰が何に対してコミットするのか不明確なのだと評価が出来ません。

二つ目は、幹部陣はもちろん、店長もP/LとB/Sを理解できるようになることです。理解できるというのは、「何にどのくらい使っているので、原価や人件費がこうなっている」とか、「どうして今負債が多くなっているのか」といったことを、きちんと説明できるということです。
なぜP/LとB/Sの理解が必要かと言えば、現状を把握した上でなければ経営戦略が立てられないからです。たとえば、新しい取り組みをするための原資をどこから捻出するか。それを考えるためには、財務状況の理解が必要不可欠です。
びっくりするのは、自店舗が儲かっているのかいないのかすら知らない店長も、少なくないことです。

総じて言えば、数字に強くなるということですね。今何ができていて、何ができていないのか、その結果として次はどうするのか。それを考えるためには、やはり数字を読む必要があります。これは購買に限らず、全てのことに言えます。御社のHERB診断やミステリーショッピングリサーチも、ESやCSをスコア化することで、今自分たちがどういう状況に置かれているのか、これからどんなマネジメントをしていかなければならないかがわかりますよね。

――原資を捻出するというお話がありましたが、その際に一番スピードが速いのは購買ということですか。

スピードという点ではそうですね。人を介することは、どうしても時間がかかりますので。
もちろん、やらなくて良いという話ではありません。ただ、料理やサービスの品質を上げていくためには、トレーニングの必要がありますから、時間をかけてじっくりやらなければならないという話です。
また、料理やサービスの品質についても、それをどう評価するかの設計は不可欠です。売り上げなのか、リピーター客数なのか、ミステリーショッピングリサーチの点数なのか。定性的なことをいかに定量的に計測して、コントロールするか。そこが大切なポイントです。

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