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株式会社Kaya Group(飲食店経営)

平均月商40%アップ!
インバウンド客取り込み成功のポイントは、
海外のお客さまに愛されるお店づくりからのスタート

株式会社Kaya Group(飲食店経営)

株式会社Kaya Group

http://kayagroup.jp/

兵庫県神戸市中央区下山手通2-12-3 三宮置塩ビル501

 

取材:砺波敬之
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
神戸を中心に、阪神圏内で飲食店16店舗の運営等を手がける株式会社Kaya Group。国内の外食市場の将来を見据えて、2年前から海外からの訪日客(インバウンド客)への働きかけを強化した同社では、現在その取り組みが奏功し、SNS上で口コミが拡散、インバウンド客で行列ができる時間帯もあるという盛況ぶりである。インバウンド客を取り込み、リピーターに変えていく秘訣を、同社代表取締役社長の小山裕氏、海外事業部・インバウンド事業部部長の村山輝氏のお二人に伺った。

インバウンド対応に取り組み始めたきっかけ

お話をお伺いした、代表取締役社長 小山裕氏

お話をお伺いした、代表取締役社長 小山裕氏

――現在ではさまざまな業種でインバウンド客対策の重要性が言われていますが、御社は2年前からインバウンド客対策に取り組んでこられました。そのきっかけは何だったのでしょうか?

小山氏: 今後の国内外食市場を考えると、少子化の影響で間違いなくパイは縮小していきますので、中長期的な市場を求めて何かやっていかなければいけないということで、多くの飲食店は海外に出ていっています。ただ、海外に出店して5年間頑張っても、その地域で10店舗ぐらいに広がるのが関の山だと思っています。一方関西では2020年の東京オリンピック・パラリンピックだけではなく、2019年に神戸ラグビーワールドカップ、2021年には関西ワールドマスターズゲームズが開催されますので、これからどんどん増えていくインバウンド客にリピートしていただいた方が、少しの投資で大きな成果を得られるのではないかと考えました。

外国人へのリサーチを元に、インバウンド客に好まれるメニューやPOPを開発

時間帯によってはインバウンド客で行列ができるという、産直市場「匠」。店内は地元のお客さまと海外からのお客さまとで、連日賑わっている。

――取り組みを開始して2年、今ではインバウンド客で行列ができる時間帯もあるほどの人気と伺っていますが、成功の秘訣を教えていただけますか?

小山氏:多くの店では「インバウンド客は一回きり」という考えで、中には外国人向けの英語メニューだけ価格が高いなど、「その一回で取り切ってしまおう」という姿勢の店舗もあるようです。でも、中長期的な市場と位置付けるのであれば、一回きりで終わってしまわないための本質的な取り組みが必要です。

弊社ではまず、実際に友人のアメリカ人に店で食事をしてもらって、忌憚のない意見をもらいました。すると、私たち日本人が考える「おもてなし」では駄目な部分がいろいろとわかってきました。

たとえば刺身では「カンパチは好きだけど、鯛は食べられない。ガムみたいでかみ切れない」と。日本人にとっては天然の明石鯛のプリプリした食感は食材の魅力の一つですが、文化が違うとただ単に「硬い」と評価されてしまう。また神戸牛のローストビーフも、日本人に好まれるような超レアは抵抗があるようで、「もっと焼かないと食べられない」と言われました。

海外事業部・インバウンド事業部部長 村山輝氏

海外事業部・インバウンド事業部部長 村山輝氏

――寿司や神戸牛を出せば喜んでもらえるというような単純な話ではないということですね。

村山氏:特に生ものは好き嫌いがありますね。また盛り合わせは、食べられないものが一つでも入っていると嫌がられます。

小山氏:もう一つ苦労したのはメニューの翻訳です。翻訳会社に英語・中国語への翻訳を依頼したのですが、納品されたものを弊社の村山に確認させました。彼は海外在住経験が長く、英語・中国語・タイ語を話すことができるのですが、一目見て「ひどいです」と。

村山氏:たとえば「魚のあら炊き」が「残り物を煮たもの」と訳されていたり。そんなもの誰も食べたくないですよね。翻訳の人たちは飲食のプロではないので直訳してしまう、でも翻訳を頼んだ人はそれをチェックできないわけです。

小山氏:だから「これで外国のお客さまにも対応できるぞ」と、ありがたく使ってしまうわけですよね。これは笑い話なんですが、昨年、街中に中国語の横断幕がかかっていました。おそらく原文は「ようこそ、神戸へ」だと思うんですが…。

実際に外国人の意見を聞いてみると、文化の違いにより、日本人が考える「おもてなし」では駄目な部分がわかってきた。

実際に外国人の意見を聞いてみると、文化の違いにより、日本人が考える「おもてなし」では駄目な部分がわかってきた。

村山氏:「よく来たな、神戸に」みたいな、ものすごく「上から目線」の翻訳になってしまっていました。そういうレベルなら、ない方がましです。少なくとも中華圏の人なら漢字は読めるので、イメージはしてもらえますから。変な中国語に訳されていると、かえって意味がわからなくなります。

それと、翻訳だけではなく写真に関しても、私と外国人の方とで直接やり取りをして、アドバイスをいただきながら選びました。最初は生産者さんとの距離の近さを伝えたいという意図で、牧場主さんと牛が写った写真を使おうと考えていたのですが、「これ(牛)が切られて料理になるというのを想像すると、残酷。見たくない」という話があり、切り身になっている写真のみに変更しました。

小山氏:そういう部分も外国人目線を取り入れて作り込んでいるので、弊社の店の周りにも神戸牛の専門店はたくさんありますが、うちは看板を出しているだけでインバウンドのお客さまが来られるんですよね。

村山氏:外国人のお客さまへのアプローチは、写真と、そこに一言添えてある言葉が重要な差別化ポイントになります。特に西洋人は、知性がないとか下品だと思うところには、絶対に行きません。文法やニュアンスがおかしいと、「偽物の神戸牛が出てくるのでは」と不信感を与えてしまうんです。それならむしろ、何にも書かない方がよっぽど良いです。あとは、「No.1」とか「BEST」と評されているお店にしか、西洋人は行きません。というのは多くの外国人、特に西洋人にとっては、外食をするということは、「プロ」の料理を食べに行くという感覚になります。ですので、彼らは圧倒的なクオリティーを求めます。ちなみに「BEST」の概念も日本とは違っていて、日本人の感覚では「BESTはひとつだけしかないもの」ですが、西洋人は「たくさんあるBESTの中の一つ」というイメージです。なので、少なくとも看板に「BEST」、もしくはそれに代わる絶対的なクオリティーの高さを意味する的確な言葉が書かれていないと、来店してもらうことは難しいでしょう。

「外国人が見るとどう感じるのか」というのは、実際に海外に長期間住んでいたり、外国圏の人と日常的に接する人でないとわからないですよね。それも、中国ならこう、タイならこう…という各国別の感覚をそれぞれ理解しないといけませんので、日本人にとってはかなり難しい部分になってくると思います。

――「インバウンド対策=トリップアドバイザー」というイメージもありますが、御社の場合、トリップアドバイザーは比較的後になってからの開設ですね。

小山氏:集客よりも顧客満足度を高めることが先だと考えました。せっかく海外からお越しいただいても、充分な対応ができないのでは意味がありませんので、まずはメニューやPOP、そしてスタッフ教育などで、インバウンド客にもしっかり対応できる体制を整えて、その後で英語でのFacebookページを開設、その次がトリップアドバイザーの開設という順で取り組みました。

村山氏:満足度の高い対応をすることで、リピートや口コミが生まれ、自然と集客につながります。SNSの拡散は、すごい威力がありますから。順番としては、まず受け入れ態勢を整えるのが先だと思います。

「オーダリングガイド」で“海外旅行ならではの時間”を提供

居酒屋での注文の仕方を英語で紹介した「オーダリングガイド」の1ページ。言葉が通じない国での食事の注文を「旅先ならではのエンターテインメント」と捉える逆転の発想から生まれた。

居酒屋での注文の仕方を英語で紹介した「オーダリングガイド」の1ページ。言葉が通じない国での食事の注文を「旅先ならではのエンターテインメント」と捉える逆転の発想から生まれた。

――「オーダリングガイド」など、海外のお客さまにコミュニケーションを楽しんでいただくための工夫もされています。

小山氏:私たちも、言葉が通じない海外の旅行先で食事の注文をしないといけないとなると、もうビクビクものじゃないですか。それで「どうしたら、海外のお客さまが楽しくオーダーできるかな」と村山に相談したところ、「そもそも発想が逆じゃないですか」と言われまして。「せっかく日本に来ているのだから、日本語で注文するのも一つの楽しみじゃないですか。我々はそれをサポートする方法を考えましょう」と。

それで作ったのが「オーダリングガイド」です。これは、「居酒屋とはこういうお店です」「注文はこうやってします」ということを英語で説明したガイドです。たとえば、手を上げて「Sumimasen!」と言うとスタッフがテーブルに来ますよ、次に「Osusume wa nan desuka?」と言うと、その日のお薦めメニューを教えてくれますよ、という感じです。

このオーダリングガイドを読んだお客さまが実際にスタッフを呼んでお薦めを聞いて、スタッフが「お薦めはこちらです」とメニューを指差しで教えると、「通じた!」となって、わーっと盛り上がるんですよ。そうすると、横の日本人や海外のお客さまが「すごいやん」「good!」とか声をかけたり、もう一回やってみろという話になって、「Sumima…san? sen? son!」「惜しい!」とか、旅先ならではのコミュニケーションが生まれて、お食事の時間も海外旅行ならではの大切な思い出の一つとなっていくわけです。

神戸っ子の目線で神戸自慢を紹介するフリーペーパー『Ichiban KOBE』(写真はweb版)。神戸の魅力を世界に発信し、地域ぐるみで「街のリピーター」づくりを目指す。

神戸っ子の目線で神戸自慢を紹介するフリーペーパー『Ichiban KOBE』(写真はweb版)。神戸の魅力を世界に発信し、地域ぐるみで「街のリピーター」づくりを目指す。

――現在は御社の店舗だけに留まらず、神戸の地域全体にまで取り組みを広げていらっしゃると伺いました。

小山氏:今、急増するインバウンド客に大阪だけでは対応しきれず、あふれた人が近隣の地域に泊まりに来るという現象が起こっています。神戸にとっては、海外に向けて地域をアピールする大チャンスなのですが、組織的な対応が後手に回ってしまっていて、ホテルなどでも「宿泊客にお薦めのお店を聞かれてもわからなくて困っている」とか「自分たちで手書きの地図を作って何とかしのいでいる」ということでしたので、それなら自分たちで作ってしまえと、フリーペーパー『Ichiban KOBE』を創刊しました。これは、神戸っ子が地元の目線で神戸自慢を紹介したフリーペーパーです。冊子版は年2回発行で、web版は随時更新しています。今行きたいお店のQRコードをスマートフォンで読み取るとGoogle Mapへ誘導され、所要時間や道順がわかるようにして、インバウンドのお客さまにも便利に使っていただけるよう工夫しています。

こういう取り組みを通じて、神戸の街のリピーターを作っていきたいと思っています。というのも、神戸という地域そのものの魅力を広げていかなければ、自分たちの店だけを宣伝してもインバウンド客は来てくれないんですよ。ですから、今後はエリアの他の店舗さんや自治体とも力を合わせて街ぐるみで取り組み、中華圏や東南アジアの幅広い層の方々に「この週末、ちょっと神戸に行こうか」と思ってもらえるような種を撒きたいと思っています。

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