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早期離職の改善には、 若手行員が安心して働ける環境づくり

取材・文/角田聡
※文中で紹介している弊社サービス「サービスチーム力診断」は、「人材定着支援ツールtenpoketチームアンケート」へと名称がリニューアルしました。
※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。

熊本県内を中心に、123支店を展開する株式会社肥後銀行。金融機関全体において、若手の早期離職に対する早急な対策を迫られている中、新たなチャレンジをしている。同社理事 人事部長 前出洋氏、人事部人事企画グループ副企画役 江口賢師氏にお話を伺った。


――「サービスチーム力診断」をご導入いただいた経緯を教えてください。

現在、弊行の経営理念を実現すべく、お客様視点での業務改善に取り組んでいます。その一環で、昨年より思想自体が経営理念に近い、日本経営品質賞の受賞に向けて取り組んでいました。「現場が自主的に改善する」「徹底した対話」を進める上で、ESの数値化をする必要があると考え、ESアンケートを検討しました。他社と比べて取引社数やこれまでのデータ量が多いこと、コスト面も妥当だと考え、MS&Consultingさんの従業員満足度調査「サービスチーム力診断」を導入しました。


――1回目(2018年12月実施)のサービスチーム力診断結果をご覧いただいた際に感じたことを聞かせてください。

想定していたよりも、全体的にスコアが低く、本気でES向上に取り組む必要があると感じました。その中でも、特に入行して5年未満の若手行員たちのスコアの低さに関して、早急に対策を打つ必要があると考えました。

株式会社肥後銀行 理事 人事部長 前出洋氏(写真右)、人事部人事企画グループ副企画役 江口賢師氏(写真左)。


――結果を踏まえ、取り組んだことを教えてください。

若手のES向上を最優先で考えました。そのためには、若手が気になっていることや不安になっていることを気軽に相談できる環境を作ることにより、鮮度の良い情報をいち早く収集することに努めました。

例えば、「辞めたい」と言われてからだと、人事部として対応策が限りなく少なくなりますが、その前段として「つらい」「悩んでいる」という情報の段階であれば、該当支店と情報を共有し一体となって対応することも可能であり、早期退職の未然防止にも繋げることが可能です。


 1|ブロックサポーター制度

1回目のES調査後に弊行ではブロックごとに、先輩行員2名と人事部2名の合計4名を若手行員のサポート役に任命しました。以前は、各支店内で先輩が後輩の面倒を見るというやり方もしていたのですが、先輩の経験やスキルによってばらつきもあり、ブロック単位で取り組むことにしました。主に3年目までの若手行員を対象とし、定期的な情報交換会や食事会を実施し、若手行員の悩みや、不安に感じていることを気軽に相談できる関係構築を目指しました。若手行員が気軽に先輩に相談できるようになったことで、離職につながる可能性がありそうな場合でも、早めに情報が拾えるため、対策を講じることが可能となりました。


2|学習デー

月1回、各支店で役席者が講師となり、若手に対する勉強会を開催しています。テーマは「若手行員が知りたいと思っていること」とし、詳細については各支店で決めてもらっています。若手行員の悩み解決の場でもあり、役席者が若手を教育するスキルを磨いてもらう場でもあります。役席者のスキル向上が、若手行員のES向上にもつながります。

また、勉強会を通して、若手行員には、「困ったことがあれば、身近な役席者に教えてもらえるんだ」という安心感を持ってもらうことを狙いとしています。


 3|新入行員の配属

従来は、支店に新入行員1人のみ配属をするケースがありましたが、今期からは新入行員を同じ支店に複数名配属することにしました。これは、営業時間内でも、時間外でも、相談したいときに相談しやすい人が身近にいる環境を作るためです。また、経験の豊富な支店長が多い、ブロックの中心支店へ配属することで、管理者の目が届きやすい状況を作っています。

そのほか、複数の施策を実施していますが、若手行員の離職要因の1つに、「相談したいけど相談できない」という環境になっていることが挙げられます。本当に困ったときに相談するのではなく、ちょっとしたことを早い段階で相談できる環境を作ることがポイントだと考えています。


――他部署との連携について教えてください。

最適な施策を打つためには、情報の量と鮮度が大切だと考えています。そう考えると、人事部だけで情報を集めることには限界があります。適宜、他部署とブロックや支店の情報を共有しながら、活動を進めています。

また、人事部の特性上、人事部が直接指導するとなると、行員も構えてしまう面があり、本音が聞けないことがあります。そのため、今回のサービスチーム力診断の結果等を他部署に共有した上で、対応してもらうこともあります。


――2回目の結果を見て感じたことを教えてください。

5年目未満のスコアが改善していたので、活動の成果が出たと認識しました。一方で、10年目前後の行員とスタッフ(パート)のESの低さが目につきました。10年目前後となると、役席になれるかどうかの年次であり、役席になれなかった行員のES向上に取り組む必要があると考えました。また、スタッフに関しては、1回目と比較し2回目の回答率が高まりました。1回目に回答しなかったスタッフの評価が低かったのだと想定しています。19年下期は、一定の成果が出始めている若手行員に対する対策を継続しながら、10年目前後の行員とスタッフのES向上へ向けた取り組みを実施しようと考えています。


若手行員の離職改善フローと主な施策


――中長期の観点で取り組もうと考えられている施策について教えてください。

足元の課題解決をすることが、大切だと考えています。鮮度の良い情報を基に、速やかに対策を打つ。トライアンドエラーを繰り返しながら、施策自体のレベルを高めていくことが必要です。結果に対して一喜一憂するのではなく、前回よりも今回、今回よりも次回と、着実にステップアップすることが、中長期の改善活動につながると考えています。

活動を進める主体者は現場です。現場が活動をするための枠組みを作り、活動を促進することが本部の役割です。そのためには、本部自ら現場の情報を取りに行き、また現場から鮮度の良い情報が入ってくる仕組みを作る必要があります。サービスチーム力診断の結果等を踏まえ、常に最適な施策を考え、実行できるように取り組んでいこうと考えています。