「逆風に立ち向かうシナリオ」経営者インタビュー|株式会社YUZU




※本インタビューは、2020年3月27日に実施いたしました。

※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。

取材・文▼湯瀬 圭祐

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グループ全体で6店舗の飲食事業を展開する株式会社YUZU 代表取締役 丹野 創一氏に、新型コロナウイルスによる影響と対策についてお話を伺った。

新型コロナウイルスの猛威によって、想定外の変化を迫られているかと思います。この状況を経営者としてどう捉えていますか?

終わりが見えないなど不確実性がかなり大きいですし、起こっている問題も多岐にわたります。不安になっても何も問題は解決されませんので、受け入れるしかないと思っています。


詳細はどのように分析していますか?

弊社の展開店舗は全て名古屋市にありますが、店舗のタイプによって、大きく差が出ています。普段使いをコンセプトにしている餃子酒場や、若年層をターゲットにしている肉寿司の店舗は、売上前年対比20%減くらいで健闘しており、ダメージは少ないですが、伏見エリアの大箱の居酒屋については、売上前年対比50%減となっており、かなりダメージが大きいです。


この局面の中で、経営者として意識していることを教えて下さい

資金調達や各種ルールの整備や対応など、いろいろ動くべきことが多いですが、特に意識していることは、「こういう時だからこそ…」という発想を自分自身に投げかけることです。大きくは2つの発想を軸に、対策を組み立てています。


(1)こういう時だからこそ、弊社で仕事をしてくれている社員の気持ちになり、貢献できることを考える

(2)こういう時だからこそ、商売をさせていただいている外食業界に貢献できることを考える


具体的にどのようなシナリオを想定していますか?

先の発想を元に対策を進めておりますが、(1)については、次の2点を考えています。


(a)働く社員が「感染しない」ことが一番の優先順位

→感染することによるダメージ・リスクを最小にする対策を協議し実行


(b)弊社としても苦しい局面ですが、社員はもっと不安なはずなので、こういう時だからこそ、感謝の気持ちを示し、給与の他に「臨時ボーナス」の支給を検討

→社員全員に1人10万円程度の支給を予定(社歴や役職に関係なく、平等に支給することがポイント)


まずは社員の不安をしっかりと捉え、寄り添うことが重要であり、より具体的な対策を取ることで、社員も会社や私をより信頼してくれるのではないかと考えています。そして、危機を乗り越え、市況が回復した際に、良い仕事をお客さまに向けて実施してくれるはずだと確信しています。


また、(2)については、弊社は経営理念にも記載のある福利厚生施策として「海外旅行」を謳っており、毎年実施しているのですが、今年は東南アジアツアーの予定をキャンセルせざるを得ない状況です。このネガティブな決断を「こういう時だからこそ…」の発想で、以下の対策に切り替えようと考えています。


(c)新型コロナウイルスの影響で中止が濃厚な社員旅行先を国内に切り替え、各地でミシュランの★を獲得している名店の最高品質を皆で体感する


「こういう時だからこそ…」の発想で、社員には未来をしっかり見せることが動機付けにもなりますし、ミシュランの★を獲得している店ですら、お客さまが減っている状況が続いており、そういう時にお店を利用させていただくことで、業界貢献したいと思っています。


社員が最高の体験をすること、そして、その体験をアルバイトさんに語ることで、アルバイトさんに、社員が弊社で仕事をすることが楽しく見えると思いますし、社員がより輝いて見えると思います。「こういう時だからこそ…」社員が輝いて見える会社を目指したいですし、その為の施策として、(a)~(c)を捉えています。


丹野社長が考えていらっしゃる経営者としての「優先順位」をお教え下さい。

この局面の優先順位で申し上げますと、①働くメンバーが「感染しない」環境作り・ルール設定、②経営として必要なファイナンス対策(資金調達・助成金)の2つをスピーディに進め、様子を見ながら、③社員の不安解除への取り組み(臨時ボーナス等)、④中長期的な流れを示す(危機を乗り越えた後のビジョン)を推し進めたいと思っています。③④まで進めた後には、より高頻度で高濃度なコミュニケーションを社内で進めていきたいので、MS&Consultingさんのtenpoket(テンポケット)を大いに活用していきたいと考えております。


最後に一言、総括をお願いします。

少し大げさな仮説として、この新型コロナショックが収束した際に、「必ずしも、市場環境が元通りに戻らない」と予測しています。新型コロナショックの特徴として、「当たり前が当たり前ではなくなっている」「地域が限定的ではなく、全世界が主語になっている」「終わりが見えない(悲観的には第二波もあり得る)」など、今まで経験したことのない環境が続いており、これからも続いていくかと思います。


また、宴会など「大人数が1か所に集まって食事をする」ことが、ストレスになってしまうのではないかとも考えており、そうなると、お酒を飲む飲食の主流は、少人数、企業でいうと部署内のメンバーだけなど、よりコミュニティが小さくなってしまうように感じます。


この苦しい新型コロナショックが終わりを迎えた際に、企業として良いリスタートを切れるよう、社員・アルバイトの気持ちをしっかり察知し、スピーディに対策を打っていくことを継続していきたいと考えております。

 

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