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オム・ファム株式会社(ペットショップ業態)

働きがいを高め、デフレを勝ち抜く「考える組織」

オム・ファム株式会社(ペットショップ業態)

オム・ファム株式会社

沖縄県中頭郡北谷町美浜2-2-5

運営店舗:PET BOX 北谷店、PET BOX Animal Station NAHA

会社ウェブサイト:http://www.petbox.co.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2010年秋号』掲載
取材:角田 聡/文:西山 博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
長期的なデフレによって全国的な価格下落が続く中、客単価を上げ続けているペットショップが沖縄県にある。沖縄県内に2店舗のペットショップを運営するオム・ファム株式会社(以下、オム・ファム)だ。その要因は、お客様満足の追求にあった。スタッフ一人ひとりがお客様満足度の向上を目指した結果、高付加価値商品である「こだわり商品」の推奨販売が定着した。働きがいを重視した「考える組織」を目指す取り組みを始めてから約10カ月。取り組みのポイントを時系列で解説する。

ペットショップ業界の現状

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ペットショップ業界は、少子高齢化と単身者世帯の増加に伴って生じた社会的なペットブームを受け、2009年度は2003年度の約115%である1兆3076億円と、不況の煽りを受けながらも順調に市場拡大を続けている業界だ(矢野経済研究所『2010年版 ペットビジネスマーケティング総覧』より)。一方、そのようなペットショップ市場においても薄利多売の傾向が強まっており、今後はニーズの多様化への対応や高付加価値商品の売上伸張が不可欠となってきている。

高付加価値商品の販売で継続的なお客様満足を獲得するためには、商品のPOPや店内の説明書きの工夫、接客対応などの工夫が必要だ。それを考え実行するには、現場スタッフも含めた組織全体で取り組むことが重要である。それには、スタッフ一人ひとりが働きがいを持って主体的に考える組織が理想だが、それを実現しているのがオム・ファムだ。

空回りの教育機会と皮肉なきっかけ

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かつてのオム・ファムは、定期的に外部講師を呼んだ研修を実施し、全国各地の展示会や勉強会に参加する機会を設けてはいたが、スタッフの自主性が思うように高まらないという恒常的な課題を抱えていた。そんなオム・ファムが「考える組織」を目指すきっかけとなった出来事は、2009年8月に起こった。

当時の店舗の状況は、決められた仕事の枠の中でそれぞれが与えられた最低限の責務を果たすようにして働くというものであった。そうした状況の中で、一人で仕事を抱え込み過ぎた那覇店の山城店長が突如、肉体疲労と精神的ストレスから出勤できなくなってしまったのだ。

オム・ファムは2008年10月より社員教育の一環として毎月ミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を実施していたが、導入当初のMSR全店3ヶ月平均得点は135点。20代女性のモニターの評価コメントに対して、「若いお姉ちゃんに言われたくないよ」という意見が出ても異論を唱える者はいなかった。

そんな状態だったため、山城店長が抜けた那覇店は2カ月連続でMSR得点が110点を割り込むような状況に陥った。しかし、皮肉にも店長不在がきっかけとなり、スタッフが仕事上で互いに協力せざるを得ない状況が生まれた。そして、2009年9月、働きがいのある「考える組織」づくりを目標として、MS&ConsultingのHERBプログラムを始動させた。

「考える組織」をつくる施策

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月1回、朝7時より全員参加のミーティングを実施。お客様満足の大切さを全員で確認する。

2009年10月、山城店長が復帰するタイミングに合わせて社内会議体系が変更された。毎週月曜に店長・副店長など店舗運営の中心を担う社員が集まり、1週間の振り返りと翌週の活動計画を立てる「ウィークリー・マネジメント会議」を実施。1週間という短い期間で進捗を確認するため軌道修正が容易な点を活かして、大きな改善よりも、まずすぐできる小さな改善を少しずつ積み重ねていくことで、改善活動を組織に定着させていくことを目指した。

現場スタッフの巻き込みはあえて会議体系で規定せず、店長・副店長が毎週の計画を達成するために個別で直接スタッフに協力を仰ぐようにし、次に、社員を通してアルバイトに伝えるようにすることで、コミュニケーションの総量を段階的に増やしていった。

また、毎週の計画の実行段階でオム・ファムが採択しているやり方は非常に興味深い。端的に言うと、実現させたいことをスタッフに相談し、スタッフに方法を考えてもらい、出てきた案をそのまま実行してもらうというものだ。「当初は満足のいく結果にならないこともよくあったが、手を出したい気持ちを我慢してスタッフに任せるようにした」と山城店長は当時を振り返る。答えたことは自分で実行しなければならない環境となったため、スタッフが考えて発言するようになり、徐々に活動効率が上がっていった。

こだわり商品の売れ行きが劇的に改善

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スタッフの手書きによるお勧め商品の紹介パネル。スタッフの発案によって実現した。皆が自主的に考え、成果につながったときの達成感がスタッフのチームワークをより強固にする。

スタッフがお客様満足度の向上にまで自主的に取り組み始めた結果、売上にも変化が起こり始めた。オム・ファムが、全6300点の商品の中から、品質に特に自信を持ってお勧めできる商品約200点を選んだ「こだわり商品」。高付加価値である分、ただ置いているだけではほとんど売れないが、お客様満足にこだわりを持ち始めたスタッフの自主的な推売活動により、こだわり商品の売上が商品によっては1.5~5倍に上がり、全体の客単価を押し上げた。同時に、お客様満足度の指標となるMSRの得点も、2010年4月には開始当初から32点高い167点(全店3ヶ月平均得点)にまで上昇した。

 

 

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「皆で考えると色々なアイデアが出てきて、劇的に生産性が上がります」と山城店長は語る。

結果を振り返り、「1人で取り組んでも限定的な成果で終わってしまいますが、皆で考えれば大きな成果につなげられます。お客様の満足が最も大切ですから、これからもMSRの結果にはこだわります」と山城店長(右写真)は語った。今や、社長は理念の確認、店長はスタッフのサポートと役割が明確になってきている。順調に収益を伸ばすオム・ファムは、2010年11月には売場面積100坪で西日本最大規模のアクア館を持つ『沖縄BIANCO(ビアンコ)』を3店舗目として出店準備中だ。

 

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