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株式会社ダイエー(小売業態)

「顧客のレンズ」で巨大組織の変革と業績改善に挑む

株式会社ダイエー(小売業態)

株式会社ダイエー

東京都江東区東陽2-2-20

会社ウェブサイト:http://www.daiei.co.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2010年春号』掲載
取材・文:西山 博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
3年前、社長の直轄で設立されたCS推進部。彼らは、CS評価と売上の連動を調査データから明らかにした。これを受けてダイエーは、経営再建に向けて「顧客のレンズ」によるCS発想をスローガンに掲げたCS推進活動の展開を決定。しかし、巨大組織がCS活動を推進するには、商品部門や営業部門など各部署との連携や体制整備など、解決すべき大きな壁が多数存在した。それらの課題解決に取り組んできた結果、顧客満足度調査を軸にした具体的改善策の効果が現れ始め、「顧客のレンズ」によるCS発想実現に向けて巨大組織の足並みが揃いつつある。CS推進部部長の大島之和氏(右上写真)、竹内俊之氏(右下写真)にプロジェクトの全容を伺った。

「企業のレンズ」と「顧客のレンズ」

CS推進部部長の大島之和氏

CS推進部部長の大島之和氏

価格競争に耐え抜けるようコストダウンのために暗くした照明が、顧客の不満要因になる場合がある。ダイエーも例外ではなく、店舗の売上が伸び悩む中、水光 熱費を下げて固定費を削っていた。お客様からは、「照明が暗い、適切ではない」と評価される一方、企業側の論理でローコストの策を採らざるを得なかったのだ。しかし、照明と生鮮商品の鮮度感の評価が相関することが調査結果からはっきりと分かった(表1)。そこで、ダイエーは企業側の論理で見る「企業のレンズ」ではなく、顧客の目線で見る「顧客のレンズ」による店づくりを本格始動させた(図1)。

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顧客満足の要因を科学的に分析

竹内俊之氏

竹内俊之氏

同社が初めてCS改善に取り組んだのは、2002年のことだ。当時のCSは主に接客をターゲットとした活動で、まずはそれらを測る調査を実施してきた。調 査結果を店長や副店長の賞与に反映させたこともあり、3~4年で状態はかなり改善した。しかし、確かに接客はCSの重要な要素だが、一方で店舗全体の品質 や満足度を測るメジャーも必要だ。接客を先行させたことによって、現場のリーダー達は業績との連動にジレンマを感じ始めた。それを受けて、本部は本来の意 味での“顧客満足”を構成する要素を見直すことになった。そしてその要素を、(1)Product(商品)―衣食住という広いくくりでの商品、 (2)People(接客)、(3)Place(売り場施設)の3つに分類し、本来の顧客満足へ近づくべく仕切り直しを図った(図2)。

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v65-04新たな3要素を盛り込んでさらに調査結果の分析を行うと、各要素の中でそれぞれどういった項目がロイヤリティと強い相関関係を持っているかが分かってき た。これまでは、「接客が重要、挨拶が重要」と本部から現場にいくら訴えても、それが顧客満足にとってどれだけの影響があるのか、優先順位の認識にバラつきがあったが、こうして構造化された視点でそれが顧客満足にどう影響しているのかを本部からはっきりと示すことによって、現場は優先順位をつけて対策に取 り組むことができるようになった。総合小売業であるダイエーは、店舗の中に、野菜、果物、肉、魚、デイリー、グロッサリー、デリカ、衣料品、生活用品な ど、様々な分野の売り場を持ち、それぞれの売り場を各課長がマネジメントしている。そのため、各売り場の足並みを揃えることは簡単なことではないが、それ の実現に向けて、各店舗の今年度の戦略の中には、調査結果を受けてどうアクションしていくのかが、かなり具体的に示されている。

本部と店舗の対策を区別し、具体的な改善アクションへ

v65-07もちろん、CS推進部としても、現場が調査結果に納得感を持って受け入れることができるよう、現場調査であるミステリーショッピングリサーチについても調 査日や調査方法などの工夫を重ね、試行錯誤を繰り返してきた。調査結果は、社員や「アクティブキャップ」と呼ばれるパート従業員まで全員に共有できるよう、『個店カルテ』という形で店舗別にフィードバックし、店長、商品部門、経営陣には、データをグラフ化して会社全体の傾向を分かりやすくイメージできる ような形で提示している。そして、本部が対策を取る部分、店舗で対策を取る部分をはっきりと区別することで、なすべきことが明確になるよう工夫もしてきた。各部門の戦略の中には、この調査結果に対して今後どう改善に取り組んでいくのかということが具体的に記されるようになった。

「顧客のレンズ」を合言葉に各部門の戦略を統一

v65-06方針発表会の席では、経営トップが調査成果をもとに店舗をグルーピングし、売上が好調な店あるいは伸び悩んでい る店の内容の相違、調査員やお客様からのご意見、つまり生鮮の鮮度感や環境面である照明などの話をされた。一方で商品部門からも、特に食品を中心とした鮮 度、鮮度感が必要だという戦略が示された。ダイエーは会社全体が同じ方向を向き、本来の意味での顧客満足の実現に向かって動き出している。

今後の方針として、食品を中心とした鮮度感を上げていく動きが会社全体で始まる。その活動について、次回からの 調査ではお客様からどう見られているかの評価を加えていく予定だ。「いま改善活動は動き始めているので、それに対して本社が行っている活動、また店舗における照明や接客の変化がお客様にどう評価されるのかを、しっかりと追いかけていきたい」とCS推進部部長の大島之和氏は締め括る。

「顧客のレンズ」で店舗を見たときに本当に満足頂ける店舗を目指し、ダイエーは科学的な分析と着実な落とし込みを武器に、これからも改善活動を続ける。

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